Fランクのクエスト受注
「今日もレベルアップしたな」
「はい、高ランクモンスターを倒しているのでとても成長が早いです」
メディのステータスを見てみる。
Lv 13
名前 メディ
年齢 13歳
性別 女
種族 人
職業 奴隷
ランク F
スキル
魔法速習(固有)【 L v 3 】
特徴
虚弱体質
「これならFランクのクエスト受けれるんじゃないか?」
「はい、自分も少し強くなった気がします」
「じゃあ明日クエストを見に行ってみようか」
「はい、ぜひ」
*ーーーー*
「タクトさんとメディさんですね。2人とも職業は?」
「あ、俺は隣町のギルドで作ってもらったカードがあるんで彼女の分だけ作ってもらって良いですか?」
「かしこまりました。って、Sランク!?......すみません。久しぶりに見たもので」
「いえいえ、ギルドの受付からすればそんなに珍しいものではないでしょう」
「いいえ、ここ1年の間は見たことありませんでした。それに普通は特別に紹介されたりしてくるものなので……こんなパッと出す人は初めて見ました」
そういうものなのか。俺はパーティにむしろSランクばかりだったから感覚に随分ギャップがあるようだ。
「そうですか。しかし招待制度って聞いたことがありませんね」
「最近Sランクに昇格された方ですか?」
「ええ、それで上書きしてもらったんですよ」
「なるほど。招待制度っていうのはSランク以上の方のみに適用される特別な制度で所属ギルドにお金を払って紹介してもらうんです。特に高ランク案件はあるけど人手が足りないって時に使われることが多いですね。最近魔王が眠りから覚めたせいで魔物が活性化して強化されていて需要が高まってるんですよ。ただでさえSランクの人は全然足りてないのに……」
「そんなのがあるんですか」
「もしタクトさんが今私たちのギルドに所属していただけるのならいろんな特典つけますよ!」
「あ〜、とりあえずいいです。そんなに長居する予定はないので」
「そうですか……それは残念です。さあ、それはさておき今日は彼女の冒険者カードをお作りするってことで良いですか?」
「ああ、それと彼女がソロでもできそうなFランク案件があるか探して欲しいのですが」
「わかりました。少々お待ちください」
タクトは席を見渡すと空いてるところが数カ所あったのでメディと一緒に座ろうとする。
「あそこに座ろうぜ」
「兄ちゃん、すげえな。Sランクだって?俺と話そうぜ」
いかつい良い感じの男が話しかけてくる。
その後ろにはその人のパーティらしき人がいた。
「あなたは?」
「俺はここのギルドマスターのゴッチョだ。よろしくな」
巨大な手を差し出してくる。
「俺はタクトです。よろしくお願いします」
「と、俺の仲間たちだ。一緒に飲もうぜ」
酒臭い。
「すみません、未成年がいるもので」
「ならお嬢ちゃんはジュースでも飲めば良い」
「う〜ん……」
困っていると受付のお姉さんが戻ってきたようだ。
「コラ、あなたたち!今日も酒ばっかり飲んで!もう、いつになったら働きに出るつもりですか!?」
「良いじゃねえか、うまいぜ。金が続く限り飲めるんだ」
「いつになったら仕事をするつもりですか!?」
「う〜ん、気が向いたらかねぇ」
パーティメンバーの女が言う。
「そんなこと言って今週一回もクエスト受けずに酒ばっか飲んでますよ!腕が鈍っちゃっても知りませんよ!」
「そんなやわな鍛え方してませんよ。お姉さんも羨ましいなら飲めば良いでしょう。いつも高ランククエストがある度に俺たちに頼ってるくせに」
パーティメンバーの華奢な男も加わる。
「もう、どう思います?タクトさん」
「まあ人それぞれ考え方があるんじゃないすか?」
ギルマスのパーティメンバーたちが茶化す。
「ウェーイ、タクトもこっちの仲間だってよ!」
「姉ちゃん言われちゃったねぇ!」
「やーい、裏切られてやんの〜」
子供かよ。
「はあ、もう。とりあえずタクトさんには用事があるのであなたたちとはご一緒できませ〜ん」
「終わったら飲もうぜ」
「飲まなくて良いですからね、タクトさん」
なんか自由な人たちだった。
「お待たせしました」
「どうも」
お姉さんが隣に座って話し始めた。
「こちらがメディさんの冒険者カードになります」
「ありがとうございます」
メディは初めての冒険者カードを手にとって喜んでいる。
「Fランクの案件はいくつかあったので確認しながら決めてくださいね」
そう言いながら書類を取り出して渡す。
「決まったらもう一度受付に持ってきてください。それでは」
お姉さんはそう言って受付に戻っていった。
*ーーーー*
ーーざぶん、じゃ〜
「ふぅ〜、疲れた」
湯船に浸かりながら物思いにふける。
明日はクエストか。まだ戦闘経験したことないところから1週間しか経ってないのにもう L v 13だし。
俺なんか十年やっても L v 6だったのに。
固有スキルに搾り取られていたのはわかるがこうも成長が違うと自分のあの苦労した日々はなんだったんだとアホらしく思えてくる。
SSSランクスキルを持った特殊な人には特殊な訓練が必要なのではなかろうか。
例えば俺がメディに今やってるように高ランクモンスターのトドメだけ刺させるとか。
それにしても本当に成長したな。
体つきもあんなにムチムチになりやがって。
感触を思い出すと不覚にも勃ってしまった。
くそ、鎮まれ、俺の息子!
そんなことを考えているとドアを開ける音がした。
ーーガラガラ
「ん?」
「お疲れ様です、ご主人様」
「うわっ、メディ!?」
「どうしたんですか、そんなに驚いて」
一応大事なところは隠しているようで良かった。
今は俺の息子が大変なのにこんな状況になったら治まらない。
「別に。お前こそどうしたんだ」
「その……ご主人様の体を洗おうかと」
「いやいや、大丈夫だよ」
「でも殿方に仕える奴隷は体を隅々まで洗ってご主人様の疲れを癒すものだと聞いたことがあります」
まあ、それは主人の趣味によるわな。
「大丈夫だ。必要ない」
「じゃあ、背中を流すだけでも……」
「まあ、それくらいなら良いけど」
「よかった。では早速流しますね」
いや、待て。このまま湯船から上がったらタオルを巻いたとしても息子が大きくなっているのがバレる。
いや、そもそも見たことないんなら堂々としてれば大丈夫か?
彼女は男についてどれくらい知っているのだろうか……
「いや、ちょっと後で」
「もう少し浸かってますか?」
「ああ。ちょっと暖まりきらなくてな」
「ではそれまで私も一緒に入りますね」
「ちょっとタンマ!」
「どうかされましたか?」
そりゃ外で俺が浸かり終えるのを待ってたら寒いし一緒に入ることになるよな。
「ああ、まずタオルをつけて……よし」
「入って良いですか?」
「あ、ああ」
ーーチャプ、チャポン
2つの足が湯船の中に入る。
タオルは巻いているが足をあげた時に見えそう……で見えなかった。
そんな状況により息子はさらに頑固になってしまったようだ。
背中を流してもらうまでに30分かかった。