クラスメイト。隣の席
「は??」
この人は何を言うのだろうと思った。
「というか、私の名前…」
「名前ぐらい知ってる、羽純繭だろ?」
「え、本当になんで知ってるんですか、気持ち悪い」
「同じクラスなんだから当たり前だろ?」
「羽純綺麗だし、合唱部でも入れる…」
「同じこと何回も言わなくていいですから!」
私は静かにしていたい。
合唱部なんかに入っても私は…
思わず下をむいてしまった。
「…知ってるに決まってるだろ」
「…え?」
もう、話し掛けて来た隣の席の彼、生田くんは前の席の男子と笑いながら、授業を聞いていた。
さっき小さく何かを言ったような気がしたけれど、、、
「…」
ただ話しかけられただけなのに、どきっとしたのは何故?
私はきゅっと軽く拳を握ったあとシャープペンを手に取り、自分も授業を聴くことを再開した。
(「同じクラスなんだから当たり前だろ?」)
私に話しかけてくる人なんて、ほとんど、いないと思っていたのに、生田いくたくんは真っ直ぐに私を見て、ただ何でもない事のようにその言ったのだ。
「(同じクラスだから、当たり前だろ…かぁ)」
キザな人だなぁと思う
でも、どうしてだか、話しかけられてもいつもは男の人は怖くて、怯えてしまうのに、彼、生田いくたくんは怖くなんか無くて
地味な私に対しても優しかった。
クラスの人気者でスポーツ万能で、優しい。
私には届かない人だなぁと思いながら、私は海を眺めるのを止め、彼にバレないように、
生田くんを眺めていた。