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自由への憧れ
僕は「難波一」と名付けられた。
僕は完璧な機械の体をもつ新しい人類ということで作り出されたらしい。
ただ最近少し不具合がでてきたのだ。僕はその不具合を退屈、とよんでいる。同じことを繰り返す性能実験、ほとんど動けない状態がその要因ではないかと考えている。
今もずっと変わらない日常をすごしている。僕はこの不具合を伝えようとも直そうともしなかった。この退屈という感情と好奇心という感情が直結しているように思えたからだ。
「火事だぞ!」
突然の大声に白衣の人達が急いで立ち上がる。
サイレンの音が響き始めた。
火事?聞いたことのない言葉、ただ様子をみた限り大変なことらしい。
「No.1はどうする?」
「隔離室から急いで運ばなければ。」
僕の入っている強化ガラスの箱が運ばれ始めた。
その時、いつも閉まっている入り口のドアが開いているのがみえた。
あそこからでたらでたらこの退屈な生活も終わるのかな?
ガラスケースを叩きわると白衣の人たちから驚きの声があがった。
僕は構わずドアを目指した。この日、僕は初めて自分の意思で行動し、自由になった。