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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第三部 ゲームの戦争
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きれい、さっぱり

 迷った挙句、ぜんぶひとみに話すことにした。

 彼女とおなじ日本から無理くり転送されてきたこと。この世界では、伝説の武道家ヨーメンマンとして扱われていること。

 そして、ヨーメンマンとして、はじめ魔女ひとみに敵対していたこと……。

 今度はオレが聞く番だった。

「とりあえず、ブラックタイガーと貴女の関係について教えてもらっても、いいですか」

「ブラックタイガー?」

 ひとみは白々しく言ってのけた。

「お忘れですか。地下で何やらあやしい儀式をしていた、あの悪党です」


「ごめんなさい」

 魔女はゆっくりと首をふった。

「何もおぼえていないの。いちばん最近の記憶は、メグとベニーに会ったこと……」

「彼らに会ったんですか!」


 オレは思わず身を乗り出した。なんで、そんな大事なことをはやく言わないの? ……でもまあ、言い出すタイミングもなかったかもしれない。

「彼らは無事ですか」

「ええ……とりあえず、アタシの話も聞いてもらって、いい」

 ひとみはメグたちとの出会いについて語った。正直よくわからなかったが、なんでも、夢のような世界を共有したらしい。

「なんで、そんなことになったんですか?」

「そうね……アタシに疚しい気持ちがあったのは事実みたいね。聖女さまに嫉妬していたらしいの」


「らしい、って。おぼえてないんですか」

「そうね」

 魔女は遠い目をして言った。

「過去の悪だくみとか、悪い感情とか、ぜんぶ聖女メグが洗い流してくれたみたい。おかげで、いまのアタシはきれいさっぱり」


「それでメグの味方に?」

「うーん、そういうわけでも、ないんだけど。でも猫人間たちの里が滅びるのはイヤだった。だってアタシ、ベニーが大好きだから」

 ベニ・ショーガ氏の野郎……モテモテじゃないですか。よし、帰ってきたらシメてやろう。

「でね、これからのことなんだけど」

「はい」

 ひとみはたっぷりの間をおいて言った。

「メグはレッド・プリンスに会いに行ったわ」


 レッド・プリンス……たしか|四天王(彩)(フォーカラーズ)のひとりだ。オレが会っていない、最後のひとりだった。

「メグの目的は、いったい……」

「彼女の能力のことは、ご存じかしら?」

「はい……あの、なんでも見通しちゃうような、あれですよね」


「そう。じつはね、彼女の影響かわからないんだけど、アタシも、すこしだけ先が視えるようになったの」

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