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北の魔女  作者: 覧都
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第百十一話 昼食会

「だーーっ、なんでこうなったー」


わたしは今、学園の交流昼食会の末席にいます。

最初はこの昼食会に、お寿司を出して欲しいとの依頼で、ヤパ臨時料理人としてこの依頼を受けました。

料理の準備が終ったらさっさと雲隠れするつもりでした。

ですが先生とサエちゃんに強制連行されてしまいました。


晩餐会の会場に、五カ国の魔法学園の優秀な生徒が集められています。

一つの国から四十人前後の生徒が参加して、付き添いの先生を合わせると、全部で三百人程招待されています。

一番北の席はヤパ国の生徒が半分ずつ東西に分かれて座り、続いて東側にオリ国の生徒、その横にイナ国の生徒、西側にまわってザン国の生徒、隣がファン国の生徒の順で座っています。


わたしは、イナ国の生徒の末席、一番南の席に座っています。

となりはいつも可愛いキキちゃんがいてくれます。

まあ大体わたしはこの席こそが落ち着く。

じゃなくてそもそも、出たくなかったしー。


この場を仕切っているのはパイさんです。

パイさんが何か懸命に話していますが、ザンの生徒とファンの生徒がうるさくて何も聞こえません。

ヤパの生徒はなんだか緊張しているように見えます。


「パイさんってひょっとして、ヤパでは偉い人なのかな?」


「はー、今なんてー」


「うわあ、先生いつからそこに」


わたしのすぐ後ろに先生が立っていました。


「私は、結構前からいましたよ」

「それよりパイ先生は、ヤパでは一番の魔法使いですからすごく偉い人ですよ」

「ヤパの国では上から数えた方が早いですから」

「ヤパの生徒はあんなに近くに、パイ先生がいて皆すごく緊張していますね」

「それと同時にファンの生徒とザンの生徒に怒っていますね」

「尊敬する、パイ先生の話を邪魔していますからね」


「ザンの生徒とファンの生徒はがらが悪いですね」


ファンの生徒とザンの生徒は、服装こそまともですが態度は最悪です。

引率の先生が注意していますがまるで聞きません。

イナ国の生徒をばかにしているのか、イナ国の生徒を見てはニヤニヤしています。


「まなさんがそれをいいますか」


わたしの姿を見ながら先生が言います。

わたしの今の姿は白いジャージに三角巾、白いゴム長です。

ここにいる生徒の中で一番変な服です。


「これは、先生とサエちゃんがこの格好のまま連れてきたからでしょ」


わたしと先生が話していると委員長がイナ国の生徒の先頭から羨ましそうに見ています。


話は良く聞こえませんでしたが、ヤパの生徒達がお寿司を食べ始めました。

わたし達は、ザンの生徒と、ファンの生徒が学級崩壊したクラスの生徒のように、やりたい放題騒いでいる為何も聞こえません。


ですが、もう食事を始めても良いと言うことでしょう。

他の国の生徒達も食事を始めました。

食事を始めたら静かになりました。


「まな様、こういう席でその様な格好が、出来るのはまな様だけですよ」


パイさんがわたしの横に座りました。

ヤパの生徒がこっちを気にしないかと思って、ヤパの生徒の方を見たら、食べるのに必死で気にして無いみたいです。

よかったー。


「パイさん、あっちへ行っていてください」


「なーー、まな様、私―、なにかしましたかーー」


「なにもしていませんが、いて欲しくない気分なんです」


「まなちゃん、私もここで食べてもいいでしょうか」


「さ、サエちゃんまで、わたしは目立ちたくないから」

「本当に、一人にしてください」


「あらー、まなちゃん子供用を食べているのですか」


うわー、サエちゃんがわたしの言ったことを無視したー。


「わたし、このハンバーグが食べたくて」


「じゃあ、カルビはもらっても良いですか」


「ああ、大丈夫です、ハンバーグ以外はあまり思い入れがありませんから」

「あのー、サエちゃん、わたしは本当に目立ちたくなくて……」


わたしがゴニョゴニョ言っていると、サエさんが優しい笑顔で。


「私はまなちゃんの友達です。ここに居させてください」

