宴
「「「かんぱーいっ!!!」」」
とりあえず、当初の目的だった打倒ブラックタイガーを成し遂げたオレたちは、めいめい好きな飲み物とつまみを店内からかっぱ……いや頂戴して、祝杯をあげた。
この廃墟コンビニにお世話になるのは、これで何度目かだった。一度目は完全なフェイクで、店内のどの商品も食べられず使い物にならなかった。
が、今回は違った。廃墟になったばかりの、本物のコンビニだった。まあ若干、品揃えが微妙だったことは目をつぶろう。
たとえば、かつお節だ。それも削り節ではなく一本まるごとである。ふつうコンビニには置いてないだろう、てか、オレも実物を見るのははじめてかもしれない。
「ソリッド・ステイト・カツオバーは、ワタクシの好物です」
「かつお節ね。ソリッド・ステイト・サバイバーみたいに言うな」
かつお節を好むのは、うちではベニ・ショーガ氏しかいない。でもコンビニに置いてあるところを見ると、意外と猫人間の人口比率は高いのかもしれない。
そのへんの事情も含めて、オレはまだまだこの世界には不慣れだ。
……って言ってるそばで、復活したばかりで事情をしらないのはおなじはずの聖女さまが、缶ビールをたて続けにあけて大はしゃぎしている。
「あれ、たしかメグってJKっていう話じゃなかったっけ? 酒飲んでいいの」
「しらないもーん、復活したばかりで、おぼえてないもーん」
無礼講か。まあ、聖女さまがそうおっしゃるのなら。
「じゃあちょっと、おさらいだけど、オレらは聖女たるメグの指示にしたがって、これから行動するんだよな?」
「そういうことですっ」
ベニ・ショーガ氏が鼻高々に言った。グラスの中身はメ○ミルクだけど。
「偶然ですが、最後のゴーレム戦では、ワタクシたちの連携がうまく機能したのではないでしょうか?」
オレも頷いた。
「たしかに……でもあれって、終始メグが指示だしっぱなしだったよな。ゴーレムを撃つなとか、いったい……」
「あのゴーレムを操っていたのは、サファイアのひとみです」
「えっ」
「そうですよね? ミス・チーノ」
猫人間の問いに、メグは微妙な表情をした。
「うーん、よくわかんないけど、ゴーレムちゃんが弾を欲しがっているような気がしたんだよねー」
「ここでは異世界の物質、十円玉です」
ベニ・ショーガ氏が補足した。




