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北の魔女  作者: 覧都
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第百十七話 新旧交代

「ほら、まなちゃんも見て!」


うん、あのね、わたしは極度の人見知り、男性の目をのぞき込むなんて真似は無理です!

しかも、ロイさんすごく美形なんですよー。


「わ、わたしはいいです」


顔がほてって、もじもじしてしまいます。


「もしかして、まなちゃんも俺やあいちゃんと同じで、心に決めた人がいるのじゃないか?」


もじもじしていると、ロイさんがなにか勘違いをしてくれました。

ここは、乗っかるしかありません。


「そそそ、そうです」


うん、ロイさん以外の人は、うさんくさそうな顔をして、信じていないみたいです。


「ノル様、皆に分かるよう説明してもらえないだろうか」


ロイさんが説明を求めました。


「そうですね、わかりました」

「ロイさんは近づかないと分かりませんが」

「極小さく、目が赤く光っています」

「つまり魔道士です」

「皆さんもご存じの通り、ヤパの国には北の魔女の加護があります」

「魔道士が、ヤパの将軍の加護を受ければ確実に魔女になります」


「ええーーっ」


説明を聞いてロイさんが、一番驚いています。


「では、世界で五人目の魔女に誕生してもらいましょう」


「待って下さい」


ここでレイさんが何故か赤くなり、もじもじしながら待ったをかけます。


「どうしました、レイさん」


不思議そうな顔をしてノルちゃんがレイさんに視線を向けます。


「ほら、魔女になる時って、全身が痛むでしょ」


「レイさん何故それを知っているのですか」

「まさかあなたも魔女なのですか?」


レイさんが少し照れながらうなずきます。


「じゃあ、ロイさんは六番目の魔女ですね」

「さあ、始めましょう」


「だからーここでは駄目ですってばーー」


レイさんが真っ赤になって叫びます。


「分かりませんねー、レイさんはなにが言いたいのですか」


「わ、わたしは魔女になるとき、うん○とおしっ○をもらしましたー」

※注 ○の中にはこが入ります。


うわーー、これだったのかー、そりゃあ歯切れが悪くなるわけだ。

皆が驚いている中、メイさんだけは爆笑しています。


「そうかー、私も、もらしました、随分前なので忘れていましたー」

「男性が人前でお漏らしはだめでしょうか?」


うわー、ノルちゃん何故疑問形。

男なら人前でも、大丈夫だと思っているのでしょうか。

そんなのだめに決まっているでしょう。


「では、ヤパドームの南の特別室で、少人数で行いましょう」


こうして、ロイさんは、ヤパの将軍となり、世界初の男の魔女が誕生しました。

そして、ヤパドームの南の特別室が、ロイ将軍専用の特別室になりました。

汚しちゃいましたからね。


「パイさんそういえば、ロイさんがヤパの将軍になると、幾つかの宝を手に入れると言っていましたが、何の事でしょうか」


「はい、それは恐らく一つ目が、魔女を一人手に入れるということ」

「ロイさんが、魔女になれば、勇者ペグ様より強くなるはずです」

「よって、ヤパ史上最強の勇者を手に入れることになります、これが、二つ目」

「三つ目が、国宝になる武具の入手」

「恐らくまな様に、勇者ロイ様にふさわしい武具の発注が行われると思います」


ノルちゃんと、ロイ将軍が戻ってきました。

ノルちゃんが状況を察して、パイさんに顔で続けるよう促しました。


「他の勇者様ではまな様には頼めなかったかもしれませんが、勇者ロイ様なら頼まずともまな様が制作してくれるはずですよね」

「四つ目は、伍イ団との深い絆、これは貧民のあい様との絆とも言えます」

「五つ目はオリ国との絆、第二都市コオリの解放は勇者ロイ様の功績が高いですからね」

「さらにこの事による、ミッド商会との深い絆です」


「パイさん説明ありがとうございます、よく分かりました」


パイさんが、素敵な笑顔でお辞儀をしてくれました。


「と、いうわけで、まなちゃん、ロイさんの武具をお願いします」


「えー、ロイさんにはもう専用武器を渡してありますよ」


