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第1話 〜ライラの運命〜

「ライラさまっ!見てみて!ライラさまが足りなかったお水を恵んでくれたおかげで畑の野菜さんたちがこんなにおいしそうにできたよ!」


「ほんと?よかったー!わあ、おいしそうですっ」


わたし、ライラ10歳になりました。今よりもっと小さかった時からわたしはエールの子と教えられ、集落や自然の富のお手伝いをしています。どうしてかわかりませんが、力の使い方ははじめから知っていました。でも出せる力の大きさはどれも小さくてちょっとしかみなさんのお手伝いできませんでしたが、今は昔よりはできてる気がします!もっと大きくなったらもっとみなさんの役に立てるかな?立てるといいなって思います!

あっいつも力を使うことはダメって言われていました。雨の降る日が少なくてお水が足りなくなったときとか、反対にお日様が出なかったり土に栄養がなくなったとき植物さんたちに大地の力を分けてあげたり、寒い寒いとき赤ちゃんたちのために小さな火を灯してあったかいお部屋にしたり。とかだけです。だから力を使うことは普段あんまりありません。普段のわたしは


「ライラー!お野菜洗うの頼んでもいいかしらー?」

「はーい母さま!」


母さまのお手伝いしたり、


「ライラさまいっしょに遊ぼ?あ、この絵本読んでください!」

「はい、いいですよー」


他のお母さんたちのお仕事中に小さい子と遊んだり、お勉強したりしてます。普通の10歳のわたしです。

あれからまた年月が経ち、今日わたしは17になりました。母さまと父さま、神官さまたちや集落のみんなが誕生日を祝ってくれています。この集落お馴染みのどんちゃんお祭り騒ぎです。

食事は全部豪華な仕上げ。ポノセオは王国や街から遠く離れている集落なのでメインディッシュは全て山から狩ってきた動物たちのお肉です。あとは畑で採れた麦や野菜、果物からパイとかシチュー、パスタなど作られています。年に1、2回しか食べられない豪華メニュー、みんなの気分は最高気分。子供達はご飯の取り合いで食事しているのか遊んでいるのかわからない、大人たちは大好きなお酒にどっぷりはまってるなんて光景が数日続く私の誕生日祝い。私もみんなに負けないくらい楽しくて嬉しさもいっぱいです。

大好きなみんなと大好きな山々の大地、水、空気。こんな世界に浸りながらお祝いしてもらえる私は幸せ者だと思います。

この集落と自然が私の生きる世界。神々への信仰心の塊ともいえる私たちエールの子はこの環境にこれ以上を望まない、必要と思わないようになっています。私も同様にこの集落で生きていくことに誇りをもち、それを望み続けます。ただ少しだけ、私には気になることがあるのです。


成人年齢16歳を迎えた人は仕事を探し働き始めます。集落の場合は、集落の中で大人たちの手伝いをするか、街に出て働きに行くことができます。ポノセオでも街に出かけて働きに行っている人はいます。そして私も1年前から成人を迎え本当なら今頃彼らのように集落の外に足を踏み入れています。けれど私はエールの子。成人になっても集落の外には出られません。外に出たいと思ってるわけではないのですが、なぜか私は知らない外の世界が気になり始めました。

子供の頃は文字の勉強やここで生きれる最低限の知識を身につけるため、父様が時折訪れる旅商人の方達からいくつか本を買ってくれていました。本来は集落のなかで暮らしていければ十分なので子供のうちに勉強したこと以上の知識は私には必要ありません。けれど、私は今でも旅商人の方を見かけると気になって立ち寄ります。


「いらっしゃいお嬢ちゃん!いろんなのあるからどんどん見てくれ!お代ならおひとつ負けとくぜ」


身を乗り出して見ていると気前の良さそうな旅商人の方が話しかけてきました。

すると店の商品を見ていたおばさまからも声をかけられる。


「あらライラ、何か必要なものでもあるの?」

「あっいえ、そういうわけでもないんですけど……あ」


チラチラと商品を見渡すとどれも見ないものばかり、こういうものを見ているだけで楽しくなります。そしていつも目にとまるのは様々なことが書かれている本たち。図鑑や世界史、数学に語学、各国の童話物語なんかも。売られている本は子供から大人までそれぞれの世代のためのものが集まっている。


