表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
石原鉄也、異世界へゆく
34/81

祭壇

 武道家……そういえば、さっき倒したブラックタイガーも拳法家みたいな格好してたよな。少なくともヤツは得物を持っていなかった。

 本当にいまさらだけど、いろんな意味で、ルールがたいへんなことになっている気がした。十円玉を発射する銃、すなわち「登録銃」で勝負するっていう、そんなルールじゃなかったっけ?


 あ、そうだ、浦野さんの登録銃「爆弾石イラプション」。あの人形のかたちをした銃も爆発しちゃったしな。すると彼女は失格?

 ルール違反は即失格、そう言ったのはメグだった。だが、オレのうしろを歩く彼女はむかしのメグではない。新生メグだ。聞いてもムダだろう。


 そもそも現実世界あちらにいる浦野さんに失格もへったくれもない。

 それにルールを厳守しているのなんて、オレくらいのもんだ。オレにはこれしか頼れる武器がない。だから懲りずに十円玉を発射しとるわけですよ。


「なあベニ・ショーガ氏、ブラックタイガーって拳法家だったの?」

「彼は気功の使い手でした。触れずして攻撃が可能なのです」

「なるほど、それで俺の撃った弾が押し戻されたのか」

「でも、それだけじゃない。彼はだんだんと、あやしい方向へすすんで行きました」


「どういうこと?」

「考えてもみてください、おなじ跳弾に当たったはずなのに、どうしてミス・チーノだけが砂になってしまったのでしょうか」

 猫人間の鋭い指摘にオレは唸った。

「それもそうだ」


「彼は魔術的なことに興味をもっていたようです。おそらく、その目的は聖女の生成」

「なっ、」

 一瞬オレは言葉をうしなった。

「じゃあヤツは、オレの撃った弾に魔法かなんかをかけて、それを撃ち返してきたってのか? なんでそんな、まだるっこしいことを……」

「まあ、それをこれから調べようって魂胆です」


 ベニ・ショーガ氏が歩をとめた。気づくと、広大な地下空間が終わりをむかえていた。目のまえにあらわれたのは……祭壇だった。

 おっかない顔をした女性の銅像が中央に祀られていた。これが神? ブラックタイガーにとっての神様?


 さらに手前には巨大な釜があり、ぼこぼこと気持ちのわるいあぶくを立てていた。釜は床に密接していて、熱源が見当たらない。IH?


「ヤツめ、そういうことか」

 ベニ・ショーガ氏が意味深なかんじで言った。そして彼は、壇上の書物なんかを勝手に漁りはじめた。

「サファイアのひとみ……」

 うしろでメグが急につぶやいた。オレが振り向くと、彼女は銅像を見上げていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