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無駄

作者: 噺 角蔵

どうしようどうしようもうどうしたらいいんだろう。

人生に無駄なことなんて一つもないなんて、あれはきっと嘘っぱち。だってこうして悩んでいる時間にだって私は歳をとる。そうこうしているうちに、私の時間は終わってしまう。


そうだ、あれは中学を卒業する前だった。私はふと疑問に思ったのだ。私、今まで何してたっけ、と。確か卒業文集の作成をしていた時だ。

中学三年間、決して遊んでいたわけではない。だって遊ぶ友達なんていなかったもの。暇があれば漫画を描いていた。さほどうまくもない絵。誰に見せても認められない絵。それでもストーリーを練るのが大好きだった。絵を描くのが面倒になって、小説もどきのものも書いていた。漫画以外の本なんて、教科書以外読まないくせに。

そうして三年間過ごしていた。勉強は嫌いで、漫画を読んでいるか描いているかだったっけ。あの時は思わなかった。自分は妄想と脚色で食べていくものだとばかり思っていたから。

まさか人生がこんな風になるなんて思わなかったから。


嫌いなわりに好奇心と探究心だけあったから、大学まではなんとか行けた。大学まで親に行かせてもらっていたのに、その時も小説を描いていた。自分はまだそっちで生きて行けるかもと淡い期待を抱いている傍ら、大学ではしっかりパソコンの知識を身につけていった。

ああ、当時の私はなんて器用だったのだろう。同時になんて馬鹿だったのだろう。二兎を追うものは一兎も得ないのよ。

当たり前のように、中途半端なまま大学を卒業。そして迎えた社会人生活。と、思ったら精神病んで即退場。ニート生活始まり始まり。


そして迎えた30代。皆んなより10年遅れて新社会人になったとさ。

そして悩む現在。目指すは専門職。パソコンスキルをどうにか活かしたい。もう妄想と脚色だけでは食べられない。筆もペンも私は自ら折ってしまった。現実に飲まれたのではなく、夢から覚めた、それだけ。


それでも無性に書きたくなることがある。いや、書かなければいけないのだ。私の為に。謂わば自慰行為。そして公開。他人に自慰行為を見せるなんて、きっとどうかしている。それでも脚は広げられない、下着もうまく脱げない。私は脱ぎ方を知らない。そうしてここまできた。


時間をかけた割りに、見合わない成果。ああ、ほんとに無駄ばかり。


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― 新着の感想 ―
[良い点] はじめ一号と申します。 >私、今まで何してたっけ かつてめちゃくちゃ思った経験があります。 自分と重なる部分が多くて目頭が熱くなりました。 でも本当に言いたいのはそこではないのです。 …
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