「このあたりの本、いくつかいただいていいでしょうか?」

「おおいいぜ!ありがとなお嬢ちゃん」

「いいえ、ありがとうございました!」


ふふふ、新しい本を買うたびにまるで宝箱でも見つけたようにウキウキします。


「ライラ、相変わらず本好きねー。この子、たくさん本持っててあたしたち大の大人たちよりも物知りになってるんじゃないかって。ねーすごいと思わなくって!」


「へええそりゃあお嬢ちゃん凄いもんだねー!将来は世界で大物学者になるかもな!」

「!」

「あー、ほほほ、それもそうよねー!」


………。

思わず口ごもって苦笑いしてしまいました。さすがにエールの子の存在を世界には出せませんしね。おばさまも話を合わせながらごまかしてくれました。私は少し駆け足ぎみで自分の部屋まで走りました。宝箱を早く開けたくてたまらないのと、あの場から早く抜け出したい想いで。

いつも見るだけって思ってても結局こんなふうに買ってしまう私。やってしまったと思う一方、本が並ぶ自分の部屋を見ると口元が緩んで、結局買ってしまった後悔もすぐに忘れてしまう私。エールの子はこんなに集落のこと以外に興味を持たないはず、我ながら少し変わっているのではと思えてきます。でも、いけないことをしてるわけでもないですし…。父様母様も集落のみんなもエールの子の体質はよくわかっています。きっとみんなも私はちょっと変わったところがある子、と思ってると思いますが全くもって小さなこと。対して気にしないでいてくれてる様子です。

私にとってそれはありがたい。必要以上に集落の外のことを知らなくてよいと本などを取りあえげられてしまったら、相当なショックを受けると思います。自分でも不思議でよくわかりません。どうして外が気になるのか。そんな知識を得てもなんの役にも立たないのに。行ったこともないところのことを文章でしか知れない、それは外の世界からすれば偽物の知識のよう。今は本を読むだけで十分。でもこのまま読み続けていれば、いつか外の世界を自分の目で見たくなってしまう時が来るのではないかと怖くなってくる。少しでもそんな想いがよぎってしまったら自分はどうすればいいのだろう。どうなってしまうのだろう。読み続ければ続けるほど不安と恐怖の道は開いていく。そんなことわかっているはずなのに、本を読み進める早さはどんどん早くなって止まらない。まるで中毒にかかってしまっているように。


外への興味が大きくなりつつあることと、それに対する不安がある素振りはみんなには見せないようにしています。見せたくない。ばれたくない。きっといくらおおらかなみんなでも不安になるに決まっています。私はみんなが大好きです。そんなみんなに隠し事をすることはきっといい事ではないはず、けれど不安になったみんなの顔だけは見たくないのです。

それに私はみんなとのつながりを大切にしたい、神々から授かった集落を支える役目もあります。私たちエールの子は役目を全うすることは神々から定められた運命によってどんなに足掻こうとしても変えられません。その運命が変わるとすればそれは神々の意思に変化が生じたときのみ。私に課せられた運命は私の外への興味などに構わずどんどん定められた未来に突き進んでいく。私はそんな光景になることに不安と恐怖があるのです。けれど、もしかしたらその運命が私の恐れをいつのまにか丸く収めてしまうのかもしれない。

そう信じておこう、すべての神様たちを信じましょう。そうです、私たちはもとから信じることしかできない人間じゃないですか。

エールの子と呼ばれる私も妖術とはちがう力を使えるけれど、所詮は人間です。母さまのお腹から生まれて、ご飯を食べて、生きるため働いて、歳をとりやがて死にます。世界中のなかでちっぽけな1人の人間。他のみんなと変わらないことのが多い。なぜ私はエールの子なのでしょうか。なぜ神様たちはこんな力をお与になったのでしょう。結局は最後までひとつの集落で暮らし、その集落が他よりも災厄がなく楽になっているだけ。私はみんなの力になれることがあるなら喜んでします。だからこの力を与えてくださった神々に感謝しています。けれどわたしはもっと多くの人々の力になりたい。どうしてこの集落だけなのですか。わからなくて知りたいことばかりです。

