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北の魔女  作者: 覧都
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オリ国の暴走

グエン商会 ヤパ王都支店


あいとハイが着くと、余り時間がたたない内に、伍イ団の皆が来た。


「結局、お風呂に入ったけど、埃が多すぎて無駄になった感じ」


レイがあいに話しかける。


「わたしも、ハイさんの服を探したのですけど、店すら分かりませんでした」


「やっぱりイネスの方がいいわね」


皆がそろって受付に行くと、受付嬢が、イネスと同じ気がする。


まずは、魔封石を清算してもらい、本題に入る。


「少し相談したいことがあるのですが、よろしいですか」


あいが代表で相談する。


「どうぞ」


「こちらの、サイさんと、ハイさんを登録したいのですが」

「ハイさんは魔人で、サイさんは国外追放者です」


「金貨一人十五枚です、それさえ払って頂けば問題ありません」

「サイさんはイナ国への侵入は出来ません、それは登録者になっても変りません」

「ついでに、あいさんもイナ国には侵入禁止ですね」


「団にも加入させてください」


「伍イ団でよろしいですか」


「はい」


「ところでメンバーも増えたことですし、一般からの募集も」


「え、やっぱりイネスの受付嬢さんですよね」


「えーえ、気づいてなかったんですか」

「そうですよ、皆さんに会いたくてこっちに転勤してきました」

「こんな美人そんなにいないはずなのになー、干し肉でもクチャクチャしてたほうが、わかりやすかったかなー」


ひとしきりぶつくさ言ったあと

受付嬢さんはにこりと笑い、話を続ける


「一般募集についてですが特例として新しい団を作っても良いのですけど」


この提案にあいが食いついた、


「後イ団を作ります」

「伍イ団はそのままで、後イ団に七人登録してください」

「後イ団で一般からの登録者を受け付けます」


「皆さんはそれでいいのですか」


「あいちゃんがいいならいいわよね」


メイが答えて皆を見る。

こくこく皆頷く。


「入団方法は、どうしますか」


「団員の紹介または、試験合格者ですね」


メイが回答する。


「分かりました」

「手続きをしますのでまた数日たったら来てくださいね、おまちしています」


全員が、グエン商会を出ようとしたとき、受付嬢が呼び止めた。


「少しお待ち下さい」

「皆さん応接室へ来て下さい」


しばらく待っていると、ノル女王といつもの護衛二人が来た。


「みなさん、オリ国が暴走しました」


「えっ、なんのはなしですか」




オリ国とは、この世界の中央の国で、人口が世界人口の半分をしめる大国である。

元々は北の魔女の、眷属グエンに守護されていたのだが、6代前の王が守護を断り、いまは北の魔女から独立している国である。

暴走とは、この国が世界征服をするため兵を各国に進軍させたということだ。

百万の兵を動員し、ヤパ国にも十五万の兵を出陣させてきたのである。


「ノルちゃん大丈夫」


「人間相手なら大丈夫です」

「それより、オリの国王は温厚な人でこんなことする人では無いはずなんですけど」


「なにか裏がありそうだな」


サイが珍しく発言した。


「やっぱりね」


ノルが可笑しそうにサイをみる。


「あなた、イナ国の王、サイ様ですわね」


「いやいや、いまは、ただのサイです」


少しあせってサイが答える。


「面白いですね、伍イ団」

「それぞれが、英雄の様に強い上に、国王までがお忍びで同行しているなんて」


伍イ団の五人は、サイが気の毒で否定をしなかった。


「わたしも入れてもらいたいわ、伍イ団」


「えーえー!」


「あら、冗談よ。そんなこと出来ないもの」

「そんなに迷惑だったかしら」


伍イ団の五人は冗談だと思えなかった。


「あのー聞いてもよろしいですか」


あいがおそるおそる会話に入る。


「シュウ将軍はどこにいるのか分かりますか」


ノルがメイドの方を見る。

メイドが一歩前に出て答える。


「南トラン攻略部隊の指揮を執っています」


「南トラン、師匠」


あいが心配そうな顔になる。


クスクス、メイが笑う。


「決まったわね、私たちはイナ国へは行けないし、南トランへ行きましょう」

「サイ様はどうしますか、登録者になったので、ここで暮らして行くことも出来ますよ」

「後イ団で募集すれば団員も集められます」

「どうしますか」


「わしも、同行する」

「伍イ団では、学ぶことが多い」


「では、決まりですね」


あいは心配そうにノルの方を見る。


「あいちゃん、心配しないで、ノルはこれでも三大魔女の一人ですから」

「それより、この戦い、早めに終息させて下さい。長引けば死者が増えますから」


「三大魔女?」


あいはこっちに食いついた。


「あいちゃんは知らないのですか、北の魔女、探究の魔女、ヤパの女王、この三人を三大魔女と言うんですよ」

「今は、四大魔女であいちゃんが入っていますけどね」


「ひ、広めないで下さいね」

「探究の魔女かー、会ってみたいです」


「ふふ、私は会ったことがありますよ、大分お婆さんでした、むしろババアでした」


ブッ、たまらずレイが吹き出した。

メイがレイを軽く蹴った。


探究の魔女とは、この白い美少女メイのことなのだ。


「あいちゃん本当に忘れているの」


メイがたまらずあいに質問する。


「えー、なにがー」


いつもの緊張感のないあいだ。

メイは諦めた。

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