二週目
目を開くと見慣れた風景が広がっていた。普段の日常だ。今までのは夢だったと思わせるほどに。俺が周囲を見渡すとあの時と同じように空間が裂けて、中から見たことのある生物が現れた。
「あー、あー、聞こえますか?」
この光景、この声、この状況、全てがあの夢?と同じだった。
「私は下級ケイリ、悩夢と申します。」
そして夢?と同じ状況が続き・・・
「うるさいですね…そんなに試練が嫌なら先に消えてください。」
そして夢で見たときと同じように女性の頭が破裂する。そして叫んだ人も頭が破裂し、連鎖していく。そこで確信する。
『《スキル:タイムリープ》の効果で時間が戻ったのか?』
俺がそんなことを話していると目の前にウィンドウが現れる。
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第一の試練《残虐の試練》
クリア条件:特定の時間まで生き残る
報酬:終了時の時間分のコイン
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「では始めてください。」
そしてもう一度ウィンドウが現れる。夢では見なかったウィンドウだ。
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貴方は前回の記憶を受け継ぎました。
《スキル:知覚強化》Lv2
《スキル:タイムリープ》Lv1(LvMAX)
を獲得しました。
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『なるほど』
俺はそのウィンドウを見て確信した。これはタイムリープによるもので一日目に戻されたのだと。俺がそれを考えている時、周りは殺し合いが始まっていた。俺もすぐに周りの人間を殺し始めた。前回のおかげか、殺しに対する嫌悪感はなかった。ただ、俺は前回とは違う行動をとっていた。それは・・・
「あ?誰だ?」
「死んでもらうぞ。」
そう、殺し合いを真っ先にはじめ、スキルで大量の人を殺す予定の男だ。
「なんだよ。何故俺を狙う?タイマーがあるだろ?すぐ殺せる奴を狙えばいいのによ。」
いくら俺がスキル持ちでも体格差は変えられない。相手はナイフで俺のことを殺しに来る。だが知覚強化のおかげで全ての攻撃の軌道が読める。
「避けるのがうめぇな!だが避けるだけじゃかてねぇぞ?」
その通りだ。だから俺はその男に近づく前に入手したナイフで男の攻撃の隙を突く。
「くっ!」
男の腕を切り裂く。そこから血が大量に流れてくる。そして俺は追撃を狙わずに一歩下がる。俺は別に格闘家や喧嘩のプロではない。知覚強化のおかげでカウンターが入れやすくなっているにすぎない。もし俺がカウンターを狙った瞬間に合わせて攻撃をされたら俺は反応ができずにやられるだろう。つまり知覚出来た事象を避けれるだけの身体能力が俺にはない。ならどうするか。身体能力が追い付くレベルでの戦闘に収める。連撃なんてしたら体力的にも身体能力的にもジリ貧になる可能性が高い。今俺が狙うべきなのは・・・
『カウンターを使って相手を一発で終わらせる攻撃…』
つまり狙うべきは喉や心臓などだ。他にも急所はあるのかもしれないが知っているのはこの二つだけ。まず心臓は難しい。ずっと片方の腕は心臓の近くにある。防がれる可能性が高い。狙うなら喉だ。さっきの攻撃も腕ではなく下からの喉を突く攻撃だった。だが俺がナイフを使い慣れてないのもあって腕に当たってしまった。
「次は当てる…」
「よくもやってくれたな…死ね!」
男は勢いよく突っ込んでくる。俺は男の攻撃を避け、その腕をナイフで切る。男は追撃でもう片方の腕で攻撃をしてくるがそれも避ける。そして拳をナイフで切る。これの繰り返し。さっきの避け方とは違い、ギリギリで避けているため緊張感が凄い。
「クソが!ちょこまかと!」
イラついた男の攻撃はどんどん大振りになっていく。そして…
「これでどうだ!」
「それを待っていた。」
大振りでかなり身体から外に出る軌道。俺はこれを待っていた。すぐに俺は男の懐に入り、ナイフを突き上げるナイフは男の喉に突き刺さる。そしてすぐに俺はナイフを抜き取る。抜き取る時に少しだけナイフをずらし喉を切る。そこからは大量の血が流れ出てくる。そして男はそのまま白目をむいて倒れた。その瞬間俺のタイマーの数字が増え、男が絶命したことを伝える。
「ふぅ…」
そして俺はすぐにナイフの血をふき取り、周りの人間を殺して回った。