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北の魔女  作者: 覧都
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メイの家

後イ団女性陣はメイの家に向かうため、アド商会オオリ支店に来ていた。


「オリの北西の森に近い場所の移動符がほしいのですが」


「あー、探究の魔女の森ですか」

「あそこ魔女の家が学校になっているんですよ」


「じゃあ、その学校までの移動符を」


「ちょっと待って、メイちゃんの家って学校の近くにあるの?」


マイが聞く。


「そうね」


「そんなところに家ってあったかしら」

「まあいいか」


移動符を買い、店のふちっこで移動した。




探究の魔女の森、魔法学園


森を大きく切り開いた所に立派な学園が出来ていた。


学園の前の開けた所に、後イ団女性陣は移動してきた。


「わーなつかしい」

「って全然ならねー」


メイは少しご立腹である。


「なんなんだここは、私がいたときの面影が全然ない」


怪しい一団が学園の前をウロチョロしていたら。

学園の中から先生らしい人が出て来た。

白髪で、初老の女性、目が赤く光っている、魔道士先生である。


「なにか、ご用ですか」


「ここにあった、昔の家はないですか」


「それなら、この裏に」


メイは走り出していた。

それに遅れないようみんながついていった。


小さな古くて赤い屋根の家があった。

メイは目がうるうるしている。

メイはその家に勝手に入ってしまった。


「メイちゃん勝手に入っちゃだめだよ」


あいが、びっくりしてメイに声をかけた。


「おばか、ここは私の家だ」


明るい日差しを受けた、赤い屋根の小さな家。

その真ん中の扉を開けた、白い服、短いスカートの少女の姿が、絵画のようだった。


「もうなにもないのか」


「いいえ、先生、全部残っていますよ」


先程の魔道士先生が、泣きながら答える。


「後ろを見て下さい」


後ろを見たメイの目には、学園の後ろすがたがあった。

そこには、おばーさんの魔法使いが子供達に魔法を教えている笑顔あふれる絵が描かれていた。


「先生が手をつないでいる一番小さい子供がネムっていう生徒です」


「私なんですよ」


「あなた、ネムなの」


「はい先生」


「帰って来てくれたのですか」


「旅の途中で立ち寄っただけです」


「先生の生徒達に会ってやってください」


後イ団女性陣は、学校に案内された。


石畳の魔法練習場に生徒が集められた。

みな、ちらちらマイを見ている。


マイは数日前、他の生徒とけんかして飛び出したばかりなのだ。


一番優秀な生徒が呼び出され、魔法を使う。


人の背丈程の炎がでた。


おおーー

皆感心している。炎を出した生徒も、どや顔だった。


「あいちゃん極極少の雷を一発向こうの森へ下から上にお願い」


にこりと笑い、貧民の少女が石畳の上に立つ。


「いきます」


ゴガアアーーガラガラ


雷がイネス湖位の大きさで、森の上から空に向かって、無数の稲妻となって上がっていった。


生徒達の口が皆パカーと開いたままになっていた。

もちろん目は点である。


後イ団の女性陣のマイ、レイ、ハイの三人の口も同じだった。

そして、目も。


「あのーあい様、攻撃魔法は使えないのでは?」


ハイが驚いて聞いた。


「使えますよ、攻撃には使わないと決めているだけです」


あいは普通に答えた。


「世の中にはこんな魔法を使える人がいます」

「しかも貧民です。貧民だからとばかにしないようにしましょう」

「また、少し魔法が出来るようになったからと、調子に乗らないようにしましょう」

「ネムさん、こんな所で良かったかしら」


メイが魔道士先生と生徒を笑顔で見る。


「はい、ありがとうございます」


魔道士先生はぺこりとお辞儀をし、話を続けた。


「先生、私の教え子の魔道士がいますので」

「オリ国の魔道士協会へ顔を出して下さいませんか」

「喜ぶとおもいます」


「わかりました。あの家、残しておいてくれてありがとう」

「じゃあね、ネムさようなら」




「クロちゃんオオリへ移動お願い」


あいが肩の白い妖精のような魔人クロに移動魔法の依頼をした。




ガイ達は、グエン商会へ来ていた。


受付嬢はいつもの受付嬢だった。

わかりやすくなるように、干し肉をくちゃくちゃ、やってくれている。


「今日は、ガイさん達だけですか」


「そうです、後イ団の件できました」


「はい、ありがとうございます」


あいがいないので干し肉は飲み込んで続ける。


「その前に、戦争回避の件もお礼申し上げます、ありがとうございます」


「もうご存じなんですね」


「オリ国兵が撤退をはじめたと聞けば、大体予想がつきますよ」


「後イ団の手続きは終了していますが、入団試験とかはいつされますか」


「いまからとかは、できたりします」


「後イ団なら、なんでもできますよ、わがまま言い放題です」


「こわい感じがしますが、ではお願いします」


「皆さん、準備ができましたら広場の方へ」


受付嬢がそう言うと、グエン商会の待ちあい用の椅子に座っていた者達が、わらわら立ち上がった。

今日ここにいる者達は、後イ団、団員募集の掲示板を見て集まった者の中から、受付嬢が厳選した二十名だ。

費用はグエン商会が持ち、いつでも試験が受けられるように滞在してもらっていたのだ。


「あのー今日いる人、全員試験待ちですか」


「そうですね」




試験は公共の広場で行うことになった。

グエン商会が、許可を取り、手続きを済ましてくれていた。


「試験内容は、実力試験でよろしいのですか」


「はい」

「俺か、ロイ君のどちらかを指名してもらい」

「一本とったら合格とします」


「一応言っとくけど、ガイさんより俺の方が弱いぜ」


ロイは木剣を持ち数回振った。


「では、一番の方」

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