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SEASONS-11
失礼します、と大声を上げながら3年担当の職員室に入り溝口先生を探した。先生は自分の席にはおらず、きょろきょろと探してみると、主任の池田先生と話をしていた。邪魔かな、と思いながらゆっくりと近づくと、池田先生が目敏く千春を見つけ、溝口先生に目で合図した。それに応じてくるっと振り返った溝口先生の顔は蒼白で、千春が今までに見たことがないほど別人のような顔をしていた。
「広瀬さん…」
溝口先生の口から漏れた言葉は、かすれていてはっきりとは聞き取れなかった。が、聞き返すことはできなかった。
「……深沢さんが、亡くなりました…」
* * *
焼香を終えて参列に戻ると、急に涙が出てきて止まらなくなってきた。横にいたひろ子も涙が堪えきれず、ハンカチを顔から離さなかった。千春は次第に嗚咽を漏らし、それがよけいに感情を昂らせて大声を上げそうになりながら必死で堪えていた。そっと愛子が千春の肩を抱き寄せてくれ、そのまま寄り掛かってしまった。
冷たい風も止んで、暖かな日差しが差し込む中で、出棺が行われ、静かに柩を乗せた車が去って行った。




