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北の魔女  作者: 覧都
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ガイとロイの奮戦

ガイの槍は敵を寄せ付けなかった。

ガイに付けられた中隊の兵士も、ガイを助け十分機能していた。

中隊の多くの兵士があいのおまじないを受けた者達なのだ。

南トランの兵士を次々撃破し、防御壁に近づけなかった。


「おいおい、ガイさん一人でやり過ぎだろ、おれの出番がまるでねーじゃねーか」


すでに南トラン兵は、距離を取り、攻めて来なくなった。


逃げ遅れたイナ国の兵士達が、イナ国軍の孤立しているが、十分戦い切っている陣を見つけ、合流を始めた。


「伝令、伝令―」


一人の兵士がロイの元に来る。


「メイ様より伝令です」

「あまり、深入りしないよう注意して、南トラン兵に攻撃してください」

「とのことです」


「おう!」


いままで守りに徹していたササ軍がここから、反撃に転じた。


ずっと我慢していたロイなので暴れまくった。

ガイも合流し敵を倒しまくった。


「ガイさん、魔獣より弱くて、張り合いがないな」


「そうだな、負ける気がしない」


ガイとロイが少し異変を感じた。

周りの倒した敵兵がいなくなるのである。




その異変に、すぐにメイは感づき、メイはあいに詰め寄る。


「あいちゃん、ガイ君との約束憶えてる?」


「はい」


「じゃあなぜ」


「違います、まだ助けていません、ただ凍結して消去しているだけです」


メイは優しくあいを見つめると


「おばか、しょうが無い子」


そう、言うと指示を再開した。


「ガイ君、ロイ君をいったんここに戻して、代わりに白髭、新人を行かせて頂戴」

「あいちゃんは、戻って来た二人に治癒と回復をかけてあげて、随分戦いっぱなしだからね」



森から助けた兵、逃げ遅れた兵を合わせ、既にこの陣に1万を超える兵士がいた。


積極的に攻めてこないこの陣を、敵軍は囲むのを止め少し兵を引かせた。


それをみると、メイは


「あいちゃん、防御壁を森に近づけられないかしら」


「もりまで広げられますよ」


「それ、早く言って、森まですぐに広げて!」


防御壁が森に隣接すると、救助がはかどりだした。

貧民兵が次々運ばれてくる。

旅団長と黒髭の計らいだ。


貧民兵は臭く汚かった。

彼らは陣の端に追いやられ、イナ軍の多くは眉をしかめた。




森の中で敵将イホウギは焦っていた、本陣を落としながら、敵総大将を討ち取れなかったからだ。

森には、侮れないほどの数の兵が潜んでおり、中々追いかけられない。


「イホウギ様」


「なんだ」


「逃げ遅れの陣に兵が合流し始めていると報告がありました」


「なにを手こずっておるのだ」


「それが、魔法による、見えない壁があり中々討ち取れないとのこと」


「敵が魔法を使うならこちらも魔道士隊を出せば良かろう」

「そのように総大将殿に伝えておけ!」


「はっ!」




ササ陣では、兵士達が怯えている。

敵本陣から怪しい一団が出陣しこちらを目指しているからだ。

南トラン魔道士隊である。

音楽隊に先導されゆっくり、進軍してくる。

その数、百人、ただ魔道士は五人、残りは魔法が使える一般兵のようだ。

魔道士は屋根のない馬車でふんぞり返っている。


黒い服に身を包んだ太った男が、隣の赤い口紅が目立つ黒装束の女に話しかける。


「我らが出向くほどのことか」


「そうね、本陣も落ちているし、既に勝っているでしょう」

「降伏勧告なら兵士で十分でしょうに」

「まったく面倒くさいわ」




「メイ様、魔道士隊が出て来ました」


「いいじゃないか、時間が稼げる」


メイは余りにも早く本陣が落ちたので、顔には出さなかったが内心焦っていた。

夜になればいったん兵が引く、その時に陣を引き払い撤退しようと考えていたのだ。

ところが、始まって一時間もしないうちに本陣が落ちたのである。

長すぎる一日がはじまる。持つかしら。

最初はそう思っていたが、ガイとロイ、ササ兵の見事な戦いっぷりでいけそうね。

そう考えが、変ったところだった。そこに魔道士隊がのんびり現れたのだ。


敵兵は、これ以上損兵する必要もないので、兵を引きあげ、陣を立て直していた。


「よし、ササ兵も一度防御壁の中に引き上げろ」


メイが叫ぶ。


「せっかく、時間を貰ったんだ、皆軽く食事をしろ、食い過ぎるなよ動けなくなる」


本当は、回復魔法を受けているので食事は不要なのだが、胃に少し何か入っている方が丹田に力が入ることを、メイは知っていた。


あいは貧民兵に世話を焼いている。

貧民兵も貧民服のあいに安心しきっている。

だが、この貧民の女の子はいったい何者なのかと不思議に思っていた。

このササ軍の指揮官と並んで立っているときがあるのだから。




メイの前に、白髭老人、新人、旅団長、黒髭、ガイ、ロイ、レイ、それぞれの中隊長が集まっている。


「あいちゃんもこっちに来て」


あいが来ると。


イナ軍、ササ軍の主要人物がそろった。


「敵の魔道士のおかげで時間が出来た」

「魔道士戦について話がしたい」


メイが一同を見回し、続ける。


「この中で魔道士隊と戦った者はいるか?」


全員ぶんぶん首を振る。


「ならば、私が戦おう、よく見て学習するように」

「まあ、力に差があれば勉強になるかどうかは分らないけどな」




魔道士隊が到着するまでに二時間を要した。



太い魔道士が声を上げる


「降伏するなら、命は保証する」


ササ軍の代表、美少女メイが白い服、銀の防具でキラキラしながら答える。

まだあいの防御壁のなかで。


「恐い顔で脅かさないでください、泣いてしまいそうですー」


「イナ軍は舐めているのか」

「こんなガキを代表にだしおって」

「魔法使い隊前へ出ろ」

「ガキもろともイナ軍を焼き尽くせ」


太い魔道士が右手を前に出すと、魔法使い隊が前に出て一斉に火炎をだした。


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