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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第一部 石原鉄也
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暗闇の来訪者

「十円銃……」

 酒で若干、呂律ろれつの回らなくなった口でそう呟いた。

 十円銃とは名のとおり、十円玉を発射するあのオモチャ銃のことだ。得体の知れない相手からオレあてに送られてきた。

 オモチャの銃だがその破壊力は侮れない。至近距離で撃ったら人、死ぬんちゃうかな。


 酒で気分を誤魔化そうと思ったが逆効果だった。次から次と、十円銃に関するあらゆることが頭を駆け巡る。


 今日はまだ休みの日だからいい。でも明日から、どうする。仕事に行っているあいだ、ずっとあの銃のことが気になるのは目に見えていた。

 それにこの小さな部屋に銃を保管していて大丈夫かという心配もある。誰がこのブツを狙っているともしれない。だってこれは陰謀かもしれないし。

 じゃあ心配だから肌身離さず銃を持ち歩くか。警察に職質されたら、なんて言い訳しよう。護身用です、て?


 酔いつぶれて、いつのまにか眠ってしまった。かるく明日の仕事に差し障るレベルだ。


 なんか妙な夢を見ていた。いつもどおり派遣先の現場へ出社すると、誰も彼もがホルスタみたいなのを提げている。西部劇ウェスタンか。

 オレは尋ねる。「どうしてみんな銃を携帯しているの?」

 みんなは答える。「どうしてきみは銃を携帯していないの……会社から支給されたでしょ?」

 ああ、なるほど十円銃が派遣会社から送られてきたのは、そういうことだったのか……


「って、違うだろ!」

 自分の声で目が覚めた。いわゆるツッコミ起きというやつだ。寝言の類いなので、だいたいちゃんと言えてないことが多い。

 いまも言えてなかった……と思う。誰かに聞かれたら、きっと死ぬほど恥ずかしいだろう。ここが独り暮らしの部屋でよかった。


「クスクス……」

「っ……誰だ!」

 真っ暗な部屋のなかで笑い声が聞こえたので、オレはベッドから飛び起きた。何者かの陰謀を疑っていたせいか身体がすぐに反応した。

「動かないで、そしたら危害はくわえない」

 女の声だった。


「っく……」

 オレはその指示に従うよりなかった。暗闇のなかで十円玉が襲ってくると思うとぞっとする。

「アタシの名はメグ、暗いところからで申し訳ないけど」


 闇に目が慣れるのを待った。女はどうやら、デスク前の椅子に腰かけているらしい。

「オレをどうするつもりだ」

「あなたを迎えにきたのよ、予言のとおりに」


 はじまったよ、まあ銃が送られてきたときから、だいたい覚悟はしていたけど……。


 メグというのは本名か、それともニックネームか。「めぐみ」という名はよく聞くが、メグはむしろ外国人の名だ。マギーだな。

 ちなみに「なおみ」も日本ではポピュラーな名前だが、外国人にももちろんいる。ネイオミだ。ミニ情報でした。

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