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表と裏

「賞状、良く頑張ったで賞。グラントホルダー殿。貴殿らは冒険者として数多くの解決困難なSランククエストに立ち向かい、解決されました。その模範的な行動を称え。これを賞する。おめでとう」


ーーパチパチパチ


ザイツはグラントホルダー代表としてギルド内で表彰を受けていた。

グラントホルダーはSランク揃いの強力なパーティでこのギルドの中では最強と謳われるパーティの一つだ。

ギルドの団体戦では真っ先にお声がかかり、なかなか解決できないSランククエストをこなす貴重な存在だろう。


そして、その中のリーダーが俺、ザイツ。

ステータスはギルドの中では最強だ。

固有スキル経験値3倍増というスキルを持ち、レベルは周囲と段違い。

強くて人当たりが良く、皆からも信頼が厚い。

そう、表向きはね。


「賞状、最優秀賞。ザイツ殿。あなたはギルド内のクエストにおいて優秀な成績を納められ、ステータス、実力共に最強であることが認められました。その成績と強さを称え。これを賞する」


ーーパチパチパチ


「ザイツさんまた最優秀賞だって」

「ほんとにすごいわね〜。帝国軍入ったら勇者になれるんじゃないかしら」

「ザイツさん、マジパねえっす!一生ついていきます」


あ〜、気持ちいい。

俺の周りには雑魚しかいねえ。

そして雑魚どもが頂点の俺を見て褒め称える。


「グラントホルダーのみなさんもすごいですよね」

「でもやっぱりザイツさんが頭一つ抜けてますよね」


パーティメンバーも強いっちゃ強いが俺と比べればひよっこの同然だ。

基本ステータスがまるで違う。

所詮は俺を飾り立てる装飾品に過ぎないのだ。


このギルドでは最強……しかしザイツ自身、ちょっと物足りないものを感じていた。

物足りないと思うポイントは2つあった。


1つは素朴な疑問。

この力はどれくらい世界で通用するのだろうか。

世界の人に俺TUEEEって言えるくらいのものなのだろうか。

俺は井の中の蛙のような気がしてならなかった。

誰もが認める名誉、金、地位が欲しかった。


2つ目は今現在、おもちゃがいない。

ザイツはリーシャやタクトをいたぶる際、その面白さに気づいてしまった。

おもちゃをどこから調達するかだが、ギルド内ではバレて噂になってしまうため、ギルド経由以外で調達して来なければならない。

以前はよく地方の別のギルドに行って勧誘していたがもし世界を目指すんだったら帝国の方に行かねばなるまい。

まあ帝国に行く途中で雑魚を雇ってターゲットにすればいいか。これもモチベーションを保つ上での必要経費だ。


「では今回優勝されたザイツさん、皆様の前で一言お願いします!」


俺が表彰台に登るとギルド内の会場が黄色い声援に包まれる。


ーーキャーキャー


「きゃー、ザイツ様よ」

「私はここです、ザイツ様〜」

「未来の帝国の勇者様〜!こっちを見てください〜!」

「私を抱いて〜」


今回は誰にしようかな〜?よし、決めたぞ。


「みんな、応援してくれてありがとう!みんなのおかげで今回も最優秀賞を取ることができました!今日は宴だ!」


場が盛り上がる。


「それで俺と一緒に今夜飲み明かす人たちを選ぼうと思う」


さっきとは対照的に場が静まり返る。


「そこの金髪ロングの子と胸の大きい赤髪の子と青色のネックレスをしているつぶらな瞳の君!今日の宿で待ってるから来て。一緒に飲みまくろうぜ!以上です」


ーーワーキャーワーキャー


「え?あたし?やったー!」

「キャ〜!ザイツ様に指名された〜!」

「いやーん、指名されちゃった、どうしよう〜」


指名された人もされてない人も大騒ぎだ。

しかし中には揉めて言い合いになっている人もいる。

指名された人でカップルだった人がいるらしい。

だがこんな展開は慣れっこだ。

ザイツは壇上を降りてそのカップルに挨拶しに行こうとする。


「おい、お前には俺がいるだろ」

「え〜でもザイツ様に呼ばれちゃったらしょうがないじゃない」

「相手がいくらザイツでもやって良いことと悪いことがある」

「別に行くだけよ。何が悪いの?」

「だってあれ絶対いかがわしいことするだろ」

「大丈夫、そんなことにならないから」

「でもザイツのところへ行った女は必ずヤって帰ってくるっていうだろ」

「大丈夫よ。そういうことはちゃんとしないから」

「ダメだ。信用できない」


やれやれ、しょうがないな。


「彼氏さんですか?」

「ああ、そうだ。今回のことだがこれはザイツさんであっても譲ることはできない」

「あんた、どこまでっ……」


女の子が感情的に非難しそうになるのを制止させる。


「彼氏さんが不安になられるお気持ちもわかります。ですが私がこの場で彼女にいかがわしいことをすることはないとお約束いたします。ですから、どうか私に今夜だけでも彼女を預けていただけないでしょうか」


ザイツは丁寧に頭を下げる。


「わ、わかりました。ザイツさんがそこまで言うなら……」

「では彼女はお借りします。ご協力ありがとうございます」

「おう……」

「じゃあまた明日ね」

「あ、ああ」


はっはっは、ちょろいちょろい。残りの2人はもっと楽そうだな。



*ーーーー*



「サリー、ザイツをあのままほっといてもいいの?」

「別に飲みに行くくらい良いんじゃないの」


サリーはふてくされた様子でぶっきらぼうに答える。そんな言葉通りに思っているようには感じられなかった。


「でも本当にいいの?毎回女連れ込んではヤってるって聞くし。結構噂になってるよ」

「ふん、あいつは私が何を言ったところで聞かないから」


サリーとリーラは2人で話していた。


「それよりあんたこそダンとはどうなのよ」


ダンーーグラントホルダーメンバーでリーラの恋人だった。


「今日は遊びに行ったわ」

「あんたも放って置いたらまずいんじゃない?」

「私はダンのこと信じてるから」


コーヒーをすすりながらリーラは言う。

2人とも彼への疑念は晴れそうになかった。



*ーーーー*



ベッドが軋む。


ベッドには3人の女が横たわっている。

ザイツは結局カップルの女にも手を出していた。


「はあっ、はあっ……もう、手は出さないって言ったのに。悪い男」

「望んで俺のところに来たのはお前の方だ。まだやるか?」

「もう無理〜」


女はベッドに倒れ込む。

チッ、使えねぇな。

最後の部分をエロすぎると運営に怒られてしまったので一部変更しました。

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