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第18話

 そして翌日。委員長達台本の制作担当の方々が書き終えたようで、誰がどの役をやるかを決めることになった。


 本人たちは昨日書き終えたと言っているが出し物の時点で既に完成していた気がする。


「まずは白雪姫と王子様!ここは昨日言っていた通り二人で良いよね?」


 半ば強制的に役を命じられた。


「そして7人の小人!1人は環ちゃんにしてもらいたいんだけど大丈夫?」


 クラスメイト全員が頷いた。小野田さんがちっこくて可愛いというのが共通認識のようだ。


 その後、立候補や推薦によって小人が決まった。


 他の既存の役職については基本的に反対意見や強制指名などもなく、各々が自由に決めていた。


「そして最後。これは普通の白雪姫には無いんだけど、王妃の騎士。これは白馬の王子様が白雪姫を助けるために向かう一つのイベントに出る予定です。王子様である晴くんと剣で殺陣のようなものをしてもらうつもりだよ」


 ストーリー的に割と無理がある気がするが大丈夫なのか?


「この役は悠理くんにやってもらおうと思ってる。理由は、一番強いから。っていうより悠理くんが強さを活かす機会を作りたいからってのが正確な理由だね。それに晴くんなら悠理くんとコンビネーション良さそうだし」



 悠理はうちの高校生が他校の不良に絡まれている所をよく助けているから、そういった点でも評判が高い。見た目が怖く、口も少々悪い割にあまり人に怖がられていないのはそういった活動が実った結果なのだ。


 ちなみに俺はキャラ的に強いと場慣れしてる感が出て不自然だから悠理に丸投げしている。


「別にそんなものをひけらかす必要ないだろ」


 目立ちたくないであろう悠理は当然断る。しかし、


「嫌だったら覆面とかにするから。ね?お願いします!」


 そして台本作成者達の懇願する視線。


「ったく。しょうがねえな」


 悠理はちょろいので強く頼まれると断れないのだ。


「やったー!!」


「ちょろいなあ」


「晴聞こえてんぞ」


 思わず口に出していたようだ。気をつけないと。


 というわけでメインキャストも決まり、その他の分担も済んだところで、本格的に白雪姫の準備が始まった。


「悠理くん!もう少し感情を込める!」


「千佳ちゃんはもう少し儚げな感じで!」


「晴くんは悠理くん程じゃなくても良いから強そうに!」


「環ちゃん可愛い!!!!もっとこっち見て!!!!」


 台本の担当の方々が劇の演技指導をすることになったのだが、思っていたよりも厳しかった。——小野田さん以外には。


 俺たちには基本的に完璧な演技を求めてくる。俺には完璧なイケメン像、悠理は最強の騎士、加賀美千佳には眠りにつく儚げな美人を。


 こいつらここぞとばかりに自分たちの理想の人間を作り出そうとしているのだ。そして演技指導の相談のためとか言って撮影までする始末。絶対後で楽しむようだろ。

 委員長に至っては練習だから一切必要ないはずなのに目の前に立って王妃役を演じている。演技自体はかなり真面目だが、間近で見る口実のために立候補したとしか思えない。


 一方小野田さんには溺愛の方向性で演技指導をしている。どんな演技であろうが褒めるし、ミスをしても大丈夫だよの一言で終わる。その優しさを俺たちにも少し分けてくれないものだろうか。


 当然こちらも撮影しているのだが、どう見てもほのぼの系ホームビデオだ。後で分けてもらおう。


「後でその動画を分けていただけますか?」


「いいよー」


 そんなことを考えていると先に加賀美千佳が交渉をしていた。そういう所は流石である。

 ただこう見るとストーカーっぽいな…… 俺は止めとくか。


 そのまま何事も無く練習が終わり、小野田さんは部活へ、俺たち3人は帰宅ということになった。


「あんな役引き受けるんじゃなかった」


 悠理が疲れ果てた表情で言う。


「まあまあ。あの人たちが喜んでいるんですから」


 なだめるのは加賀美千佳。こういう所は良いと思うが、本心なのかは割と微妙だ。


「喜んでいるとは言っても楽しいおもちゃの材料にされてる気がするんだよなあ」


 そんな会話をして加賀美千佳と校門で分かれた。加賀美千佳の姿が見えなくなったところで


「どうにかあいつにヘイトを押し付けられねえかな」


 俺は誰にもばれないように悠理に耳打ちした。


「出来ることならそうしたいが委員長あたりが許さねえぞ」


「あの人加賀美千佳に対しては別に普通の態度だからなあ」


 そんな話をしていると電話が鳴った。加賀美千佳からだった。


「もしもし?」


『晴さんたちにもちゃんと巻き込まれてもらいますからね』


「その話どこから?」


『内緒です』


 電話が切れた。


「相変わらずおっかねえなお前の彼女」


「もうこの話はやめようか」


「そうだな」

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