タイムリープ
「いやはや、よく生き残りましたね。それでは皆さんにコインを配らせていただきます。」
すると再びゲームウィンドウが現れる。
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貴方は残虐の試練を突破しました
クリア報酬:残り時間分のコイン
2192コインを獲得しました。
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「では皆さんにコインを配ったところで…皆さんにプレゼントをあげましょう。」
そしてもう一度ゲームウィンドウが現れた。
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貴方は
《スキル:知覚強化》Lv1
《スキル:タイムリープ》Lv1(LvMAX)
を獲得しました。
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『なんなんだ?これは』
「これはスキルと呼ばれる特殊能力です。スキルによっては人智を超越した力を手に入れることができます。ですがほとんどの方がLv1でしょう。レベルの上げ方はいくつかありますが、一つはコインを使ってレベルを上げる方法です。自分でウィンドウを出してコインショップからレベルを上げられます。あ、出し方はウィンドウと言うだけですので。お手軽でしょ?」
「ウィンドウ」
みんなウィンドウを開き始める。俺も自分のウィンドウを開く。そこには自分の名前とスキルとステータスのようなものが書かれていた。そして右上にショップと書かれている。そこをタップするとショップ画面が開く。いろいろ見てみるがスキル強化以外にも新しいスキルを手に入れたり装備や武器を買うこともできるらしい。スキル強化や購入に関してはかなりのコインが必要になっている。しかもスキルにはランク付けがされているらしく、俺の知覚強化はEでタイムリープは不明となっている。不明という点には疑問が出るがそれは一旦置いといて、知覚強化のレベルアップには2000コイン、新しいスキルを購入にも一番下のFですら1500コインかかる。かなり高額だ。
『どうする…今後のために残しておくか?いや、すぐに使えるようにレベルを上げるべきか?』
迷った末に俺はレベルを上げることにした。すると周りが騒がしくなる。
「ハハハハハハ!これがスキルか!楽しいな!」
この前の男がスキルを使って周りの人間を殺しまくっていたのだ。
「しかも人を殺すとそいつのコインを手に入れられるなんてな!」
「ははは、面白い人ですね。そうです。人を殺すとその人のコインを奪うことができます。人を殺すか仲間として共にするかはその人の自由ですがね。そしてもう1つ伝えることがあります。それは今から12時間後、第二の試練をはじめます。それまで休んでくださいね。」
そして再び悩夢は消えていった。周りの空気は最悪だ。他者同士が警戒をし合う。こんな状況で、生きていける人間は狂人か化け物ぐらいだろう。
・・・
死にたくはない。半ば気合いだけで12時間耐えきった。他の場所では何回か悲鳴が聞こえたり爆発音が聞こえたり終末化していた。そして悩夢が現れた。
「いい感じに試練会場感出てきましたね。では第二の試練をはじめます。」
そしていつも通りウィンドウが現れる。
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第二の試練《業火の試練》
クリア条件:業火の龍の討伐
報酬:貢献度に応じたコイン
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「業火の龍?」
誰かがそういった瞬間だった。横の建物…否、そこにあった全てが消えた。全員がその方向を見る。
「何が起こったんだ?」
「業火の龍は5分に一回、人が多い方向に向けて炎を吐きます。それはありとあらゆるものを消し炭にします。そしてこの試練には業火の龍以外にもモンスターが召喚されています。そいつらを倒してもコインを獲得できます。そして鍛えて、業火の龍を討伐してください。ということで、また会えることを祈っていますよ。」
そしていつも通り、悩夢は消えていった。
『どうする…この状況で仲間を探すのは難しい…コインも残り192だし…最大の問題は…』
俺は今試練ウィンドウとは別に現れたウィンドウを見て頭を抱えていた。
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疲労値が一定数を超えました。あなたのステータスが低下、
《スキル:知覚強化》の使用できる最大レベルが1になります。
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ステータスウィンドウを見ると疲労値という欄が80/100となっていて全てのステータスの後ろに-3と書かれている。知覚強化もLv1と表記されている。
『休まないとスキルが上手く発動しないし、休みすぎると周りの人間に襲われる…どうしたらいいんだ…』
俺がそんなことを考えていた瞬間だった。視界が暗転し、一つのウィンドウが現れた。
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貴方は業火の龍の炎に焼かれ死亡しました。
《スキル:タイムリープ》が発動します。
ステータスウィンドウに死亡回数が記録されます。
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そのウィンドウを見た俺の視界は光で包まれた。