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プロローグ
初投稿です
お手柔らかに
2025/02/23 若干修正しました。
俺は今、薄暗い洞窟の中、現実では考えられないほど巨大なゴリラのような化け物と対峙している。
剣を握り続けた右手の皮は剥け、化け物の一撃をまともに受けた左腕は骨が折れたのか感覚すらなく、完全に使い物にならない。
背後には妹が倒れている。そのか細い身体は化け物の攻撃に耐えきれず、気を失っているようだ。彼女が目を覚ます可能性は――今の俺には考える余裕すらない。
戦うことはできない。逃げることもできない。この状況をゲームの中の出来事だと聞けば、多くの人は安心するのかもしれない。だが、ここはただのゲームではない。この世界で“死”を迎えれば、それは現実世界での“死”を意味する。命を懸けたデスゲーム――それがこのVRMMOの本質なのだ。