ココア
ボーイの階段作りが完成したらしい。
「ボーイ、お疲れ!」
端に手摺りもあり、立派な階段が出来上がっていた。
「このコンクリートみたいなものは、雨水も吸い込む。滑り止めにもなる優れものだ」
「それは凄いな!ありがとう、立派な階段が出来たよ」
「うん!じゃ、俺はこれで」
「もう戻るのか?海で遊んだりゆっくりしたらどうだ?」
「いや、遠慮しとくよ」
ボーイは初めてのアレイだった。
やはり寂しい。
「ボーイ、色々アドバイスをありがとうな。おかげで上手く行きそうだよ」
「そうか、それは良かった」
「寝る場所も用意せずに、本当に悪かったな」
「気にするな」
「ハグしてもいいか?」
「おぉ!」
ボーイから歩み寄ってくれ、力強いハグをした。
「お別れか……寂しくなるな。元気で幸せになれよ」
「分かった!ご主人様もなっ!」
ボーイは琴、艶姫、ひまわりと挨拶を交わし、手を振りながら消えた。
「出会いがあれば別れがある。当たり前の事だけど寂しい……」
「ご主人様、釣りを教えて下さいませ」
琴は明るくそう言った。
きっと俺を励ましたかったんだろう。
なんて優しいんだ。
二人でボートに乗り込み、釣りを楽しんだ。
俺はグルメではない。
ないが、毎日焼き魚に少々飽きて来た。
「ご主人様。もう一人アレイを呼びましょ?」
「ん?」
「畑と料理が出来れば、きっと美味しいものが頂けます」
ボーイの代わりのつもりだろうか。
琴が提案してくれたのは初めてだった。
野菜、食いて~な。
畑なら土地が必要だ。
山の頂上に二人で行った。
「ひまわり、畑を作るスペースはあるか?」
かなりの木が無くなっていた。
「ありますよ!今ここが敷地で、家の前と後にかなりのスペースがあくわね」
「なるほど、出来るな!じゃ、もう一人呼んで来るよ」
農業と料理人だから、中のボールだな。
どんな子にしようかな。
「ご主人様の理想のお相手を呼べばいいと思います」
琴はそう言って微笑んだ。
いや、琴も理想の女性なんだが。
でも、そんな事を言うという事は俺に気がない証拠かな。
少し切なくなった。
身長160cmくらい。
髪型、金髪カーリーでロング。
顔は少し垂れ目の可愛い顔。
性格は優しく、可愛い性格。
体型スリム。
琴にそう言われたせいか、念入りに考え理想に近ずけた。
あてつけかな。
中ボールを投げると、目の前に現れたのは本当に可愛い女の子だった。
「よろしくですよ~」
「いやぁー、本当に可愛いな!」
「ありがとです」
少し子どもっぽい喋り方が気になるが、いい!
「琴です。よろしくお願いします」
「美しいお姉様ですね!よろしくです!」
「今名前を考えるから待って」
「はぁい。ありがとです」
チー、トット、メメ、ココ、あっ!
「ココアちゃん!どうだ?」
「可愛いです~」
そう言って笑った顔は、とても愛くるしかった。
三人で頂上に行った。
ココアは走って行って、艶姫とひまわりに挨拶をしていた。
「ご主人様、立派な畑が出来そう!」
今までご主人様と呼ばれる事に抵抗は無かった。
いやむしろ心地よかった。
だが何故だろう。
ココアに呼ばれた時、違和感があった。
「ご主人様はやめる!」
急に大事を出したもんだから、皆びっくりして集まって来てしまった。
「どうしたのォ~?」
「いや、なんかごめん。ご主人様という呼び方をやめたくなったんだ」
俺はグラディエーターに来てから、自分の名前も捨てた。
だからアレイと同じように、自分で考えた名前をつけたい。
「サリー!どうだ?」
皆なぜか拍手をしてくれた。
「よし!今日からサリーと呼んでくれ」
なぜか名前を付けると清々しい気持ちになった。
アレイに近づけたような気もする。
「ココア、呼んでみて」
「うん!いいよ。サリー!」
なかなか良いぞ!