私以前のエールの子の方達はこんなふうに疑問を持っていなかったのでしょうか。持っていても亡くなるまでわからずじまいで終わっていたのでしょうか。わからなくても神々から与えられた役目を果たすことに誇りを持ち、自分にできることをするまで。と思っていたのでしょうか。いえ、本来それが正しい考え方ですよね。こうやって私のようにわからないことをいくら考えても分かるはずがありませんし。

私はエールの子としてまだまだ未熟すぎるようです。


ふわああぁ〜なんだかいろいろと長いこと考えてしまっていました。しかもお誕生祝いの真っ最中に…。これではいけませんね!せっかくみんなが私のために開いてくれているお祝いなのに、難しい顔をしているのは場を悪くします。


「おじさま、もうお酒やめたほうがいいんじゃないですか? 飲み過ぎは体に毒ですよ」

ふらふらと歩いて相当酔っ払っているおじさまを椅子まで誘導する。


「っくいぃ。あいがろよぉ(ありがとよ)、これくらい大丈夫らってライラさんよぉ〜!」


「……全然大丈夫じゃなさそうです」

もう椅子から落っこちそうじゃないですか、舌もよく回ってないですし…。


「もうアンタ!いくらライラのお誕生祝いだからって本人に世話させてどうすんのさ‼︎」


「いえ、私はいいんですけど、転んで怪我してしまったりしたら大変ですし。おじさま、おばさまに心配かけちゃダメですよ!」


「ライラは本当によくできた子だねー。ライラの旦那は幸せ者になるね」


「あははーおばさまからかいすぎです」


「………ライラももうそろそろ結婚の時期かしらね。お相手はどうする?」


「へっ?え…え?」

ん、今母さまなんていいました?


「もうライラは17になったんだものね。近いうちお父様と3人で話してみましょうね!」


…………………。

なんてことおおおおおおお!!!

そんな! 私そんなことちっとも考えたことないんですよ! いきなり結婚なんて…


「まっ待ってください母さま!無理です!私まだ結婚なんて…」


「ライラさま、だいじょうぶだよ!ライラさまかわいいし美人さんだから!」


「ライラさまーぼくとけっこんしてー!」


「ほらライラ、子供は嘘つかないって言うでしょ? 大丈夫よ心配しないで♡」


「ち、違います!そういうことじゃなくてですね…!」


「楽しみねー」


「まぁそう照れなさんなライラさんよぉ〜」


っ‼︎ さっきまで酔いつぶれてたはずのおじさまにまで…!!


「みなさん私の話を聞いてくださあああああい!!!(泣」



まさかこんな話題が出てくるとは思っていませんでしたが、こうして私の誕生祝いは最後までみんなの笑い声で溢れることとなりました。





そしてその一週間後、私も含め集落中が思ってもいなかった危機に直面しました。




「みんな!!ガイア国王の命令で兵がここに押し寄せてくる!!」


「なんだって⁉︎ どういうことだ!!!」


「いったいここに何しに……まさか」


「街で耳にしたんだ。ここの土地をハルモニアを攻めるための施設に使うらしい。俺ら集落の存在を知っておきながら問答無用で向かってくるみたいだ!」


「やっぱりか…あの傲慢な王め……」


「あの王のことだ、我々のことなど構わず追い払うだろう。逆らえばその場で皆殺しと言ったところか…」


どうやらここアラノア国の王を統べるガイア国王様はライバル視している隣の国、ハルモニアとの戦争の準備をしているみたいです。前々からそのための土地を様々な村などから強引に取り上げているとは聞いていましたが、都会から離れたここポノセオの集落にまで巻き込まれることになるなんて…。


「もう兵は動いているでしょう、時間がありません。集落のみなはすぐにここから離れなさい!土地より命のほうが大事です」


「神官様がそうおっしゃるのなら……わかりました。みんな急げ!!」


そんな…ここを離れるなんて、そんなことが起こるなんて、考えたこともない。でもみんなの命はいくつもあるわけじゃない。なにかできないか…私はみんなを守れる力がある…


「神官様! 集落のみんなが逃げれる時間を稼ぐため私に兵を食い止めさせてください!!」


「!!!」


神官様たちやみんなが私の言葉を耳にすると固まった。


「私の力は人を傷つけることは許されていませんが守ることはできます。私はみんなを守りたいんです!」


「ライラ…」


「…それはできません。」


「な、なぜですか⁉︎ 私なら大丈夫ですから!」


「なりません! 一番優先しなければいけないのはエールの子であるあなたの身なのです。少しでもあなたの存在を勘付かれるわけにはいきません。それも相手はあのガイア王です。きっとあなた様をいいように利用します。」


