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北の魔女  作者: 覧都
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お風呂回

「れは、おろなのふぁなしゅふぉ、しゅえおうれふぁらいか」


メイが、ぐでん、ぐでんで、皆に話しかけた。

もはや、何を言っているのかすら分からない。


「治癒」


あいがメイに治癒をかける。


「な、何をするのだー」

「酔いが全部飛んでいってしまったではないかー」


メイが涙ぐんで猛抗議する。


「まあいいか、丁度酔って気持ちが悪かったところだし」

「それにこれでもう一度飲み直せる」

「それでは、仕切り直してもう一度」


コホン、メイが咳払いをして続ける。


「では、大人の話をしようではないか」


メイはこの言葉が気に入っているようだ。


「まず、シロさん、軍を撤退されましたが、このあとヤパ国を攻める気はありますか」


「私は、あい様の配下にして頂きました、あい様の心のままに行動いたします」


「では、あいちゃんどうですか」


「私は、ヤパ国を攻めるように命じる気はありません」


「ヤパの国王ノル様、なにかありますか」


「ヤパを他の魔王軍が攻めて来ることは無いでしょうか」


「シロさんどうですか」


「他の魔王軍は攻めて来ると思います」

「ですが、そのまえに私が攻められるので、その後になると思います」


「えーー、だめじゃん」


「あい様、大丈夫ですよ、シロはあい様には遠く及びませんが、そこそこやりますよ」

「それに、どうしても助けが必要なら、ご主人様に助けてもらいますので」


「絶対に助けます、必要なときは呼んでください」


「ありがとうございます、ご主人様」


シロは赤くなりすごく嬉しそうだった。



この後シロはあいからお酒を二本もらい名残おしそうに城へ帰って行った。

ノルもサイダーとお酒と切子のコップをおねだりして貰って、城に帰っていった。

クロは自分の分体をあいに付けムラサキと帰って行った。


ハイは伍イ団に合流した。


伍イ団は、夜も遅いので野宿した。




翌朝はクロの移動魔法で、ヤパ王都前に運んでもらった。


王都は、攻め込まれボロボロになっていた。

この世界は魔力濃度が高いと雨が降らない。北の魔女のいるところに雨を降らさない為の魔女の呪いである。

そのためヤパ王都は雨が降らない。

ヤパの王都は砂漠のように砂埃に覆われ、さながらオアシスの街の様に、全体が黄色い街になっていた。


「こりゃあすげー」


ロイが驚いている。


ヤパには4重の城壁が築かれていたが、外の2重の城壁が壊され。

3番目の壁も所々崩れ、最期の城壁も随分壊されている。


「こりゃあ、本当に危なかった様だぜ」

「女王様があいちゃんに感謝するはずだぜ」


「すでに改修作業に入っているわ」


レイが作業現場を見ながら話す。


「敵が攻め込まないってわかっているし、はかどるわね」

「さてこれから、私たちはどうする」


「俺たちは風呂だな」


ヤパには公衆浴場が四つあり、三つは一般用、一つは貴族用である。

ノルから伍イ団は、貴族用の使用許可をもらっている。


「私たちもお風呂に入るけど」


あいはふるふる首を振っている。

あついお湯に入るのがいやなので、あいはその間街をぶらぶらすることにした。

ハイはあいと一緒がいいということで、結局、あいとハイの主従は、街をぶらぶらすることにした。

その後グエン商会で合流することにした。




風呂では、ガイとロイとサイが体を洗っていた。


サイの体は傷だらけで筋肉も多い。

体の大きさも、ガイに引けを取らない。


「サイさんあんたはいったい」


ロイが聞く


「これでも昔は兵士でね」

「近衛兵団の隊長をしていたんだ」

「その時、女王に見初められてね」


「それよりガイさんも、ロイさんもケガの痕が全然ないね」


「うちは女性陣が優秀だから、魔法で綺麗に直されてしまうんだ」


「少しぐらい傷痕があった方がかっこいいんだけどね」


「そんなことはない、わしみたいに傷だらけでは、弱いと言っているのと同じだ」


「俺たちも本当は弱いんだ」

「色々あって強い感じになってるだけさ」


一緒に風呂に入り三人は少し打ち解けたようだ。




街のあいは、ハイに可愛い服を買ってあげたくて服屋を探していた。


「すごくほこりっぽいですけど、あい様大丈夫ですか」


「はい、大丈夫です」

「初めての街は、やはり心細いですね」


その言葉を聞いてハイは嬉しそうにあいに近づくと手をつないだ。

あいは優しく手をつないでくれたハイに感謝の気持ちを込めて、ハイの顔を見つめにっこり微笑んだ。


街は雑然として、服屋が何処にあるのか全く分からなかった。


「あーグエン商会も何処にあるのか分からない」

「先にグエン商会を探しましょう」


「はい」


あいは近くに青い鎧の女性兵士を見つけ話しかける。

イナの国色が青なので、知らない人だが声をかけてみた。


「あのー、すみません、貧民のあいですが」


「あっ、あいさん、なんですか」


こっちは知らないけど相手は、自分のことを知っていた。

少し悪い気がした。


「あの、グエン商会の場所が分からなくて、もし知っていたら教えて頂けませんか」


「ここから、すぐ近くです、ご案内しますよ」


「いいえ、教えて頂くだけで結構です」


「遠慮はいりません。あいさんを案内できたなんて、他の人にも自慢できるぐらい、名誉なことなんですよ」


「ありがとうございます、お願いします」


「はい、こちらです」


イナの女性兵士があいの方を見ながら一歩踏み出したために、赤い甲冑の兵士にぶつかってしまった。


「きさま、どこを見て歩いている」


「隊長どうしました」


赤い兵士がわらわら集まってきた。

赤はヤパの国色で、ぶつかった相手は少し身分が高いようだ。

三人は赤い兵士に囲まれる形になった。

イナの女性兵士はガタガタ震えだした。

あいはすぐに土下座をして謝ろうと地べたに座り込んだ。

隣でハイもそれにならった。


「まった、まった」

「すまぬわしが怒鳴ったばかりに」

「友軍の兵士にぶつかられたぐらいで怒鳴るようでは、わしもまだまだだのう」

「あなたは貧民服を着ておられるようだが、まさか伍イ団の、貧民のあい殿ではありませんか」


「はい、貧民のあいです」


「どちらまで行かれるのですか」


「グエン商会まで」


「では、我らも護衛仕ります」


イナの女性兵士はほっとして少し笑顔が戻っていた。

あい達が歩いていると、赤い兵士がどんどん集まりすごい行列になって行った。


あいは、グエン商会に着く頃には、この国の兵士が好きになっていた。

ごめんなさい、男性陣のお風呂回です。

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