「俺のために働いてくれてるんだから、俺も今日から手伝うよ」
「えっ?本当に?」
ひまわりは首を傾げた。
「うん!皆と対等でいたい。仲間になりたい!」
その日から皆の所を周り、教えてもらいながら手伝った。
時折スコールにあって大慌てしたり、なぞなぞを出して皆で競ったり、今までにない楽しい毎日が続いた。
琴を除く三人は雨風をしのげる木の下で寝ていた。
速くちゃんとした寝床を作ってあげたい。
そんな事を思いながら、琴とバナナテントで寝ていた。
「琴、手伝いは苦痛じゃない?」
「はい、楽しいです」
「琴は好きな人はいるの?」
「いません」
「じゃ、これから好きな人を作って恋愛が出来るんだね」
「そうですね」
「俺は……」
「はい」
「俺の事はどう思ってる?」
「ステキな人だと思います」
「んー、好きとか嫌いとかそういうの」
「好きですよ」
琴はすぐにそう言った。
という事は男としてじゃないな。
アレイにいったい何を求めてるんだ……。
朝目覚めると何か騒がしい。
見るとボートに乗ったカップルが上陸していた。
「何ここ?人がいるよぉ」
「本当だ」
二人はバナナテントに近付いて来た。
「こんにちは」
男が挨拶をして来た。
「こんにちは」
人と話すのは久しぶりだった。
「この島は俺が所有しています。無断で入らないで下さい」
「所有?へぇー」
女はそう言い辺りを物色していた。
出て行く気はなさそうだ。
頂上で作業していたはずの三人が、なぜか降りてきた。
「えっ、女の子いっぱいじゃん!しかもみんな綺麗だ」
「やだぁー、自分で島買ってハーレムにしてるわけ?キモイんだけど~」
あぁ、久しぶりに人間の嫌な会話を思い出した。
「出て行って下さい!」
俺は争う事は嫌いだ。
だが、声を荒らげてしまった。
「でも、いいなぁー。羨ましいぜ!」
出て行く気などさらさら無い口ぶりだった。
アレイの4人はなぜか集まって、戦う構えをした。
「えっ?何やってるんだ?」
俺は焦ってそう言った。
「サリーを守るのよォ~、そういう決まりなのォ~」
艶姫はそう言った。
頑丈な体や疲れ知らずだから戦いには向いているだろう。
このアレイの決まりというのが恐ろしい。
彼女達はそれに忠実だからだ。
しかし、戦えば人間でない事がバレてしまう。
「用がないなら帰って下さい。お願いします」
俺は懇願した。
「女の子が戦うのか?俺は絡みた~い」
「何バカな事言ってるのよ!ここにいたら頭がおかしくなる。もう行こ」
女の方はボートに向かってくれた。
「君、名前は?」
「ココアだよ~」
男は皆を見てまわり、気にいったのかココアの前で止まった。
「可愛いな~、一緒に来ない?」
「行かないです」
「行こうよ~、楽しい所いっぱい連れてってあげるからね」
男はココアの手を引っ張ろうとした。
俺は反射的に流木を広い、男の手を振り払った。
「いってー!!」
「ちょっとあんた!何してんのよ、帰るよ!」
ちょうど女が迎えに来て、腕を引っ張ってボートに連れて行ってくれた。
「っほんとに、あんたは女の子を見るとこれだから、全く!」
「分かったよ、痛いから離せって!」
「離したらひっぱたくよ!」
「ひぇっ~」
カップルはボートに乗り込み離れて行った。
「ふぅ~、全くびっくりしたよ」
四人はなぜか俺を羨望の目で見つめていた。
「かっこよかったわん~」
「出る幕が無かったね~」
「ステキ過ぎです~」
「見直しました」
ん、ココアを助けたからか?
アンドロイドだとバレないように必死だっただけなんだけど、そうくるか……。
ま、いい結果だったから良しとしよう。
考えた事は無かったが、正にハーレムだな。
アレイなんだけどね。
じゃ、折角だからあの羨ましがっていた男のように、人と思ってハーレムを楽しむかな。




