妹登場!
「まったく、酷い目にあったっす。なんで僕らまで怒られないといけないんすか。」
生徒指導室で30分ほど怒られた3人は生徒会室にて駄弁っている。
「それもこれも全部聖夜のせいよ。」
「お、今のダジャレか?聖夜のせいや!ってか?美和子、お前センスあるぜ。」
主犯の反省しなささは、いつも通り平常運行である。
「宮古野先輩、今のはキレてもいいところっす。」
「いや、由岐村君、ここでキレても更に冷やかされるだけよ。ここは冷静に。平常心を保って。」
「さすが先輩。18年間聖夜先輩と幼なじみなだけはありますね。」
「そうそう。俺と美和子は小さい頃からよく遊んでてな、美和子のやつ何かあったすぐに「せいやぁー」とか言って俺のところに来てたんだぜ。」
「聖夜君、少し静かにしていようか?」
「それでな、俺は男の子らしく面倒見てやってたんだかな。」
「聖夜君。黙って下さる?」
「あれは5歳の時だったかな。森に行ったときに蛇を見つけた美和子が、急に泣き出してよ、股をみたらおも「黙れって言ってんでしょうがあぁぁぁぁぁぁぁあ!だいたいなんで聖夜はことある事に私の昔話を出してくるわけ?」
「宮古野先輩落ち着いて。怒ったら聖夜先輩の思うつぼですって。」
「分かってる、分かってるけど女には怒らなければいけない時があるのよ。そしてそれが今なの!!」
「先輩、平常心、平常心。」
と、こんな感じで仲良く喧嘩する役員達。
「あのぉ〜。失礼しまぁす。」
が、突然の来客に全員の視線がそちらに向かう。そこにいたのは
「見つけたぁ!このバカ兄貴!!」
「おぉ、俺の可愛いエンジェルよ!」
そう、何を隠そう聖夜の妹である鞘嶺 聖優だった。黄色のエンブレムを胸に付けた少女は短く切った髪に兄妹揃っての整った顔立ち。しかしながら兄と違い身長は低く、制服姿のそれはどう見ても中学生が、高校生のコスプレをしているようにしか見えない。
「ねぇ、お兄ちゃん。さっきの演説は何?あれのせいで、クラスの皆にかなり引かれ気味に話されたじゃない!」
「ごめんね聖優ちゃん。私がちゃんと止められれば。」
「いや、美和子お姉ちゃんは悪くないよ。どうせまたお兄ちゃんが勝手に暴走したんでしょ?」
「そうっすよ。宮古野先輩は悪くないっす。そして僕も悪くないっす。っと、自己紹介がまだでしたね。僕は由岐村 幸雄っす。以後よろしくっす。」
「こちらこそ、いつも兄がお世話になってます。鞘嶺聖優です。由岐村先輩、よろしくお願いします。」
「うおぉぉぉお!できた妹さんっす。聖夜先輩には勿体ないっすね。聖優ちゃん、今度どっかに遊びに行かない?」
完全に勢いでナンパする幸雄に聖優は
「っえ!えっと、それはそのー。」
と、恥ずかしそうに俯く。その行動が、世の中のロリコンを虜にするとゆ知るところではない。ちなみに幸雄の名誉のために言っておくが彼はロリコンではない。そして、そのやり取りを黙って見ていた聖夜はというと、
「おい、由岐村。ちょっと面貸せや!テメー言っていいことと悪いことの区別もつかねぇのか?あぁ?」
「ヒィ!す、すんません。」
激おこだった。
「お兄ちゃん、それはこっちのセリフだよ。入学式のあれは何?私への嫌がらせ?それとも「俺の良心だ。」
言葉を被せる聖夜。聖優はそんな兄を見て、諦めたかのように、美和子を見つめて
「美和子お姉ちゃん、助けてぇ〜。」
「ごめんなさい。私には無理…。」
「由岐村先輩?」
「力及ばなくて申し訳ないっす。」
「「「はあぁ〜」」」
見事なため息の合唱だった。
☆
「それで、聖優ちゃんはどうしてここに?」
「えっと、クラスでのオリエンテーションが終わって、今日はもう解散になったので、お兄ちゃんを探してました。主に文句を言うために。」
「そうか、そうか。その年になってもまだお兄ちゃんと一緒に帰りたいか。しょうがない妹だな〜。」
人の話を聞かない聖夜である。
「なら、聖優ちゃん、私と一緒に帰りましょ。そろそろ塾の時間だし。」
「なら僕もバイトがあるんでご一緒するっす。女の子2人は危険っすから。」
「待て待て待て。俺も一緒に帰るぞ。」
「あら、さっき先生にもらった原稿用紙に反省文を書くまでは帰してもらえないんじゃなかったかしら?」
「うっ!」
「そうっすよ先輩。まさか妹さんの前で先生との約束を破るような、教育上よろしくないことはしないっすよね?」
「お兄ちゃん、そんなことしないよね?」
ここではやられたらやり返すのがルールらしい。
「わ、分かったよ!ただし絶対に聖優は安全に家に送れよ。さもないと」
「分かってるって。てゆうか家って学校前の信号渡ってすぐじゃない。この時間なら車の通りも少ないし大丈夫よ。」
「それでも、心配なもんは心配なんだよ。」
「はいはい。シスコンもここまでくると尊敬できるわね。さ、聖優ちゃん、由岐村君、帰りましょ。」
「うん!」
「はいっす!」
こうして3人は帰路に、1人は反省文を書く作業につくのであった。




