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SEASONS-7

 「ね、深沢さんも、旭学園志望なの?」

「ん。…あたしは、違うの」

「そうなの?あそこは、推薦さえもらったら、内申点だけで、うちの学校から簡単に入れるんでしょ」

「でも…あたしんちは、公立の方がいいって。授業料も安いし、進学のこと考えたら、公立の方がいいから」

「じゃあ、泉洋高校?女子はあそこのほうがレベルが高いんだってね、美邦より」

「…うん。でも、広瀬さんは?」

「あたしは、一応、旭学園。なんとか推薦が、モラエルかな?っていう、ぎりぎりのところなの」

「……そう」

「ダメだったら、どこだろ?やっぱり、公立の、大隹くらいかな?よくわかんない」

「……そう」

「でも、頑張って、絶対推薦もらうもんね。って言うと、ひろこちゃんに怒られるけどね。授業中寝てばっかりで、どうすんの、って」

「そう」

「でもね、こないだの社会はいい点とったのよ。英語も。やっと、先生にも褒められたんだけど、みんなはまだバカっていうの」

「…そう」

「でもね、勉強したら、やっぱりよくなっていくね。やっと、わかってきたの」

「…そう」


          *


 ひとり千春が熱弁を奮っていると、午後の予鈴が鳴った。ほどなくひろ子たちが帰って来た。

「チャウ、ちゃんとお弁当食べ終わった?」

「うん、さっき」

冗談で返したつもりだったが、ひろ子や恵美は笑いながら、ほらやっぱり、と言いながら千春を嘲っていた。あっと思って取り繕おうとしたものの、勢いのいいひろ子に気押されて何も言えなかった。先生が入ってきて、お喋りも中断し、5時間目が始まった。

 寒い日が続き、実力テストの日がやってきた。一日で5科目を消化するというハードな日だった。模擬試験に比べると、問題はそれほど難しくはなかったが、結果として得られた偏差値は、『実力』を判定するものになってしまう。

 緊張した一日が終わり、安堵の気分で千春は机に寝そべっていた。そしてそのまま眠ってしまった。寒いなと思って起きたときは、もう下校時刻も迫っており、放送部の下校を促す放送が流れていた。慌てて身支度を整え、帰路についた。階段を降りて職員室の前を通ると担任の溝口先生に会った。千春を見つけると、ちょっとと呼び止めた。

「ごめーん、ちょっと手伝ってくれない?」

「ぁ、はい」

溝口先生は千春にプロジェクターを運ぶのを頼んだ。資料室に返すだけだからすぐに終わるからと言って。


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