色彩の階段
「もしかして、ブラックタイガーみたいな色系統のボスが、あと三人いるってことか?」
オレの問いにベニ・ショーガ氏は首をふった。
「いいえ、白黒は色扱いしませんので、あと四人です」
「おいちょっと待て」オレはゾッとした。「その理論でいくと、ブラックタイガーのほかにホワイトなんちゃらも、いるんじゃね?」
「ええ、ホワイトライオンがいますよ、ここに」
「……おまえ、ホワイトライオン?」
「いかにも」
ベニ・ショーガ氏はドヤ顔だ。腹立つわー。
まあたしかに、彼のスペックを鑑みれば、ブラックタイガーと同レベルのボスであっても、おかしくない。
てかブラックタイガーもそうとう手ごわかったからね?
「いちおう聞くけど、その|四天王(彩)(フォーカラーズ)ってのはヤバいのか」
「マジぱねえっす」
「ベニーちゃんウケるー」
メグが屈託のない笑顔で言った。
やっぱり、彼女はすこし変わった。出会ったころはなんというか、もっと翳のある感じだったのに。これもチーノの影響か。
ホワイトライオンなのに紅ちゃんでいいのか、っていう問題は、この際ヨシとしよう。あとホワイトライオンだけ猫で、ブラックタイガーが人間のおっさんだったっていうグダグダ感とかも。
「で、ホワイトライオンさんとブラックタイガーは、やっぱ仲がわるいの?」
「ワタクシたちは宿敵です。そうして勝ち残った者だけが、|四天王(彩)(フォーカラーズ)への挑戦権を得る。色彩の階段を昇るわけです」
「おとなの階段昇る、みたいに言うな」
「さむっ」
「シャラさむーい」
くそう、ふたりしてオレをバカにしやがって……。オレは耳まで真っ赤になりつつ話をすすめた。
「その|四天王(彩)(フォーカラーズ)って何者なんだ? 名前からしてエラそうだけど」
「まあ、この世界を暴力で支配している連中ですからね」
「そんな連中に、なぜオレらが挑むんだ?」
「そうですね、」
とベニ・ショーガ氏はひと呼吸おいた。
「言うなれば、これは運命です。すべてがこうなるよう、予言されていた」
そして彼はメグを見て言った。
「聖女が降臨された。ワタクシたちはその屈強なボディーガードというわけです」
当の聖女は目をパチクリさせている。
「……自覚ある?」
オレが聞くとメグは、
「ない」
はい即答いただきました。




