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ちょいと小話  作者: pitto
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迷子の迷子のワンワンワン

犬がいた。

いや、説明不足だな。細かく説明するとこうだ。コンビニに向かおうと玄関を開け、道路に足を踏み入れたら、目の前に犬がいた。


Q.野犬か?

A.首輪とリードをしている。リードが首から垂れて、少し汚れている、か?


Q.ならば捨て犬か?

A.その割には痩せていない。人を怖がるどころか、その目からはむしろ好奇心を感じる。つまり、迷子ならぬ迷い犬。


少し足元が汚れている。近くに飼い主らしき人はいない。...家から脱走とかではなく散歩中にはぐれて、ここまで移動してきたと考えるのが妥当か?次に顔つきを観る。犬が特に好きで、昔から散歩している犬や近所にいた犬を観てきた。そのせいかなんとなく年齢が分かるようになったがこの子は...、若そうだな。3~5才くらい?目元も綺麗だ。良い飼い主に飼われているようだ。

ここまで冷静でいたつもりだったが、頭の中で、ある童謡が流れ始める。しかし今回はまさかのお巡りさんがにゃんにゃんにゃにゃんだ。立場が反転してら。自分にツッコミをいれる。それはともかく。この場合どこに連絡したらいいんだ?迷子なら迷わず警察に一報をいれるが、ペット、保健所...?

いや、数日ならまだしも数時間での迷子なら飼い主自身が探していて連絡をしていないかもしれない。それにおそらく、犬の勢いに負けて離してしまった可能性が高い。子ども...若い飼い主、または高齢者か?犬を知っている人が近所にいるかもしれない。その為にもこの子を、リードをとる必要があるが。

果たして。逃げ出した。は、早い!いや、私が遅いのか?自身の体に不安がよぎる。立ち止まり、目をつむり息を調える。目を開けると、目線の先にはもはや犬は居らず、しかし視界の下端に毛玉はいた。これを3度繰り返した。...遊びと思われているのか?こりゃあ飼い主大変だわ。

追うから逃げるのか?下手に近づくより、深呼吸をするこのタイミングが一番近い。ゆっくりしゃがみ、犬と目の高さを合わせる。しゃがみ出した際に方向転換しかけたが、すぐこちらを振り向き、体を戻した。やはり追いかけっこだと思われていたらしい。ゆっくり下から手を伸ばす。逃げる素振りすら見せず、簡単に触れることができた。

今までの追いかけっこは、一体...。肉体の他に精神的疲労に襲われる。よしよしと頭を撫でながら、首元からリードを、つかんだ、確保だ。やっと、やっとスタートラインに立てる...。まだ始まってすらいない飼い主探しに達成感を感じながら、犬を撫で回すのであった。


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