表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北の魔女  作者: 覧都
173/180

第百七十三話 一騎討ち

「チッ、あっという間にオリ国軍が優勢か」


ケーシーが左翼ゴラン軍、右翼ウカク軍を交互に見つめつぶやいた。


「キヌ、少し遊んでくる」


後ろにいる、魔王軍最高幹部第三席の美しい女性魔人に声をかけた。

キヌはこの楽しそうな戦いに合流していたのだ。


「気を付けてね。私達の魔法を封じ込めるほどの魔法使いが敵にいるようだから」


この戦場にはパイと先生が魔法を無効化する為の魔法をかけていたのだ。


「ふふふ、分っている」


ゴルド軍総大将ケーシーはこの状態でも余裕だった。

長い棍を持つとブンブンと二度勢いよく振ると、本陣から真っ直ぐ走り出した。


両軍の戦っている中央にケーシーが棍を立て大声を出した。


「俺はゴルド軍総大将ケーシーだーー!!」


その姿を見ていた、ギホウイが戦いの指揮を、ガイに任せるとその前に走り出た。


「わしは、ギホウイじゃ、お手合わせ願おう」


その様子を羨ましそうにロボダーとオデが見つめている。

ハイはそれに気が付いた。


「二人とも、行ってください。ギホウイさん一人では荷が重いでしょうから」


「えっ、ハイさんはあの男を知っているのですか」


ロボダーは驚いて、ハイの顔を見つめた。

オデは、美しいハイの顔にずっと見とれている。


「はい、知っています。以前戦った時は完敗しました」


「な、なんだって、むちゃくちゃ強―じゃねえか」


「そうですね。ですから応援に行って上げてください」


ハイは笑顔でそう答えた。

ロボダーはその表情から、今はハイの方が強いということが読み取れた。


「わかった、直ぐに行く」


ロボダーとオデがケーシーの前に走り出した。




「ウオオオオーー」


ギホウイが自慢の武器を何度も振り下ろしたり、突いたりしているが全て避けられ、それどころか攻撃を何度も受けていた。


「ふ、驚きました。私の攻撃をうけて立っているとは」


ケーシーは顔に笑顔を浮かべまだ余裕の表情だった。

対してギホウイは驚きの表情だった。


「これ程の男が、まだいたとはのう」


そう言うとギホウイは数歩後ろに下がり距離をとった。

目の端で走ってくる、盟友となったロボダーとオデの姿を見つけたからだ。

ギホウイとロボダーとオデは、ヤパ国で魔王の森の伐採をずっと一緒にやってきて、盟友と呼ぶほど仲良くなっていたのだ。


「加勢に参った」


ロボダーとオデの声が重なった。


「かたじけない。この男恐ろしく強い、気を付けてくだされ」


「おうっ」


そう答えると、ロボダーとオデの攻撃が加わった。

さすがのケーシーも三人同時の攻撃は余裕がなくなった。

そして、ゴランの軍で兵を次々倒すハイの姿を見つけた。

ウカク軍で暴れる男達の姿も見つけ、ここにキヌを呼んだ所で勝ち目が無いことを悟った。


「ふふ、いいとこ互角でしょうか。あなた達は何者ですか」


なおも薄笑いを浮かべケーシーは三人に何者かを聞いた。


「我らは第四勢力義勇軍ギホウイ」


「同じくロボダー」


「同じくオデだ」


「ふふふ、憶えておきましょう」


ケーシーは距離を取ると、自陣へ戻って行った。

ケーシーが陣へもどると全軍撤退を命じた為、ゴルド軍は本陣から順に撤退を開始した。


ゴルド軍はこの撤退で、オリ国軍の追撃を受け、三割を越える兵を失った。

さらに、ゴランをハイが捕虜にしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