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北の魔女  作者: 覧都
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第七十六話 思い出の味      ※挿絵あり

挿絵(By みてみん)



かわいい女の子が手中にあれば、当然こうなりますよねー。


「まな様、や、やめてください」

「本当にお願いします」

「だめです、やめてください」


「ふっ、ふっ、ふっ」

「よ、よいではないか」

「よいではないか」


わたしの手がクーちゃんの胸に忍び寄る。

「くっこの、なかなか、ガードが堅いではないか」

「Bカップくらいかな」




「まなちゃん!」


ビクッ!




「な、な、な、なんで、あいちゃんの声が」


あたりを見渡すと、美女軍団の足が見える。




「クロ、お前なにやってるんだ」


赤い人がクーちゃんに詰め寄る。


「私は、クーカイといいます」

「クロさんとは別人格ですよ」


ちょこちょこ横に、白い少女姿のクロちゃんが歩いて来て横に並ぶ。

並んでみると、違いがある。

クロちゃんより、クーちゃんの方が少しつり目で、全体が青っぽい。


「すまない、あまりに似ていたものだから」

「間違えてしまった」


「いいえ、気にしないで下さい」




「まなちゃん!」


うわー、あいちゃんがお怒りです。

あいちゃんは怒ると、無表情になるから、凄く恐い。

赤い服を着た、長い髪の幽霊より恐い。


「そういうことは、相手の人と合意の上じゃないとだめです」


なんですと、合意なら良いということですか。

言質とりましたからねー。

喜びとは裏腹にわたしは、神妙な顔をして謝りました。


「ごめんなさい」


あいちゃんの表情が緩む。

わたしは、ほっと、胸をなでおろした。


「まなちゃん、紹介したい人がいます」


あいちゃんの横に三人の美人が並んでいる。


「最初にシロさん、アカさん、そしてアオさんです」


んーー、これは、突っ込み待ちかー。

色々突っ込みたいぞー


「シロちゃんは、クロちゃんの双子の魔人なんですよ」


それでかー、色が逆なんだー。

で、あとは、赤い人がアカさんで、青い人がアオさんね。

それとも反対かー。どっちでもいいや。


「ハイさんとミドムラサキさんと留守番の入れ替わりで来てもらいました」


あーほんとだ、超絶美人さんと緑の人がいなくなっています。


「まなちゃんがいない間に、料理を食べてもらいました」

「好評でしたよ」






お腹が膨れれば、お休みタイムです。

わたしは目の細かい虫の入らないシーツと、うどんの様な長い枕を出して、草の上に用意した。

枕は輪っかにして、全員で横になった。


わたしの横には、あいちゃんがいてくれます。


「ねー、まなちゃん」


「はい」


「あの魔法凄いですね」

「わたしの消去空間で、まだ広がっていますよ」


「わかるの?」


「はい、感じます」


「じゃあ、クーカイちゃんの事も知っていますか」


「ええ知っています」

「わたしは消去先の空間のことは、どこに何があるか、意識を向けると確認できます」

「まなちゃんの事はずっと意識していましたから」

「あの空間でのことはだいたい知っています」


「そっかー、見られていたんだー」


「……」


あいちゃんの顔が赤くなる。

わたしがクーちゃんにした悪戯を思い出しているようだ。

皆を起こさないように小声で話しているため、あいちゃんの顔が近い。

近くで見るあいちゃんは、相変わらずかわいい。


わたしは、なぜか緊張して鼓動が速くなる。


どきどき、どきどき


こ、これは告白タイムなのか。

男は度胸だー。


「あ、あいちゃん、胸をさわってもいいですか」


「えーーっ」


あーやってしまった。

我慢すればよかった。

あいちゃんに引かれてしまった。

きっと嫌われてしまった。


あいちゃんは向こうを向いてしまった。

もう、あのかわいい、あいちゃんの顔は見ることが出来ないでしょう。


「ふれるだけですよ」


えーーっ、まさかの合意ですかー。

あいちゃんの耳が真っ赤になっています。


で、では、いただきます。


「ぎゃーー、なんでー、まなちゃん」

「ふれるだけって言いましたよね」

「わたしは、心に決めた人がいます。それ以外の人には触らせることも嫌だったけど、まなちゃんだからゆるしたのに」


あいちゃんは立ち上がり涙目でこっちを睨んでいる。


わたしは、つい手をわしわししてしまったのだ。

でも男が止まると思いますか。ここまできたら、男なら行っちゃうでしょ。

あっ、わたし、女だった。

女だということをわすれてしまった。


「ご、ごめんなさい、あいちゃんが、あまりにも可愛いものだから」

「女を忘れてしまいました」


まわりを見渡すと、美女軍団の肩がガタガタ揺れている。


「ぎゃーはっはっ」


とうとうヤパの王様がこらえきれずに笑い出した。


それを、口火に全員が笑い出した。


「わたし、まなちゃんって、もっと恐い人だと思っていました」


うん、それって、北の魔女のことですよね。

みなさん、薄々わかっているのですね。

でもわたしはこんなもんですよ。

本当の本当は、北の魔女でもないのですよ。


「み、皆さん、聞いていたのですか」

「ひどいです」


あいちゃんが真っ赤になっている。


「あいちゃん、ごめんなさい」


「ううん、いいの、わたしも驚いただけです」

「まなちゃんは、二番目ですから大丈夫です」


あいちゃんの二番目かー。

十分です。




翌朝、わたしは一番に起きて、朝食の準備をしています。

ミミちゃんのため、玉子サンドにしました。


少し大きめの皿に、ミミちゃんに作った、薄焼き昆布だし、塩味の玉子サンドを一番右に置き。


次に、薄焼き玉子は、粉だし、砂糖少々を追加して二枚、真ん中にマヨネーズをたっぷり塗ったサンドイッチ。


その隣にゆで卵をつぶして、大量のマヨネーズで混ぜた物を挟んだサンドイッチ。

この三つは少し小さめ一口サイズ。


一番左のサンドイッチは、薄焼き玉子の間にマヨネーズ、レタス、トマトの薄切り、キュウリの薄切りを挟んだ野菜サンド。

少し大きめで作りました。


飲み物はカフェオレ、砂糖たっぷり。

そして、お酒を飲んだ人用にシジミ汁を用意しました。


ミミちゃんは、人知れず、薄焼き玉子のサンドイッチを食べて、泣いていました。

不謹慎ですが、わたしは、朝日の中の赤髪のミミちゃんの涙姿が、とても美しく感じられました。


シジミ汁は、皆にすごく好評で、お酒を飲まない人までお替わりしていました。

お味噌汁って、以外とパンに合うんですよね。

ただ、わたしは、シジミ汁って駄目なんです。

仕方ないですよね、好き嫌いってありますもんね。


あいちゃんには皆には内緒でハムサンド、カツサンドを伝授しました。


こうして朝食をおえた、美女軍団は、あいちゃん、ミドムラサキさん、ホイさん、セイさんを残し、それぞれの場所へ移動することとなりました。


あいちゃんは、この魔王の森の真っ只中で、人間の町を作るため、しばらく奮戦することとなります。

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