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北の魔女  作者: 覧都
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第百七十一話 にらみ合い

「クロちゃーん、ど、どうしてこんな」


わたしは大勢の兵士の前で、演説をしているマリアさんの横に移動しました。


「見て下さい、まなちゃんが駆けつけてくれました」


「うおおおおーー」


兵士の皆さんが歓声を上げます。

城塞都市全体がビリビリ振動するような大きな歓声です。


「これで、明日の決戦は我らが勝利するでしょう」


「おおおおーー」


また歓声です。


「では、まなちゃん、一言どうぞ」


はーー、マリアさんの無茶ぶりです。

わたしは、こんなに大勢の前では緊張して声が出ません。

マリアさんが、いたずら小僧のような表情でわたしを見つめてきます。


「……みなさん……が、がんばりまちょう……」


がーしまったー、噛んでしまったー。


「がーはっはっはー」


兵士の皆さんが笑い出しました。


「さすがですね、皆の緊張が適度にほぐれました」


マリアさんがうれしそうに笑顔になりました。

わたしは、大真面目だったのですけどね。


わたしはそのまま、シュウ将軍に案内されて外壁に登りました。

外にはすごい数の敵兵が街を囲んでいます。


オリの兵と、敵兵がにらみ合いを続けています。

明日の朝、オリ兵は外に出て、真正面からぶつかるのでしょう。


「腕が鳴りますなー」


後ろから声がしました。

振り返るとギホウイさんでした。

その横には女神のように美しいハイさん、そして階段をロボダーさんとオデさんが駆け上ってきます。


「これだけの面子がそろうと負ける気がしませんなー」


「駄目です、敵には恐ろしい相手が潜んでいます。油断はしないで下さい」


わたしは、メイさんやサエちゃんの顔を思い浮かべていました。




その夜は、お酒控えめで、屋外の人も多いということもあり、お弁当を用意して食べてもらいました。

当然うな重も用意して、わたしはご飯少なめで、メイさんの顔を思い浮かべて食べています。

わたしの回りには後イ団の人と、ミッド商会の人が集まってにぎやかに、盛り上げてくれています。







翌早朝。


ゴルド軍が集結する前に、朝食を済ましたオリ国軍は街を背にする形で布陣しました。

まもなくして、ゴルド軍も野営地から出陣して来ました。

わたしは、街の外壁の上から全体を見下ろす形で、様子を見させてもらっています。


「両翼を前に押し出してきましたね」


シュウ将軍がわたしに説明してくれます。

オリ軍もそれに呼応するように、両翼が前に進み出ました。

上から見ているわたしには、六つの兵士の塊がくるりと円を描いているように見えます。


そして、兵士の動きが全て静かに止まります。

同時に強い風が両軍に吹きかかりました。

甲冑の付属品がカチャカチャうるさいほど鳴り響きます。

それも、じきに鳴り止みあたりは静かになります。


両軍の兵士の目は血走り、にらみ合いが始まりました。

ゴルド軍六万、オリ軍六万の盛大なにらみ合いです。


「では、わたしは下に降りて突撃の合図を送ってきます」


シュウ将軍が、クロちゃんの魔法で移動しました。

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