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ちょいと小話  作者: pitto
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奈良の鹿せんべい

むかーし昔、あるところに、鹿せんべいを買ったのに鹿にあげずに上の神社の方まで持っていった若者がおったそうな。その者は、麓の、数枚近づいてきた鹿にはあげ、見ているだけの鹿には冷やかしをしておった。

なにを思ったのか、一枚、一応原材料を尋ねてから食べ、不味い不味いと言って一応食べかけを平らげ上へと登っていった。上の方にも鹿はおり、若者の近辺にも小鹿が一頭おったそうな。散々下で冷やかしておいて、食べてみたら思いの外不味かったので、余ったせんべいの後始末に困った若者は、その小鹿に平らげてもらおうと、小鹿をせんべいで誘った。しかし小鹿は見向きもせず、足元の草を食むばかり。困った若者に後ろから「貸してみなさい。」と一人のじい様が若者に声をかけた。若者は減るならばと一枚渡し、様子をうかがった。

「大抵は下で全部平らげられちまうでね。だけん、ここの鹿たちはせんべいを知らんとよ。」

そういいながらせんべいを小さく割り、小鹿を誘う。するとさっきまで一見しただけだった小鹿が、せんべいに近づいてくるではありませんか!

小鹿が、おそらく生まれてはじめてであろう、せんべいを食べた、その瞬間に、我々は、立ち会ったのです!

感心している若者は、他も食ってもらおうと残りを差し出しましたが、じい様からの欠片で満足したのか、その場から去っていきましたとさ。


ちゃんちゃん

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