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北の魔女  作者: 覧都
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親友との再会            ※挿絵有

「猫ちゃんじゃないニャ」


パシッ


アドは撫でているまなの手を払った。


「まさか!」

「アドのことがわからないニャ」


アドが凄い顔で驚いている。


「知らないよ」

「だって私、北の魔女じゃないもん」

「私は、まな、北の魔女とは、全く別人よ」


まなは、北の魔女じゃないことを知ってほしかった。このまま北の魔女と誤解され続けるとやばいことになりそうな予感がしていた。


「まなは、北の魔女の本当の名前ニャ」

「眷属しか知らないニャ」


誤解は解けない。むしろアドは北の魔女と確信し始めていた。


「エッエー、ま、魔法だって、さっきはローソクの火を出そうとしてあんなの出ちゃったのよ」


「最悪ニャー、北の魔女様が記憶喪失で、魔法が暴走しているニャ」


墓穴を掘る結果になった。


「だ・か・ら、私は北の魔女じゃないってばー」


「あんな魔法が北の魔女様以外に使えるかー!」


最早アドは、まなを北の魔女と確信してしまった。


「今から、記憶が戻るか、使い方を憶えるまでは魔法使用禁止ニャ、イナ国の魔法学校へ行って魔法の勉強して来るニャ」


「もー、本当の北の魔女が帰ってきても知らないよー」


◇◇◇


マナは渡された移動符で一瞬にイナ国王都イネスへ移動が完了した。


イナ国は魔女の森からは一番遠い国だが、アドが守護している国だ。その王都の魔法学園はアドが建てた学園でアドが理事長である。


「さあ着いた、キキさんと案内の人が先にこのポイントで待っていてくれるはずだけど」


辺りを見渡す。白い服を着たかわいい少女が一人いるだけだった。

やばいなー、こんな初めての場所で一人じゃどうしたらいいのかわからないよ。

ふと、少女と目が合う。

少女が笑顔になる、その笑顔はどこかで見たことがある顔だ。目が、吊り上がり口が耳まで開く。

あー、このだめな笑顔はキキちゃんだ。後でかわいい笑顔を教えてあげなくちゃ。


挿絵(By みてみん)



キキはまなの護衛でこの地に来るとき、アドから魔法を付与された。その時、額に付与の符を貼り付けられている。

付与された魔法は、魔法防御と姿を変える魔法そして、人を食べたく無くなる封印魔法。

鬼は物理攻撃には強い耐性があるが、精神魔法に弱い、そのための魔法防御。

角と年齢を隠すため姿を変える魔法。

鬼の好物であり主食の人間を、食べたく無くなる封印魔法。但し副作用があり、脳に強い影響を与える魔法なので、脳に障害が出る。


「後は案内の人を探さなくちゃ」


「下を見るニャ」

「シャムはさっきからずっとここにいたニャ」

「小さくて悪かったニャ」


黒髪のつり目、猫耳の少女が涙ぐみ、まなを見上げている。

かわいい


「こっちニャ」

「ちゃんと迷子にならないように付いて来るニャ」


挿絵(By みてみん)



◇◇◇

「ここがアド様の建てた世界最高の魔法学園ニャ」


シャムが少し自慢げに学校を紹介する。

まなはシャムに持たされた昼食を手にして巨大な学校を見上げた。


「うー、いい匂いがしゅゆ」


シャムの話を全く聞かずキキは、よだれを垂らしている。

そして、くんか、くんか、匂いを嗅ぎながら

ふらふら歩いて行く。


「あー、キキちゃん何処へ行っちゃうのかな」


「お前達、勝手に何処へいくんだ」

「まあいいか、シャムは学園長に挨拶して来るから、わからない事があれば教師に聞くニャ」


「はーーい」


振り向きもせず、手を上げ左右に振りながらまなは、キキを追いかける。


くんか、くんか。

顔を上げ、匂いを嗅ぎながら、ふらふらとキキは歩く。真っ直ぐ歩けないのは封印魔法の影響か。


「こっちー」


何かを見つけたのか急にキキの歩みが速くなる。


◇◇◇


学校の教室を望む花壇に腰掛ける、粗末な服を着た少女。服というより麻袋を着られるように穴を開けただけの代物、髪はぼさぼさ頬は痩け、全身ガリガリ、明らかに栄養失調の少女がいる。少女の位置は教室からずいぶん離れているが教室の中は窓越しによく見える。


その少女の方に近づいてくる人影がある。

明らかにこっちに来ていると分かると少女は叫んだ、叫んだのだが栄養失調の少女の声はか細い。


「来ないでー」

「お願い近づかないでー」


少女が声をだす。


「おおー」

「見つけた人肉の匂い」


キキがキラキラしている。とてもいい物を発見したときの幼児の顔だ。

我慢出来なくなり駆け出した。

そうさっきからずっと来ないでといっている少女の元へ。


ガバア

「人肉のいい匂い」


そう言うとキキは栄養失調の少女に抱きついた。


「もお、近づかないでって、言っているのに」


その少女の元にキキを追いかけてきたまなが近づく。

まなは、目を見開いていた。


「アイちゃんそっくり」


ガリガリに痩せ、ボサボサ頭の少女はアイには似ているとは言えないのだが、誰も知り合いのいないこの世界で知り合いの面影を求めた為の勘違いか。


「私の名前は、あいよ」

「あなた達は何、来ないでって、言っているのに」


あいは、少しご立腹です。


「その子はキキちゃん、私はまな、宜しくね」


すでにキキは抱きついてあいの体臭を深呼吸して幸せの表情になっている。

あいは恥ずかしさで複雑の表情である。


「でも、何故近づいちゃだめなの」


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