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北の魔女  作者: 覧都
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第九十四話 まなの考え

わたしは深く座り直し、目を閉じる。

日本の学校では、無理矢理知りたくないことでも教えてくれる。

それが今は、とてもありがたいです。


歴史上、人類最大規模の世界帝国はモンゴル帝国で、王様はチンギスカン、幾つもの国を戦争で倒し、世界人口の半分以上を支配したと学びました。

その時の先生がチンギスカンを好きだったのか、滅ぼした国や、民族の事を教えてくれましたが、関心がなかったので、憶えていません。


でも、その巨大帝国もやがて分裂し、いくつかの国に分かれて、また戦争をくりかえしています。

もしそのとき、わたしがチンギスカンに戦争してもいいですかと、質問されたらどう答えるのだろう。


「おかわりー」


その言葉でわたしは目を開いた、あれほどあったアドバーガーと飲み物が全部消えている。

わたしは、指パッチンをして、もちろん鳴りませんが。

机の上にさらに大量にアドバーガーと、飲み物を用意した。


そして、目を閉じ、考え始めた。

日本が戦争を始めたのは、どんな時だっただろうか。

そのとき、わたしに、戦争してもいいですかって相談をされたら、わたしはどう答えたら良いのでしょうか。


負けて、大変なことになるからやめなさいでしょうか。

でも、負けた後の日本は、立派に立ち直りました。

あのとき、戦争をしていなかったら、もっと豊かな暮らしが出来ていたのでしょうか。


「おかわりー」


はー、もうおかわりー、わたしは、目を開けた。

机の上から、全部消えていた。

良いでしょう、わたしは、机をもう一つ用意して、こっちの机と今出した机に、乗る限界まで、アドバーガーと飲み物を出した。

そして、また目を閉じ考え始めた。


南トランの王様から、もし戦争してもいいですかと質問があったら、どう答えたら良いのでしょうか。

もし、戦争に勝っても、よくなる事ばかりでも無い。

負けたからといって、そこから学び立ち直ることだってある。

むしろ、良くなることだってある。


「おかわりー」


えーー、はやい、はやい、おかしい。

もう一つ机を出して、三つの机に、乗る限界までアドバーガーと飲み物を出した。

今度は、薄めをあけて様子を見ることにしました。


クロちゃんが机の上の、アドバーガーを消しました。

クロちゃんが机の上の、飲み物を消しました。


な、何をやっているんだ。

下の階が騒がしい。


「追加のアドバーガーきましたー」


「あいよー」

「お客さん、お待たせしましたー」

「はい、銀貨一枚だよ」

「照り焼きの注文が多いから、次は照り焼きだけでいいよー」


ま、まさか売っているのか。


「おかわりー」

「つぎは、アドバーガーは照り焼きだけでいいです」


飲み物と照り焼きバーガーを、三つの机一杯に出した。

そして、わたしは、物見台から身を乗り出し、下を見た。

街道沿いにあるこの建物は、今、峠の茶屋の様な感じで、大量のお客さんで賑わっていた。


お客さんが皆笑顔でおいしそうにアドバーガーを食べて、飲み物を飲んでいる。

飲み物は、以外にも水が好評のようだ。

それは、そうだ、その水は、わたしの記憶の中で最もおいしかった、富士の湧水をイメージして出した水なのだ。


わたしが後ろを振り返ると、ノルちゃんとメイさんが汗をかき出しました。

主犯はあの二人かー。

別に怒っていませんよ。

わたしは、空いているスペースに長椅子を出した。

背もたれの無い、時代劇のお茶屋さんにあるタイプの長椅子だ。


「下のお客さんが、座れるように用意しました」

「使ってください」


「あ、ありがとう、まなちゃん」


ノルちゃんと、メイさんがほっとしています。

いちいち、人のやることに文句を付けてもしょうがありません。

よかれと思って、やってくれていることもあります。


これだって、長い道のりを歩いて来た人が、おいしい物を食べて、おいしい飲み物で水分を補給することができます。

良い事です。

銀貨一枚は高いですが。

わたしは銀貨一枚が一万円くらいの価値があるとにらんでいます。


おかげで、考えがまとまりました。

答えはこうです。


「静観します」


皆が、キョトンとしています。

まさか、わたしがずっと戦争について考えていたことを忘れているのかー。

こんなに考えたのにー。


「南トランのことです」

「わたしは、静観することが正しいと思います」

「南トランの国王も、ちゃんと考えての結論だと思います」

「見守りましょう」

「で、メイさんはどうするのですか」


「それは、決まっている、中立だ、どちらにも加担しない」

「これで、イホウギいや、ギホウイさんが私の配下になるのだからな」

「そして、最初の命令が、この武術大会への出場だ、皆も見たいだろ、世界一の武を」


皆が、コクコクうなずいている。


この話し合いが終わると、アドバーガーを食べたい人を、次々クロちゃんが移動魔法で運んでくれました。


マリアちゃん、マイちゃん、コウさん、六人のメイドさん、チュウさん、モリさん、ミミちゃん、ルシャちゃん、シマさんの順で現れました。


先生と委員長さんに紹介すると、二人ともわたしの方を見て震えています。

あー、わたしがすごいわけでは、ありません、あいちゃんがすごいのですよ。

全部、あいちゃんの御陰でつながった人間関係です。


一通り紹介が終わったら、皆凄い勢いで、アドバーガーを食べ始めました。


ミミちゃんが、こっそり玉子サンドを食べたいと、注文してきたのでこっそりミミちゃんだけに出しました。

相変わらず、ミミちゃんは、慎ましく少しずつサンドイッチを口に運ぶと、涙を流しています。

病気で辛かった日々やお母さんの事を思い出すのでしょう。

良い子です。そして、ハイさんやメイさんに並ぶほど美しくかわいい子です。わたしの宝物です。


「あのー、皆さんがそろった様なので、ちょっと大会の説明をしてよろしいですか」


ノルちゃんが、席を立ち皆に話しかけた。

後ろに、パイさんに替りメイドさんと八の字髭のおっさんが立っている。

だが、その口の回りが、照り焼きのタレでびちゃびちゃです。


「あー、その前に、わたしにもサンドイッチをください」


一同ずっこけた。

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