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幼馴染、パーティを抜ける

「おい、お前今日のボス戦、攻撃喰らったらすぐ回復しろって言ったよな」

「でもリーラさんがHP25%切っていたので……」


いつもなら少しはリーラも味方してくれて以前はなんとか収まっていた。しかしもう今は歯止めが効かない。リーラは冷たく返す。


「そもそも回復速度が遅すぎて話にならないんだけど」

「ほんとそれ。さっさと回復してくれないと私たちが危ないんだけど。死んだらどうやって責任取るつもり?」


自己責任でしょう。次強力な技が連続で出てくるって私が言ったのに聞かなかったのはあなたの方だ。などとは言えない。


「お前もSランクじゃないくせによくこのパーティに残ってるよなあ」

「なあ、申し訳ないって思ってんならきちんと謝れよ」

「お前のせいで死にかけた奴がいんだからさあ」


無関心でいるように努める。


「ねえ、こいつちょっと反応悪くなってきててつまんないんだけど」

「ってかなんでそんな平気な顔していられるわけ?申し訳ないって思ってんなら申し訳ない顔しなさいよ」

「そうそう、私謝罪もらってないんだけど。泣いて謝るくらいはして欲しいわ」

「良いね、それ。じゃ、みなさん、泣けコールお願いしまーす。はい、泣ーけ、泣ーけ」

「泣ーけ、泣ーけ」


申し訳ない顔って何それ?私は土下座して泣けば良いの?そんなお芝居をやれと?私が戦闘の指揮を任されているんだから従って欲しい。そう思うのに言えない。それがとても悔しくて……


涙が出てくる。


「あ、泣いた〜!なんだ、申し訳ない気持ちあるんじゃん!じゃあ土下座して許してください、ってを懇願しなよ。ほら、早く!」

「早くして欲しいんだけど」


土下座はしなかった。するとサリーがかかとを頭の上に落とす。


ーーゴスッ


「地面に頭をつけろっての」

「もうこいつ動かねーからみんなでその姿勢になるように手伝ってやろうぜ。俺たちって優しいよなあ?」

「早く正座しろ!」


ーーガッ


「手間かけさせんな!早く額を地面につけろ!」


背中を蹴られた時だった。


ーーバキッ


「うぎゃあああああぁぁ!!」


背中の強烈な痛みとともに背骨が折れた音がした。以前は手加減していたが、どんどんエスカレートして痛めつけることが主目的になっているかのようだった。


「ははは!まだちゃんと反応できるな!」

「ほらほら早く治療しないと死んじゃうよ〜」


ーーグリッ


「あああああぁぁぁぁぁ!!」


折れた場所をえぐられる。

HPも残りが少なくなってきた。

以前であれば少し仲間外れにされる程度だったものが、タクトが入ってきてからザイツが調子に乗り始めエスカレートしていった。

そしてその矛先が私に向けられたのだ。

その結果くるところまで来てしまった。

その上ここのところ取り分もない。

もうここにいる意味もなかった。


「タクトが抜けて嬉しいか?今度はまたお前が可愛がってもらえるもんなあ」


ーーガヤガヤ


「ん?何か騒がしいな」


ーー誰かいますかー?困ってるなら声をあげてくださーい!


ここは森の中だが幸い誰かがいたようだ。


「ちっ、まずいな。おい、立て。場所を変えよう」


しかしすかさず言葉を発する度に背中が痛むのを我慢しながら私も叫ぶ。


「助けてください!私はテントの中にいます!」

「ちっ、くそ。オラ、来い!」

「暴行されています!助けてください!」

「もうしょうがない。こいつは置いて逃げるぞ」

「そうね。あんた、今度会った時覚悟しなさいよ」


私は彼らと会うのは最後だと思って言い返した。


「私ももうあなたたちのところへ戻るつもりはないから」


ーーダダダダダ


誰かが来る足音が聞こえた。


「もう逃げるぞ!」


ザイツが言うとグラントホルダーメンバーたちは一緒に逃げていった。


誰かが近くにくる。


「大丈夫ですか!?」

「はい、背中が痛みますが自分で治癒できます」

「あ、あら?リーシャさん?」

「マルティア…さん?」



*ーーーー*



「ボルツクラネックの皆様、昨日は助けていただきありがとうございました」


みんなで朝食を取る前、リーシャは頭を下げた。

ボルツクラネックはリーシャがグラントホルダーに入る以前入っていたパーティで、魔法学校を卒業する際にクラスメイトたちと結成した。


「いえいえ、困っている人を助けるのは当たり前ですからね」

「リーシャさんなら尚更です!」

「もう体調は良くなりましたか?」


ボルツクラネックのみんなは優しい。

私1人で勝手な理由で抜けたというのに。


「はい、皆様のおかげですっかり」


彼女の言葉を聞いて皆安心する。リーダーのマルティアが仕切る。


「では食べましょうか。積もる話もあると思うので今日はいっぱい話しましょう」

「私も聞きたいな。パーティの外で何があったのか」


一緒に立ち上げた時のメンバーが話しかけてくる。当初は3人だったけど私が抜ける頃も4人だったはずだけど今は10人もいる。随分と大所帯になったなあ。


マルティアが号令をかける。


「ではいただきます」


ーーいただきます!


「まずは昨日のことからかしらね。一体何があったの?」


今日の朝食の時間は長くなりそうだ。

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