「見せて貰えますか」


ロイさんが専用武器をクロさんから嬉しそうに出して貰い、それを構えた。


「駄目ですね」


ノルちゃんの言葉にわたしとロイさんの顔が険しくなります。


「あら、ごめんなさい、そういう意味ではなく、ヤパの国の武具としてはふさわしくないという意味です」

「ヤパの国色は赤です、赤色を主に使って欲しいのです」


「分かりました、かっこいい武器と防具を作ります」

「式典用の服もいりますね」

「少し時間をもらっても構いませんか」


「あのーまなちゃん今から作るのですか」


「そうですよ、一時間位ほしいです」


「えーーーーっ」

「えっ」


回りから、大きな驚きの声があがりました。

わたしは、驚きの声が上がった事に驚いて小さく驚きました。

だって、魔法でちょちょいのパッパッでしょ。

デザインなんてもう大体同じものを使うだけですし。


「じゃあ、まなちゃんがいるうちに、勇者ペグとロイさんの試合を行っちゃいますね」


ノルちゃんがメイドさんと、八の字髭さんに指示を出すと、クロちゃんの移動魔法でシュッと消えました。

この試合は、ロイさんの瞬殺勝利で終わり、パグさんが流石に可哀想になり、わたしは、パグさんの専用の鎧を作成しました。

胸に可愛いパグのイラストを付けたのは言うまでもありませんね。


この試合で、ロイさんは正式に勇者ロイ様となり、パグさんはヤパ国軍の将軍となりました。


ヤパ国の勇者用の服と鎧と武器を作成、この装備はノルちゃんの依頼でロイさん専用では無く、ヤパ国の装備品として作成し納品しました。

もちろん、それぞれの装備にまなの加護を一杯付与しておきました。

これで名残惜しいですがヤパの国での用事は全て終了です。

学園の生徒は明日から帰るとのことでわたしは、今日の午後と明日からの三日程の余裕が出来ました。






さて、どう使いましょうか。

やることは、あります。

例えば、イナ国で住む場所探しです。

わたしは現在、北の魔女の城に住んでいます。

パイさんとロボダーさんとオデさんが一緒になりますので、北の魔女の城には帰れません。

ですから、住むところを探さないといけません。


でも、なんだかのんびりしたいです。

一人にはなれないのかなー。


「あのー皆さんは、この後どうしたいですか」


わたしは護衛の三人に聞いてみました。


「私は早くイナ国へ行きたいです」


パイさんはイナ国へ行って杖が早く欲しいと。


「俺は、まな様にファン国を案内してー」


ロボダーさんはファン国へ行きたいと。


「それなら、おではザン国を案内しでー」


ふんふん、オデさんはザン国ね。


「では、おいしい料理が食べられる方へ行きたいわ」


「……」

「……」


「えっ、どうしました」


「まな様、ファン国は水もまずいし、めしもまずいし、治安も悪い」


なら、なんで行きたいと言ったんだ。


「ザンの国も水もまずいし、めしもまずいし、じあんも悪い」

「山賊もいる」


「な、何ですとー」

「山賊―」

「さ、ん、ぞ、くー」


なんて甘美な言葉でしょう。

日本にはいないですよね。


「ただちにザンへ出発します」


「まな様いけません」

「ザン国は治安が悪い国では無く、国そのものが賊の様な国です」


パイさんが大慌てです。


「そんな大変な国ですか」


うむ、余計に行きたくなってしまった。

でも、行きたいとかは言えないですよねー。


「あのーヤパさえ出れば、杖は渡せますよ」


「まな様、山賊退治やってみたいです」


あーー、パイさんが手のひらをかえしおった。

しかも、目がキラキラしています。

たぶん駄目な大人と言ってもいいレベルではないでしょうか。


「でも、時間は余りありません、ちょこっとだけ見て帰るということでも大丈夫でしょうか」


「だいじょうぶーー!!」

「ガウー!!」


何故か、サエちゃんも先生も来る気満々で、キキちゃんまで嬉しそうです。

六人の息が、めちゃめちゃ、合っています。


「では、オデさん案内宜しくお願いします」


「わがっだ!!」


オデさんも嬉しそうです。

三泊のザン観光が決まりました。

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