「お願いします」


ぺこりと頭を下げました。

もうわたしには断れません。

諦めました。


「わ、わかりました」

「一緒に食べましょう」


「はい!!」


サエちゃんが本当に嬉しそうです。

わたしと食事をするのをこんなに楽しそうにしてもらえば、コミュ障のわたしでも悪い気はしません。

ですが、この一角にパイさんまで集まっていて、一息ついたヤパの生徒さんの視線がこちらに集まり始めました。


ですがザンとファンの生徒が再び騒がしくなり、ヤパの生徒の視線はそちらに向きました。

暴れている生徒まで現れました。

先生も役に立っていないみたいです。


どーすんのこれー。


「まな様―」


北の入り口からロボダーさんと、オデさんが入って来ました。


「こちらにいらっしゃいます!」


パイさんが大きな声で返事をします。


「んー、まな様が何でこんな下座にいるんだー」

「おーキキさんまで」


二人の姿を見たら、ザンの生徒とファンの生徒が急に静かに成りました。

そしてヒソヒソ、会話をしています。


「あれって、青龍団のロボさんじゃねえのか」

「あれは、デラさんじゃねえのか」


うん、この二人は自分の国では意外と有名人なのでしょう。


「なんの用ですか」


「加工用の道具を出して欲しい」

「オデさんが張り切っちゃって、手当たり次第切り倒すもんだから、加工がまにあわねえらしい」


「おでだけじゃねえ、新品の武器の皆が切り倒しまぐっていだ」

「だかだ、加工の人達が怒ったんだー」


「わかりました、分かりましたが」

「こんなところで出せるわけ無いじゃないですか」


どうやら昨日手に入れた武器の試し切りで、魔王の森の木を、手当たり次第切り倒したらしい。


「嘘でしょまな様が出来ないなんて」


「出来ないなんて言っていません」

「ここでは出せないのー、皆の目があるもの」

「それに……」


わたしは、今更だけど少しやり過ぎと反省しています。

日本に居たとき色々な映画やアニメを当然見ています。

むしろ他人より多いくらい見ています。

ゲームだってやっています。

お父さんの置いていった、信長の○望なんか何度クリアしたか分かりません。


映画やアニメでは、歴史に介入してしまうと、その世界の未来を変化させてしまい、とんでもないことに成ってしまうというあれです。

わたしは、百本もアド正を作ってしまい、後悔しています。

わたしの作ったものはこの世界に少なからず影響を与えているようです。

今回の斧や工具を一セットだけにしたのは、こんな考えがあったからです。


出せと言われれば百個だって直ぐに出せますが、それをしてしまって良いものかどうか、悩んでいるのです。


「あまり、沢山出すのは良い事とは思えないのです」


「まな様には何か考えがあるのですね」


パイさんが助け船を出してくれました。


「はい」


「じゃあ、五つだけでいい、出してほしい」


「五つですね分かりました」


わたしは鋸や、ノミなどの工具を五セット出してしまった。

人の目があるからとか言いながらその事を忘れてしまったのだ。


「おおおーーーーーー」


会場からどよめきが起こった。


「しまったーー!!」


一つのことを考えると一つの事を忘れてしまう。

わたしはポンコツなのだー。


ヤパの生徒達が、「あの変な服の人、変な服のまな様じゃないですか」とヒソヒソ言い出しました。

合っていますよ、合っていますけど変な服って。


ザンもファンの国の生徒も大人しくなっています。

でも、一番困るのが、イナ国の人達がザワついていることです。

でも、まなという名前は、ヤパの国ほど広まっていません。

そこだけが救いです。


「あのー、委員長、まなさんて……」


とうとうイナ国の生徒がサエさんに疑問をぶつけました。

でも大丈夫です、サエちゃんと先生には、わたしの事は話さないようにお願いしてあります。


「あーまなちゃんは、すごいんです」


「おい、おい、おい、おーーい」

「サエちゃん秘密ですよねー」


「あーそうでした秘密です」


他の生徒達が余計に関心をもってしまった感じがします。

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