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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第一部 石原鉄也
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たとえばJKとか

「それじゃ行こうか」

「行くって……どこへ?」

「は? オレを迎えに来たって、おまえが……」

 するとメグはゴーグルを外しながら言った。

「あ、ごめん、説明の順番が悪かったみたい。でもいずれ防弾衣ジャケットは着る羽目になるから、いまやっちゃおうと思って」


「おい、まさか、これを着て生活しろってんじゃないだろうな」

「そのまさかよ。いつ誰に襲われるともしれない、だからそのジャケットと銃は決して手放さないで」

 オレは心底ぞっとした。

「マジかよ……この状態で日常に戻れってか」

「あなたにとっての予言が、いつ実現するか、それはアタシにもわからない。でもその日は近いはずよ」


 そこで会話が途切れた。記憶も途切れた。

 気がつくと朝だった。言うまでもなく最悪の目覚めだった。メグの姿はなかった。

 昨夜? のことがぜんぶ夢だったら、どんなにいいか。だが残酷な痕跡はすべて残っていた。十円銃に未来の服、そしてふたつのマグカップ。

 オレは途方に暮れた。だってこれから出社ですよ?



 いつもの街、いつもの会社のはずなのに、内心ドキドキだった。

 だってそうだろう、スーツのポケットには十円銃をしのばせ、Yシャツの下には防弾衣を着込んでいるなんて……変質者以外の何者でもない。

 おまわりさんに職質されるとき、それがオレの終末の日ファイナル・デイだと思っている。そしたらオレは公安当局と撃ち合いをしてでも逃げなきゃいけない。


 メグはどこへ消えたのだろう。あるいは彼女もオレとおなじように、世をしのぶ仮の姿をやっているのだろうか。たとえばJKとか。

 彼女はなんの連絡先もよこさなかった。いずれまたオレのまえに現れるのはたしかだが、一体どんなきっかけで……。


 それとも彼女はストーカーよろしく、オレの周りをうろついているのかもしれない。その可能性は高かった。だってオレにもしものことがあったら、すべて水の泡だ。

 ……どうかな彼女、そこまで面倒見てくれるだろうか。オレが指導者として目醒めることなく逝ってしまったら、メグは見切りをつけてほかの道を選ぶのでは。


 だいたい彼女は名前以外の自己紹介を一切していない。予言についても、ぜんぶは知らないにしても、ぼかしてぼかして伝えてきよる。

 それと彼女の持っていた銃だ。あれはただの十円銃じゃない。光線を発射しオレに防弾衣を着せた。


 あきらかにオーバー・テクノロジーだ。その防弾衣からして、念じるだけで伸縮自在の優れものだからね?

 この時代のものじゃない。

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