潜入
ドーーーーーーンッッッッッッッ!!!!!!
ひさしぶりにオレの「二丁拳銃」が火を噴いた。
いやもう止まんないっすわ。ふつうに考えたら十円玉が二枚発射されただけなのに、どうして床が吹き飛ぶのか意味がわからなかった。ま、いっか。
「ビンゴね」
チーノが床下の空洞を覗いて言った。さっそく彼女は持ち前のでかいバッグからロープを取り出す。そのバッグ、メグと一緒やん。
ロープを店内のトイレのドアにくくり付けると、彼女は懐中電燈をオレに渡した。
「アタシがさきに降りるから、上から援護して」
思わず感心した。このチーノってコ、メグよりかだいぶ優しいが、たくましさは本家に負けるとも劣らずだ。
「気をつけろよ」
ロープを空洞にするりと垂らし、彼女はそれを伝って降りて行った。上から見るかぎり、それほど深そうでもなかった3、4メートルか。
「オッケーよ」
着地した彼女が言った。
「ヨーメンマン、つぎはあなたが」
ベニ・ショーガ氏が促がした。
「お、おう」
めっちゃ怖かったが仕方なしにロープにすがった。オレが着地するのを見計らってロープが引き上げられた。どういうこと?
「このくらいの高さ、ベニ・ショーガ氏ならいけるわ」
チーノが言うのと同時くらいに、ベニ・ショーガ氏が上から飛び降りてきた。ちゃんとロープも回収している。さっすが猫人間。
ライトで照らすと、地下通路の幅はだいたい4メートルくらいだった。が、前後どちらにも伸びていて、どちらも暗く見通しが利かなかった。
「ワタクシの計算では、たぶんこっちです」
ベニ・ショーガ氏の指示どおり進むしかなかった。おもにオレとチーノのために、足元をライトで照らしながら歩いた。
猫人間は夜目が利くから大丈夫、危険を察知したらすぐ報せるとのことだった。あんた、凄すぎるよ!
「20メートル先で行き止まりです。扉らしきものがあります」
ほんと高性能のナビみたいだな。ベニ・ショーガ氏の言葉をたよりに、オレらは一歩ずつ扉? に近づいて行った。
ようやくライトが扉の全貌を照らし出した。劇場の入口みたいな、観音開きの重厚な扉だった。
「ワタクシの計算では、この扉の奥は広大なホールになっていると思われます。そこに敵が大挙して待ち構えている可能性あり、です」
「せーの、で開けましょう」
チーノがベニ・ショーガ氏に提案した。そしてオレに言った。
「ヨーメンマンは迎撃準備を」
「わ……わかった」
オレは「二丁拳銃」を抜いた。扉の右側にチーノ、左にベニ・ショーガ氏が腰をおとし、せーのの合図で彼らは一気に扉をあけた。