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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
石原鉄也、異世界へゆく
37/81

ユナイテッド

「もちろんワタクシたちのほうでも、できるかぎりの助言と提案はさせていただきます」

「大丈夫か? だって復活したばっかだぜ彼女……」

 オレはベニ・ショーガ氏に言いながら、ふとさっきのことを思い出した。

「そういえばメグ、この銅像の人物の名前を知っていたよな。……記憶が入り乱れているってことか?」


 広大な地下施設の最奥、あやしげな祭壇の中央でその銅像は冷たくオレらを見下ろしていた。

 サファイアのひとみ、それが銅像のモデルで、強敵らしい。


「いいえ」

 猫人間は静かに首をふった。

「彼女には、わかるのです。知らなくても、わかるのです」


『……わかんない、いきなり頭に名前がうかんだ』


 メグはさっきそう言った。そうか、理屈ぬきで彼女はどんな事象も見通すのだ。

「すげーな、それが聖女の能力か」

「彼女の能力ちからこそが我われの希望。いまこそ団結して、|四天王(彩)(フォーカラーズ)に立ちむかって参りましょう」


「おーっ!」

 メグは、かるい感じでコブシをあげた。ま、聖女さまがおーって言ったら、誰がなんと言おうと決まりですよ。


 また沈黙がおちた。なんか、ちょこちょこオレにおなじみのセリフを言えみたいな空気、やめてもらっていいですか。

「……で、これからどうするよ?」

 するとベニ・ショーガ氏が若干ドヤ顔で言った。

「そうですね、待ってみたんですが、動きはないみたいですね」


「どういうこと?」

「ブラックタイガーに聖女の生成法を伝授したのは、おそらく、サファイアのひとみでしょう。つまり彼女は聖女を掌中におさめたかった」

「うんうん」

「で、聖女はいま、ここにいる。あなたがひとみの立場だったら、どうしますヨーメンマン?」


「あっ」オレは間抜けな声をあげた。「ヤベーじゃん、オレら狙われるんじゃね?」

「ですよね」

 そして猫人間はメグに尋ねた。

「なにか気配を感じますか、ミス・チーノ?」


「うん、ずっと見られてる、あの銅像に」

「やはり」

「えっ」とオレだけが慌てた。「うっわ、超気持ちわるい!」


 自慢じゃないがオレは人形とか銅像とか大っ嫌いなのだ。

「オレらの話、聞かれてたかな?」

「たぶん」とベニ・ショーガ氏。

「あの銅像、襲ってこないかな?」

「たぶん」

「いきなり地下が崩れたりしないかな?」


「ビビりすぎです、ヨーメンマン」

 ついに猫人間がキレた。

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