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隣町への旅路

タクトたちは旅に出る準備を終え、フィールドに出るところだった。


「ワクワクしますね」

「旅に出るのはこれが初めてなんだよな」

「はい、ずっと屋敷で過ごしていました」

「窮屈だとか思わなかったのか?」

「もちろん外の世界を見てみたいと思うことはありましたが……奴隷に拒否権はありませんから」

「それもそうだな。さて、これからのことだが当分帝国の城下町を目指してまで移動しようと思う。あそこら辺に行けばSランク以上の案件もたくさんあるだろうし」

「はい」

「そのために今日は隣町に移動しつつレベル上げしようと思う。隣町はすぐ近くで同じガナール帝国の領土だからここと作りはそんなに大差ない」

「わかりました。帝国ってどこら辺にあるんですか?」

「大分北の方にある」

「じゃあここら一帯は帝国のものですか?」

「ああ、最近力をつけてきていて領土をどんどん拡大しているらしいな」


話しながら2人はフィールドへ出る。


「これから魔物が出てくることもあると思うが最初の戦闘は全部俺がやる。俺がHPを削ったのちにメディがとどめだけさして経験値を獲得してもらう」

「そんなことできるんですか?」

「ああ、まあな。俺も弱い頃はパーティ仲間のラスキル泥棒に経験値全部取られてた」

「そういう仕組みなんですね。私は家事手伝いでパラメータ上げてたので知らなかったです」

「筋肉動かしてパラメータを上げるのは非効率なんでね。特に強くなればなるほど」


ーーガサッ


「なんかあの辺で音がしました」

「何かいるな」


ーーザザッ、キィ!


「一角兎だな」


俺は新しく新調した剣を抜く。特殊な力はないがよく鍛えられた丈夫な玉鋼剣だ。


「可愛らしいですね」

「油断したら角で心臓を貫通させられるぞ。避け方を見せるからよくみておけ」


そう言ったと同時に一角兎は飛びかかってくる。

タクトはひらりとかわす。


ーーウウウウ……


一角兎は警戒するように低い声で唸っている。


「意外に獰猛なんですね」

「ああ。魔物は見た目だけで判断してはならない。いくら弱そうでもステータスさえ高ければ強くなるからな」

「気を付けます」


メディも気を引き締めた顔になった。良い心構えだ。


「だが動きは単調だ。1パターンだからしっかり見れば良い。まず手本を見せるからよく見ておくように」

「はい、ご主人様」

「HPを削るからとどめは頼むよ」

「はい、任せてください」


一角兎は再び飛びかかってくる。


「ふっ!」


タクトはかわしながら一角兎を斬る。


ーーサクッ


あ。

一角兎のHPが見る見るうちに減少し、0になった。

剣の重さを軽く載せたつもりだったがこの世界ではステータスがモノをいうため、驚くほどあっさり斬れてしまった。

タクトは強くなりすぎたことにより、攻撃の加減の感覚が少し狂っていたのだ。


ーーシーン……


こうなるとは予想してなかっただけに恥ずかしさがこみ上げてくる。


「あ、あの、動き方はとても参考になりました」

「あ、ああ。それならよかった。次はメディに倒してもらうからな」

「はい」


メディがフォローをいれてくれたおかげでなんとかうやむやにできた。

まあ彼女も気付いているだろうが。



*ーーーー*



休憩中。


ーーダダダダダ


「この音はなんでしょうか……」

「何かいそうだな。それも複数」


ーードドドドド


「騎兵隊だな」


ーードドッドドッドドッドドッドドッ


「去っていったか」

「本物の騎兵隊が走ってるのを見るの初めてです!帝国のものでしょうか」

「いや、帝国の紋章じゃなかったな。南の方の別の国だろう」


タクトもそんなに見かけたことはなかった。帝国と何か重要な話でもあったのだろうか。


「よし、どうだ?疲れは取れたか?」

「はい、おかげさまで」

「隣町目指して北に移動を再開しよう」

「はい、ご主人様」


っと良いところで一角兎が現れた。今日3匹目だ。


「メディ、行けるか?」

「ええ、任せてください」


メディが前に出る。


ーーじりじり


メディがにじり寄っていくと一角兎が我慢しきれなくなりこちらに猛突進してくる。


「ふっ!」


うまく攻撃を躱した後に背後から斬りつける。


ーーギィ!


見事に急所に入っていた。


「やりました!一人で倒せました!」

「おう、良い動きだったぞ」

「それにレベルアップしたようです!戦闘したのも戦闘でレベルアップしたのも初めてです!ステータス見てください!」

「ああ、どれどれ」


 Lv 4

 名前 メディ

 年齢 13歳

 性別 女

 種族 人

 職業 奴隷

 ランク G


 スキル 

 魔法速習(固有)【 L v 1 】

 

 特徴

 虚弱体質 


メディは嬉しそうにステータスを見せてくる。

しかし彼女がこんなにはしゃいでるのは初めて見るかもな。

最初出会った頃に比べると大分変わったと思う。喜ばしいことだ。



*ーーーー*



「ふう、着いたな」

「一日中歩きっぱなし、動きっぱなしでしたね。もう動けそうにありません〜」


メディはその場にへたり込む。


「これからもこういうことはあるだろう。ちゃんと体を慣らしておけ」

「はい。少し休憩もらっても良いですか?筋肉痛でいたいです……」


彼女のステータスを見ると状態の欄に筋肉痛(小)が追加されていた。

タクトもFランクだった頃Sランクに休憩なしで連れ回されて大変だった頃を思い出す。

結構程度が小でも痛いんだよな……治りは早いけど。


「とは言ってももう宿屋はすぐそこだし……俺がおんぶしてやるよ」

「いえ、あまりご主人様に迷惑をかけるいけない奴隷にはなりたくないので」

「でもここで待つのもちょっとな。早く宿屋に入りたいし」

「申し訳ありません……」


メディを背負う。

すると背中に2つの柔らかい感触を感じた。

以前世話していた頃はゴツッとしてたのに。

体型は華奢だが成長するべきところはしっかり成長している。

手に当たる感触も最初は骨がカツッと当たる感じだったが今はムニッて感じだ。


「ご主人様に迷惑かけてばっかりですよね、私」

「まあ、誰でも最初はそうだよ。少しずつ強くなれば良い」


タクトは最初の部分を経験しすぎているのでそこは全く気にしていなかった。


「ご主人様に迷惑をかけるいけない奴隷……どうか罰をお与えください」

「罰ってなんだよ」

「お仕置きです。よくあるのは鞭打ちとか」

「それは一種のプレイだな」


以前の富豪のおばちゃんがよくやってたんだろうか。

眠たそうな声でメディが言う。


「迷惑だとわかっているのにご主人様の背中が落ち着くんです〜。ご主人様の背中あったかいです〜。こんなダメな奴隷に罰をお与え下さい〜」


背中の彼女はギュッと抱きついた手の力を強める。

さっき以上に背中の感触が強くなる。

まったく、こんなご主人様を惑わすいけない奴隷になりやがって。確かにお仕置きが必要かもな。

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