第百七十話 仮設住宅
ゴルドは執務室で怒っていた。
「ケーシーを呼べ」
ケーシー配下の魔人に言い放った。
しばらく後、ケーシーが現れた。
「ゴルド様、どうなされました」
「ヨミからの使者が来た」
「なんと言ってきましたか?」
「暗殺の任務の続行不能だ」
「ふふふ、で、ありますか」
「オリ、ファン、ヤパ、イナ、各国の支部が全て壊滅されたようだ。一人や二人殺してくれると思ったのだが……」
「では、次なる手はどうなされますか?」
ケーシーは自分が出来なかったことを、人間ごときが出来るとは、はなから思っていなかった。
「ふふふ、まあ、当初の予定通り軍の力で占領すれば良いだけのこと」
「ふふふ、そうですな、して、いつどこへ攻め込みますかな」
「があーーはっはっは、決まっている、今すぐじゃ、目標はオリ国第四の都市サオリじゃ!!」
「はっ」
ケーシーは楽しそうに返事をした。
「先鋒は、ゴラン、ウカクだ。直ちに支度させよ」
「ははーーっ」
ケーシーは飛ぶように、両将軍のもとに走った。
ケーシーは二人の将軍を、オリ国との国境の城塞都市ヒガクに移動魔法で飛ばす。
両将軍はヒガク駐留兵、二万を引き連れ、ただちに進軍した。
オリ国の国境に近づくと、日が暮れるまで兵を休ませ、夜襲に備えた。
日が暮れ辺りが暗くなると、ゴルド軍は国境警備軍に夜襲をかけ、のんきに眠っている兵士を虐殺した。
その勢いで、オリ国の村と町をじゅうりんし、オリ国第四の都市サオリを目指した。
わずか三日でゴラン、ウカクは一気にオリ国、第4の都市サオリに迫った。
だが、固く門を閉ざしたサオリの街を、一気に陥落させることはできなかった。
一方、マナの姿はまだオリ国の王都オオリにあった。
「まなさまーー」
「あー、マイちゃん」
「こ、こんな所で何をしているのですか。サオリでは皆様が、待っていますよ」
「ふふふ、わたしが行っても役に立ちません」
「では、ここで何をしようとしているのですか」
わたしは、ここで視線をチラリと横に移します。
「避難してきた人に、関係があるのですね」
マイちゃんは注意深い人なのでやはり、わたしの目の動きに気付いてくれました。
「そうです、仮設住宅を作ります」
「仮設ー?」
「マリアちゃんから、ひろーい場所をお借りしましたから」
わたしは、宮殿の四倍規模で総石造りの建物を出しました。
「ぎゃーー、な、な、な、何ですかーこれはー」
「一緒に入りましょう」
わたしは、マイちゃんをエスコートして中に入ります。
「ここに、扉ごとに住宅が作ってあります」
わたしは2階建ての平たい広いマンションを作った。
土地が余っているので、たてに積み上げず平たく広い造りにしました。
「中に入りましょう」
扉を開けると中には、3DKの部屋でキッチンは蛇口で水が出るようにして、トイレも水洗です。
「すごい、すごーいー」
マイちゃんは目をキラキラさせて感動してくれました。
マイちゃんが良いと言ってくれたなら大丈夫でしょう。
「マイちゃん、ここを住むところが無くて困っている人に開放して下さい。足りなければ二号館、三号館と増やします、遠慮しないで言ってください」
「はい」
まいちゃんが、キラキラした目で見てきます。
「後は、お任せしてよろしいですか」
「もちろんです」
「では、気が進みませんが、サオリに行きます」
わたしは、サオリにクロちゃんの魔法で移動しました。