二重人格の少女
「石本先生」
振り替えると理科の荒木先生が後ろにいた。
「これから帰るんですか?」
「そのつもりだよ。」
「私も帰るところなんです。」
荷物をまとめて立ち上がる。
「この学校に慣れましたか?」
「結構慣れてきました。」
荒木先生がこちらをむいてきた。
「そう言えば先生って今まで印象に残った生徒とかいます?」
「荒木先生は?」
「私はですね~」
荒木先生の話す生徒の話を聞きながらある生徒のことを思い出していた。確かあれは五年前だったか。
「先生!」
一人の生徒が慌てて職員室に入ってきた。
「美空さんが暴れてて」
急いで教室に入って最初に見えたのは血がついたカッターナイフをもった少女だった。
「美空さん!どうしたんですか?」
美空は返事をせずニヤリと笑った。その瞬間背筋がゾクッとした。それほど不気味な笑顔だった。そのまま取り押さえたのだが驚いたのはそこからだった。
突然美空が抵抗し始めたのだ。
「先生何してるんですか。離してください。」
表情の普段通りになっていた。しかも自分の持っているカッターナイフをみて悲鳴をあげた。
「これって血!なんでこんなもの私もってるの?」
結局暴れたことは覚えてないらしく一応事故ということで終わったのだがその後あの少女はどうしているのだろう。