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試練日記  作者: ゆっきー
6/6

仲間

 この世界は大きく分けて二種類に分かれる。天才型と凡人型だ。そして今相手にしている川上澄玲は天才型で、俺は凡人型になる。凡人型と天才型には圧倒的差がある。だが凡人型が天才型に勝つ方法もある。それは天才を超える経験や努力をすることだ。俺は第一試練をすでに24回経験し、25回目だ。努力だってたくさんしたし、スキルだって今の澄玲は持っていないはずだ。なのに圧倒できない…

 「マジで化け物すぎるだろ!」

 「かわいい女の子に対して化け物はよくない、モテないよ」

 「こんな状況でモテようとも思わねぇよ!」

 「それもそうか…」

澄玲はそんな軽口を返しながらもナイフを投げてくる。俺はそれを素早くキャッチする。

 「化け物はそっちもじゃない?」

 「うっせぇ!」

俺はそのナイフを握り、距離を詰める。下に置かれたまきびしを避けていき、やっと腕の届く距離に入った。

 「近づかないで」

澄玲がそういうとカチッという音とともに地面が爆発する。後ろに跳んだが、少し遅く、爆風に巻き込まれてしまった。軽傷ではあるものの動きが鈍くなる程度のダメージは入っている。

 『まさかスキルなし相手にここまで苦戦するとはな…』

 「私には時間がない…さっさと諦めて」

そうだ。澄玲には時間がない。早く人を殺して時間を増やさなければならない

 「仲間にならない限り誰も殺させないと言ったら?」

 「私からここにいる全員を護れるとでも?」

 「そんなことは言ってないし、出来ないだろうな。だが、お前の獲物を横取りするだけなら楽勝だ。」

時間は相手にとどめを刺した人物に加算される。澄玲から奪い続ければいつかは澄玲も死ぬ。これは賭けだ。これでだめならこの周回は澄玲を諦めるしかなくなる。

 「いいよ。仲間になってあげる。」

 「へ?」

 「そもそも私はほぼ全部の手札を出した。私に勝ち目はない。それに本気であなたが私と敵対すれば死ぬのは私」

本気でそう思っているのだろうか?俺もかなり本気を出していた。知覚者の力を最大限生かせばもっと楽に倒せたのかもしれないが、それでも瞬殺とまではいかなかっただろう。そして俺は疑問が浮かんだ。過去の周回で澄玲は俺のことを強者だと言っていた。だがスキルを手に入れた澄玲が本気を出せば俺なんて余裕で殺せたはずだ…

 「なあ、俺はお前の仲間になれるほどの強者なのか?」

 「?何を言っているのかわからない。現にあなたは私に勝った。それならあなたは私より強者」

 「じゃあ、もしもお前が何らかの力を手に入れて俺より強くなったら?」

 「・・・質問の意図がわからない。でも答えるとするならそれでも私はあなたの味方になる。」

 「何故だ?お前は強者しか認めない主義なんだろ?」

 「・・・血みどろの世界に長い年月いたからわかる。あなたは強者というより努力で上り詰めた弱者。だから私はあなたに好感を持っている。私はそういう人間が好きだから。大半の人間は努力してもすぐにあきらめる。でも私はそれが嫌い。やるからには全力でやらないといけない。そう教わって来たし、私もそれが間違っているとは思わない。だから全力で努力したあなたのことが好き。だから仲間になった」

 「それなら戦う意味はなかったのか?」

 「あった。さっきのはあくまであなたがある程度の強者だった場合の話、弱者だったら努力していようが殺していた。」

さっきの謎が解けた。過去の周回での澄玲もそういう考えだったからついてきてくれたのだろう。だからあの周回の澄玲は・・・


【前回】

 「澄玲!そっちに敵が行ってるぞ!」

 「わかってる。舐めないで。」

澄玲はその敵を簡単に仕留める。かなりの強化をした結果、澄玲は一撃で雑魚敵を倒せるようになっていた。

 「そろそろ業火の龍を倒しに・・・」

瞬間、嫌な予感がする。そしてその予感は的中、横からものすごい勢いで業火の龍の攻撃が飛んできていた。

 『ッチ…今回はここまでか…』

俺がそう諦めたとき横から何かに押された。俺は吹き飛ばされ攻撃を避けることができていた。

 「何…が…あ…あぁ…」

俺を押したのは澄玲だった。澄玲は業火の龍により焼かれ膝から上が消失していた。塵1つ残っていない。そして立っていた足は力なく倒れ、澄玲が死んだことを告げる。俺もその場に力なく倒れこむ。吐き気がする。自分の死には慣れた。他人の死にも慣れたつもりだった。だが、仲間の死にはいくら味わっても慣れない。澄玲の死の匂いは業火の龍の炎によってかき消された。俺は体内になるものすべてを吐き出す。気分が悪いどころの話ではない。立つことすらできない。涙も止まらない。生きているのかすら分からない感覚に襲われる。

 「なんで…お前は…」

その後、俺は動けずに周りの敵に食い荒らされた…残った澄玲の足を抱きかかえながら…


 【現在】

 「?急に涙を流してどうしたの?」

澄玲は人を殺しながらそんなことを問うてくる。

 「もしかしてこの人、あなたの知り合いだった?それならごめん…」

 「いや…大丈夫だ。少し前回を思い出してな」

 「??何を言っているのか分からないけど大丈夫ならいい」

そう言って俺たちは他の奴らも殺して回った。

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