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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第一部 石原鉄也
8/81

マジ天使です

 翌朝の目覚めは超スッキリだった。本当、人間どんな環境にも適応するんだなと思った。心に余裕すら出てきた。


 予言、そいつがいつ実現するかは、誰にもわからない。

 メグはその日が近いみたいなことを言っていたが、保証はない。もしかしたら、ずっと先かもしれないのだ。

 そんないつ訪れるかもわからない日のことをビクビク待ち続けるなんて、あまりにバカげている。オレの神経じゃもたない。


 だから気にせず、いままでどおりの生活を心がけるようにした。もちろん武器その他の装備はしたままだ。

 考えようによっては護身用としてうってつけの環境でもある。この世のなか、いつどんなトラブルや暴力に晒されるともしれないし。

 予言とはぜんぜん関係ないところで暴漢に襲われるかもしれない。そんなおりにも安心だ。


 それに、もしかしたら、暴力に晒されそうになった他人を助けてあげることもできるかもしれない。

 まるでバ○トマンだ。仮面でも被ったろかな。


 ……オレがこんな妄想を抱いていることはメグにはぜったい内緒だ。彼女を完ぺきに信用しているわけじゃない。彼女は得体がしれない。

 まあオレを殺るつもりならとっくに殺っているだろうが、あるいはオレを利用しようとする線もまだ残っている。


 やばいやばい考えすぎだ。考えすぎると集中力を欠く、電車を乗り過ごしたりする。それで油断して敵に襲われたら、あまりに可哀そうオレが。

 ウソですメグちゃんはいい人です、マジ天使です。これっぽっちも疑ったりしてません……そんなおバカなやりとりを脳内でしているうちに会社に着いた。



 事務室に入ると知らない女性がいた。社員の坂崎さんが彼女をオレに紹介した。

「あ、石原くん、こちら今日からオペレーションに入ってもらう浦野さん」

「浦野です、よろしくお願いします」

「……あ、石原です。よろしくお願いします」

 そう返したあと、オレは坂崎さんに尋ねた。

「協力会社のかたですか」

「そう、きみとおなじマンパラさん。聞いてない?」

「え……ええ」


 マンパラというのはオレが所属しているマンパワー・パラダイス社の略称だ。

 オレは現場では派遣のリーダーを務めている。新人(浦野さんだっけ?)が入るというのに派遣会社から事前連絡がないのは、どうにも腑に落ちなかった。

 まあいいや、あとで営業担当の富田に聞いてみよう。


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