表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

グラディエーター

 宝くじで大金を手に入れた俺は、小さい頃からの夢だった無人島を手に入れた。

 船舶免許も取りモーターボートを買った。

 必要な物だと思う物(定かではない)を買い揃えボートに積み込む。


 その無人島はハワイとほぼ同じく、常夏の気候を満喫出来る。

これで寒い冬とおさらばだ。

俺は生まれも育ちも東北。

雪おろし、雪かきが大嫌いな俺にとって天国の何ものでもない。


 それに人がいない事。当たり前だが無人島だ。

俺が所有するわけだから、他から誰かがやってくる事もない。


 社畜はもううんざりだ。

しがらみ、まっぴらゴメンだ。

下戸の俺は付き合いの飲み会も耐えられん。

それら全てから解放されるのだ。


 ショッピングを楽しむ人がいるが、理解に苦しむ。

食べ歩きなんかどこが楽しいのか。

生きれるだけの食べ物があればそれでいい。

そうだ、グルメとは無縁だった。


 コンビニやスマホ、パソコンがないと嫌だと言う人が多い中、全く興味がないと言えばウソになるが、無くても不便は感じない。

 

 あの携帯というものはろくな事がない。

「今どこ?」「今何してる?」挙句には「○○買ってきて」


 もううんざりだ。

俺がどこで何してようが誰といようが大きなお世話だ。


 25歳ともなると、それなりに恋人もいた事もある。

だが、たいていはめんどくさくなり俺から去った。


 だからこそ人に干渉されない無人島が欲しかったのだ。


 所有する無人島には名前が無かった。

“無名島”と呼ばれていた。


 歩いて二時間ほどで一周出来る俺の島が、地図に載ることはないだろうが、せっかくだから名前を考えた。


パラダイスーーありきたりだ

愛島ーー他にありそうだ


 いっそのこと自分の名前を付けるかとも考えたが、この際名前も捨ててしまいたい。


 そこで思いついたのが大好きな映画だった。


《グラディエーター》


 なんとかっこいい響きだ。

そのまま戦えそうじゃないか!

俺は闘わないが。人と争うことも嫌いだ。


 だが待て……、この島を乗っ取ろうとする者がいたら?

俺は武器を片手に必死に戦うだろう。

それほど愛する島だった。

かつて人にせよ物にせよ、これ程まで愛したことはないだろう。


 そんなものを手に入れた俺は、胸踊らせながら今から旅立つ。


 付き添いは三毛猫二匹。

兄妹の捨て猫を譲って貰い、成猫まで育てたやつだ。

もちろん無人島に連れて行くためだった。


 こいつらの名前は面倒だったが付けてやった。

鼻に茶色いぶちのあるのがオスのマイケル。

もちろんマイケル・ジャクソンからとった。

気品高い美人のメスはキャメロン。言わずもがな。


 犬の方が役に立つかも知れないが、あのハイテンションにはついていけない。

まして餌になる肉がない。

調べた所、動物は存在しないらしい。

そう思うと猫はいい。

魚を釣れば喜んで食うだろう。


こうして俺と二匹の猫は、島初めての生き物として《グラディエーター》へ降り立った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