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北の魔女  作者: 覧都
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第百四十三話 三国同盟

机には一番北に、ヤパの国王ノルが座り、その東隣にまながすわっている。

この世界では、北が上座で西と東では東が上座となり、この会議の席で一番偉いのがまなという形になっている。

まなは、ノルに進められるまま座っているのでそんなつもりは全くない。

もし「一番偉い人はここに座ってください」などと言おうものなら、絶対座らないとわかっているので、そんなことは誰も言わない。


ノルの横に、護衛の髭さんとメイドさんが立ち、まなの横には護衛のキキとミミとロボダー、オデ、パイと先生が立っている。

まなの前の席には、オリ国の王マリアが座り、横にマイその横にハイが座っている。

オリ国の王の前には、イナ国の王サキが座り、横にサエが座っている。

マイの横に伍イ団メイが座り、横にガイ、レイが座っている。

その向かいに、ミッド商会の会長コウが座り、横に幹部のチュウとモリが座っている。


このメンバーが着席すると、マリアが立ち上がった。


「わざわざ集まってもらって、申し訳ありません」

「実は私の寝室に賊が侵入しました」

「賊は、護衛が討ち取りましたが」

「情報を何も聞き出せませんでした」

「ですが、恐らくゴルドの手の者かと思います」


「まあ、妥当な推測ですね」


ノルちゃんが少し笑いながら答えた。

それにまりあさんがうなずくと続けて話し出します。


「この襲撃で私の寝室は大破しました」

「ここを修理するくらいなら」

「まなちゃんにいっそ」

「新築して貰おうかと思いまして」

「水洗式お手洗い完備で……」


「はい、分かりました」


「えーーーーっ」


全員が驚いています。


「はーー」

「引き受けては」

「だ、駄目だったのですか」


「いいえ」

「こんなにあっさり引き受けて貰えるとは」

「思わなかったものですから」


まりあちゃんが少し焦っています。


「賊が侵入出来ないように」

「頑丈に作りますから安心してください」

「あとで、一緒に模型を作りながら」

「打ち合わせをしましょう」


「は、はい」

「お願いします」


まりあちゃんの表情が明るくなった。


「オリ国に暗殺者を送り込んだと言うことは」

「ファン国も危険だなー」


メイさんがファン国を心配しています。


「ロボダーさん、ファン国の王様は」

「どんな方ですか」


ロボダーさんは、元青龍団のファン国支団の、支団長なので聞いてみます。


「俺も数回あっただけだけど」

「美人で優しそうで良い感じの人だ」

「護衛にビビっていう魔道士が付いている」

「そう簡単にやられたりはしないと思うがなー」


「ならば良いのですが」

「あとは、ゴルド国をもっと知る必要があります」

「なにか良い案はないでしょうか」


現ゴルド国、以前のザン国はならず者国家として存在していました。

一応ヤパ国とは友好的でしたが、それ以外の国とは国交がありませんでした。

まあ、主が変わっただけで中身は余り変わって無い国という感じです。

友好国のヤパ国もザン国の事はよくわかっていないみたいです。


「出来ればまなちゃんに行ってもらいたいのだけどねー」


「むむむ、無理を言わないでください」

「わたしは、人と話すのが苦手なのですから」


「まあ、それを置いといても」

「マリアちゃんの宮殿造りがあるからね」


ノルちゃんが残念そうにうつむき腕を組みました。


「そそそ、そうですよ」

「わたしは無理です」


「まなちゃんで考えついたのだが」

「学生として、潜入するのは」

「どうだろう」


メイさんが提案しました。


「それは、いいかもしれませんね」


「では、私が行きます」


サエちゃんが立候補しました。

だ、大丈夫でしょうか。


「では、私も行こう」

「言い出しっぺだしな」


メイちゃんが立候補しました。

メイちゃんが学生は無理があると思いますが。

だって、見た目が幼すぎですから。


「あとは理由付けですね」

「パレイ商会のゴルド国支店を出して貰いましょうか」


ノルちゃんが腕を組んだまま、天井を見上げて言いました。


「それじゃあバレるのじゃないかな」


「私に考えがあります」


レイさんが立ち上がり声をあげました。


「オリ国のシバ商会です」

「ここなら、ザン国の時から出入りしていますし」

「商品がお酒や砂糖なので」

「交渉しやすいはずです」


「なるほど、シバ商会の」

「ゴルド国支店から」

「学生二人を通わせる……か」

「それで行きましょう」


「よし決まりですね」


こうして、オリ国の宮殿を私が造る事になり、ゴルド国への潜入調査はサエちゃんとメイさんが担当することになりました。


「あーーー」


マリアさんが大声を上げました。


「危ない、危ない」

「大事な事を忘れていました」

「ノルちゃん、サキちゃん」

「わたし達は人として親友になりました」

「これからは国として親友になれませんか」


マリアさんは言い終わると心配そうな顔をして、ノルちゃんとサキちゃんの顔を交互に見ます。


「……」


ノルちゃんと、サキちゃんが見つめ合います。


「まなちゃん」


ノルちゃんが私を呼びます。


「はい」


「立会人になってください」


「あ、はい」


三人はわたしに三国同盟を締結し、互いに裏切らないことを誓った。

うーーん、なんでわたしに誓っているんだ。


「はい、わかりました」

「これで、ヤパ、オリ、イナの三国同盟の成立です」


わたしが言い終わると。

集まっている人達から歓声と拍手が起こりました。


「くすくす」

「これで、歴史で学ぶことが増えましたね」

「イネス湖会談にて三国同盟成立」

「良い日です」


マリアさんが言い終わると、三人が笑顔でがっちり握手をしました。

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