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北の魔女  作者: 覧都
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第七十七話 グエン会議

オリ国、第二都市コオリ、グエン商会一階。


いま、わたしはここにいます。


「皆、朝飯は食ったか」


メイちゃんが全員の前に立ち質問をする。

ここには、ミッド商会の偉い人と、後イ団の偉い人が集まっています。


「はい、しっかり済ましています」


メイちゃんの横の体がおおきくて、顔に沢山傷跡のある男の人が、真面目に答えた。

人相悪すぎですごく恐いんですけど。


「よし、これより大人の話し合いを始める」


「えーーっ、一番ちっさい女の子が大人の話って」


つい、口に出してしまった。


メイちゃんが、満面の笑顔だった。

あーー、たぶんメイちゃんのウケをねらったギャグだったのね。

まんまとひっかかったわ。


メイちゃんの邪魔をしないように部屋を見渡すと、部屋の隅で床に直に座って暗い表情の女の子がいた。

わたしと同じ位の少女だったので、興味がわいて声をかけてしまった。


「あなた、ここで何をしているの」


その子は左手を前に出した。


「指がないの」


「はーーっ」


差し出された手の指を見ると、綺麗なすらっとした上品な指で、全部揃っている。

なんか、恐くなってきた。

可愛い顔なんだけど顔の表情が暗く、何を考えているのか読めない。


「ナイフが刺さっているのー」

「うっ、うっ、うっ」


ぎゃーーあ、恐い、恐い。

だってナイフなんて刺さってないし、なんで泣き出したのか、意味がわからない。

はーっ、声を掛けなければよかった。


助けてもらおうと部屋を見回したら、マリアさんと目が合った。

すっと、目をそらされた、横目でメイちゃんを見たら、メイちゃんがわたしを気にしてくれている。

これならいけるかと思って、メイちゃんの方をみる。

すっと目をそらされた。


この子は腫れ物って奴かー。

ここにいるって事は、大切な人なのよね。

しょーがないなー。


「あなた、お腹空いていない」


「いらない」


ぶんぶん頭を振っている。


「これ、チョコレート」


一欠片、口に入れてあげる。

むにむに、口を動かしているが、表情は変わらない。

うーん。

やっぱり食べ物でつるなんて無理か。

幼児じゃないしね。


「ぎゃーー」

「いたい、いたい」

「指、噛んでるよー」


突然その子が豹変して、わたしのチョコレートを持っている手を捕まえて、口に持って行った。


ぱくぱく、いっぺんに口に入れたから、口の回りが、ぐちゃぐちゃになっているよ。

幼児かー。

でも目に、少し光が戻って来た。


「……」

「あなた、誰?」


「うお、しゃべった」

「わたしは、まな、あいちゃんの友達」


「おかあさまの友達」


お母様って、あー、思い出した。

あいちゃんの養女ってこの子か。

お姫様ですよね。口の回りチョコでベトベトですけどね。

まあ、チョコレートは気付け薬みたいな物ですから。

少し良くなって良かった。


ぐーーっ


マイちゃんのお腹がなった。

まあ、元気が出てくるとお腹が空くものです。

お姫様が、口の回りをグチャグチャにして、赤くなっているのはとてもかわいい。

わたしも、女の子ですから、かわいいものは大好きです。


「何か、食べますか」

「こちらへ」


開いている席に二人で座る。


「さて、何を出してあげましょうかー」

「お腹に優しい物がいいですね」

「玉子粥なんかどうでしょう」


土鍋に、超だしを効かせた玉子粥と、レンゲを二つづつ出して、まず自分が味見した。

うん、良い味、昆布と鰹の味がガツーンと効いている。

マイちゃんもわたしのまねをして、レンゲでフーフーして、口に運ぶ。

相変わらず口の回りが茶色で泥棒の髭のようで、超可愛い。


「な、なんですかこれ」

「おいしいです」


「そうですか、お口にあって光栄です」


ふと、横を見るとさっき目をそらしたマリアさんが座ってきた。


「食べますか?」


めちゃめちゃ、うなずいている。

ヤパの王様もいらっしゃいましたよ。


あんたら、さっき朝ご飯食べたでしょ。


玉子粥を二つだした。


「お姉様、チョコレートもおいしいですよ」


チョコレートも二つ追加した。

流石に、マリアちゃんとノルちゃんは口を汚さず、一欠片ずつ上品に食べた。

しかし、そのスピードがお上品ではありませんでした。


「マイさん、ハンバーグもおいしいですよ」


ハンバーグをレストランで出すみたいに、熱々の鉄板の上に置いて、ポテトと、パスタをのっけて出してあげた。

これも、味見と食べ方の説明のため二つ出した。


んーー、結局わたしが一番食べているじゃないかー。


「まなちゃん」


横にメイちゃんが来ている。


「全員分出してやって頂戴」

「あいつらの気が散って、会議が進まない」


「わかりました」


結局全員分ハンバーグとライスを出しました。




食事が終わり。

会議が始まると、わたしの紹介から再会された。


「いま、食べてもらったから、実力はわかると思うが、この子がまなちゃん」

「酒も、餃子も、この子の発明品だ」

「ミッド商会では、この子から商品を提供してもらう」

「取引先は、オリ国とヤパ国だ」

「二人とは後で、取引方法を打ち合わせしたい」


メイちゃんがノルちゃんと、マリアさんの方を見る。


「商談は、私とコウさんで行う」

「他の者は、ゴルドの残党狩りを頼む」

「コオリが終わればオオリの掃除もしたいと思う」


会議は続いているけど、わたしの用事は済んだみたいなので、マイちゃんの席に戻る。


「まなちゃんに頼みたいことがあるのですが」


後ろからヤパの国王ノルちゃんが声を掛けてきた。


「なんですか」


「ここの用事が済んだら、一度私の国に来て助けて欲しいことがあります」


「私に出来る事でしょうか」


「まなちゃんにしか頼めません」

「お願いします」


ノルちゃんが頭を下げる。


「わたしは、あまり頼りになりませんよ」


ノルちゃんはたぶん、北の魔女に頼み事をしていると思う。

でも、今のわたしは、魔法が使えない。

本当に役立たずだ。


「そんなことはありません」


ノルちゃんは必死の表情になっている。


「まな様、お願いします」


だめだ、わたしには断れない。


「様はやめて下さい、本当に役に立てないかもしれませんが」

「やるだけ、やってみます」


こうして、わたしは、コオリでメイさんの指示の下。

倉庫を酒と砂糖で一杯にしてヤパに向かった。

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