「でも…」


「ライラ、神官様の言うとおりです。あなたの身が安全でいれば私たちポノセオのみんなも安全よ。大丈夫よ」


「母様…」


「ライラ様、あなたが私たちを守ってくれたように私たちもあなたを守らなくてはいけません。あなたはみなとは別行動で逃げなさい。これもあなたを守るためです。」


「私、1人で…ですか」


たしかに私がみんなと一緒にいれば私のことで他のみんなにも被害が及ぶかもしれない。そして私が別行動していれば気づかれることはない。


「神官様たちはどうなさるのですか」


「さすがに我々が逃げるわけにはいきません。集落の責任者としてここに残ります。大丈夫です、抵抗しなければ殺されることはありません。それに神官ときけばきっと無理にでも国の力に協力せよと言い出します。心配いりませんから。」


「……神官様」


「さあ早くお逃げなさい! 元いこの集落から出られぬはずのあなたがここから逃げる結果になるということは神々があなたを集落から外に出すことをお示しになられたことを意味します。これは神々からの運命でもあるのですよ」


「!」


「ではまた、いつかお会いしましょう。神々のご加護を願っております。」


「っ……はい!!」


マントを羽織って集落のみんなとは別の方向へ走る。神官様、みんな…どうか無事でいてください。私はそれを何回も祈りながら森の奥深くまで走りぬきます。

その途中でアラノア国兵と思しき集団がポノセオのすぐ近くにまで来ている姿が見えた。集落はどうなるのだろうか。家や畑は燃やされ跡形もなく平地にしてしまうのだろうと思うと胸が痛む。涙がにじむ。こんなことが起こるなんて思ってもいなかった。あまりにも急すぎる出来事で心がついていけない。この前は楽しい誕生日祝いをしてさっきまで今までと変わらずのどかで穏やかな集落とみんなの笑顔がいっぱいだったのに…なぜこうも簡単にそれが崩れてしまうのか。もう何も考えることができずただずっと走り続け、気付いたときには森は夜で真っ暗になっていた。

小さいときから時々森の木々に大地の力を分け与えたり、静かな夜も好きなわたしは夜の森に立ち寄ることが多かったので森には慣れているけれど……ここまで深いところまでは来たことがないので、ちょっと用心しておいたほうが良さそうですね。

人気のないこの辺りだと動物たちも気性が荒いはず。ほとんど面識のない人間の私を見れば荒手に出る可能性がたかそうです。けれどまだまだこの先は長い、あまり体力を削ってこのまま走り続けるのも危険。ここまでくれば兵達も来ないでしょうからひとまずここで休憩しましょうか。

乾いた枝を集めてそこに手を差し伸べ、手のひらに炎の力を集中させ焚き火をおこす。よし、これで寒さへの対策は十分でしょう。あとは寝床ですね。場当たりの良さそうなところを選び地面に大地の力を集中。集中させたところから小さな芽が顔を出すと急速に成長し、みるみるうちに一本の若い木が生った。そこまで高く成長させる必要はなく、獣が届かない程度の高さがあれば十分。今夜の対策はこれで完了。

生まれた頃から一度も集落一帯から離れたことのない私です。もし神々の力が使えなかったら一人でこんな深い森でいたら確実に生きていけないでしょうね…。今更ながら力の失ったときの私は何もできない人間になってしまうのかと思うと落ち込みます。これからどこに行けばいいかわからないけれど、どこかの地に着いたとき、できるだけ力を使わなくてもやっていけるようにしておかなくては!


