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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第三部 ゲームの戦争
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ない交ぜ

 敵軍が退却して行った。たとえ数千の兵をもってしても、雑魚では大魔女の相手にならない。今回、ひとみがそれを証明したのだ。


「ありがとう大魔女さま。やっぱ、あんた強いんだな」

 レイチェル将軍はそう言って握手をもとめた。

「痛たた……ひさしぶりに運動したからこたえたわ」

 ひとみがそれに応じて言った。

「とりあえず、アタシ帰るわ。なんか疲れたし……とても眠い」

「あ、ちょっと待って」

 立ち去ろうとする魔女を女将軍が呼び止めた。


「ぜひ、礼がしたい。なにか欲しいものはないか?」

 レイチェルの問いに、ひとみは首を傾げた。魔女に欲しいものなんて、あるのだろうか、とオレは思った。余計なお世話か。

「そうね……」

 と、魔女はオレの方を見て言った。なんか、めっちゃイヤな予感がするんですけど……。


「彼を、ちょっとお借りしても、いいかしら」

「この男を?」

 レイチェル将軍が目をくりくりさせて言った。信じられない、といった様子で。ええ、オレも信じられません。


「その……なんだ、こういう男が好みか。ちょっと生っ(ちろ)いような」

 いやレイチェルさん、彼女そこまで言ってないでしょーよ。

「うふふ、そうね」

 そうなのかよ! うふふ、て。

「わかった、この男のカラダで()ければ、すきにするがいい」

 カラダ、て。これ全年齢対象作品だからね? それと、なんで貴女が許可してるんですかレイチェルさん!


「……そういうことじゃ、ないんだけど」

 魔女が言った。そういうこと、ちゃうんかい! 期待と不安がない交ぜになったオレはもう、いろいろと、すごいことになっていた。


「わかりました、オレ行きますよ。……ひとみさんは、たぶん、話し相手がほしいんだと思います」

 彼女はこの世界では魔女と呼ばれている。が、さっきチラッと話した感じでは、彼女もオレと同様に日本から送られてきたらしい。

 そのへんの事情はオレも興味があった。

「うん、人間同士、仲良くやるがいい」

 言ってレイチェル将軍はうなずいた。


「とりあえず、直前の危機は去ったが、まだまだ予断を許さない状況だ。(ヘッド)をうしなった緑の残党たちの動向も気になる。それと、ダーリンたちの動きも……」

 女将軍はすこし寂しそうだった。メグとベニ・ショーガ氏がジープで旅立って以来、彼らとは音信不通の状態が続いていた。

 スマホもタブレットも電波が届かない状況なのだ。メールの返信すらない。自然と彼らの安否が気になる。


「また、なにか状況が変わったら、すぐ連絡してください。オレもそうします」

 オレは怪鳥、てか小鳥のバケモノの背に乗りつつ言った。

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