神官様の言ったあの言葉…


“この集落から出られぬはずのあなたがここから逃げる結果になるということは神々があなたを集落から外に出すことをお示しになられたことを意味します。”


あれはたしかに事実です。神々がエールの子に集落から出るような出来事など許すはずがありません。すべて何かしらの偶然でエールの子の運命が絶たれられないようになっています。それがいま私は集落の外にでている。これは神官様のいうとおり、神々が私を集落の外へ出すことをお望みになったということ。理由はわかりませんがこれはまぎれもない事実。神々は私になにをして欲しいのでしょう、未来になにをお望みなのでしょう。また謎が増えてしまいました。私は生やした木の横に座り込みパチパチと音をたてる焚き火の一点を見る。小さくて寂しいけれど、頼もしい炎に見える。孤独と不安のなかこれっぽっちの炎でいまの私には頼もしくてとても暖かい存在になっている。気持ちがほっこりして、住んでいた場所を追われ逃げ出したところなのに不思議と安心している。

あ、安心させてくれているのは炎だけじゃありませんね。

ふっと空を見上げると、きらきらと純粋な光で輝くたくさんの星が深い藍色の空一面に広がっていた。いつもと変わらない見慣れた空の光景だけれど、その美しい空を見ているとその美しさに心が圧倒される。この空も私には大きな支えになっているようです。

集落のみんなはいまどうしてるのでしょう。まだ逃げているところでしょうか。神官様たちも無事でいてくれてるでしょうか。 星々を見つめて両手を合わせる。


「神々よ。今私が星々を見ているように。あなたがたも空から我らを見てくださっているでしょうか。どうか集落のみんなや神官様たちに清き御加護をお与えください。我、エールの子の魂をもって彼らの無事をお祈り申し上げます…。」


みんなが無事であることが私にとって一番の支え、これ以上に大事なものはありません。けれどみんな私の身が第一と言ってくれた。私が生きることを彼らが望むなら私はそのために生き、決して投げ出したりしないことをこの場で誓いましょう。この身を彼らのためにすべて尽くし生き残ることを決意します。

そうと決まれば明日のため今夜はもう寝ておきましょう。火を消して、先ほど生やした木の枝を腕のように操り、枝に乗って上のほうまで持ち上げさせる。こうやって木の上で寝るのは久しぶりですね。悲惨なきっかけから成り立った久々の木の上は皮肉にも寝心地が良いようです。私は優しく光る星空を見つめながらゆっくりと眠りにつきました。

チチチ、チチ…

森の木々の隙間から差し込む太陽の光と鳥の鳴き声で目を覚ます。朝、ですか。目覚めて辺りを見ると周りは緑でいっぱい。こうやって、起きたあとに見るいつもの自分の部屋とは違った光景を見ると改めて昨日までの暮らしが崩れたことを自覚させられます…。

木の下を覗き込み獣が辺りにいないことを確認し、枝を操って下まで降りる。どうやら動物がこの辺りを通った形跡もないみたいですね。さて、追っ手はなさそうなので急ぐことはないでしょうけど、はやめに森を抜けるほうがいいですし、さっそく出発しましょうか。ここに人がいた形跡を残さないため、焚き火に使った枝を炎で灰にし、風で広範囲に散らばしておく。これだけしていれば気づかれないでしょう。

たくさんの木々があるため朝でも少し暗めの森。空気はしっとりしていて周りに建物なんてものはなく植物と岩だけ。すっかり別世界にいてるみたいです。あー険しい道のりに不向きなワンピースを着てしまっている私。まぁあの状況で着替えるほうがおかしいとも思いますが、時間がかかりそうですね。まだまださきはありそうです。

木々をかき分け川を渡り、木の実でお腹を満たし、喉が乾けば川の水、もしくは神の力を使って水分補給。充分とは言えないけれど最低限の栄養は取っておかなくては。途中動物に度々遭遇しその中に気が立っているものもいましたが、神々のご加護があってかお互いに対立することはなく無事に和解する結果となりました。すごいですね、ほっとします。


こうやって地道に歩いて5日ほど。視界が見えずらくなり体もフラフラ…あーもうここで倒れちゃいそうです。険しかった道がどんどん緩くなり、人気もありそうなところまで来れたというのに。私…体力なさすぎ、なのでしょうか……。意識がもうろうとし、ぐったりと大木の横に倒れこんでしまった私。もう、体を動かせそうにないです。そして私は目が真っ暗になるのと同時に意識を失ってしまいました。






































ライラ急成長についてはノーコメントで・・・( ̄▽ ̄)

読んでいただきありがとうございました!

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