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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
石原鉄也、異世界へゆく
26/81

チーノとショーガ氏

「おーい、チーノ! ……ヨーメンマン!」

 いきなり声がして、コンビニの入口から誰かが入ってきた。

「チーノって呼ばれてるのか」

 オレは彼女に聞いた。

「うん、ぺぺロンチーノじゃ長ったらしいでしょ?」

「たしかに……で、彼は」

「ベニ・ショーガ氏よ」


 ベニ・ショーガ氏は猫人間だった。いよいよファンタジー入ってきたな……。

 口ぶりからすると、彼もオレことヨーメンマンの知り合いっぽかった。だからオレは事情を説明した。

「あらま……記憶の一部が?」

 猫人間は目をクリクリさせて言った。


「でも大丈夫」チーノがフォローしてくれた。「彼の銃の腕前は衰えてないわ。いまもアタシを助けてくれたのよ?」

「そりゃ、よかった」

 ベニ・ショーガ氏は安心したようだ。おいおいチーノ、あんまハードル上げんといてよ。

「で、なにか、わかったの?」

「おまかせあれ」


 言って猫人間はタブレットっぽいものを取り出した。一瞬、浦野さんの石板を思い出してオレは顔をしかめた。

「ワタクシが集めた情報によりますと、どうやら、このコンビニが悪の地下組織に通じているようです」

「本当に?」

 チーノは目を輝かせた。


「ちょっと待ってよ」オレは言った。「その情報よりさきに、チーノはこのコンビニにいたんだぜ?」

「それはヨーメンマン、あなたがさきに、ここへ入って行ったのよ。あやしいとか言って……そしたら急に敵におそわれて」

 なるほど、そこでストーリーがつながるわけか。残念ながらオレは、会社の監視ルームから無理くり送られてきたんだけどね!


「確認させてくれ。オレたちは悪の? 組織を追っている。それでいいんだな」

「ええ、そうよ」とチーノ。

「悪の……組織ってなんだ?」

「闇の帝王『ブラックタイガー』率いる組織のことです」とベニ・ショーガ氏。


 ブラックタイガーて……エビやん。そこはせめてパスタつながりで行こうよ。そういえば紅生姜も微妙にズレてるしな。

「わかった、さきへ進もう」

 なんか、いつのまにかオレがリーダーみたいになっているし。まあ仕方ないか。考えてみれば、ようやっとオレは指導者っぽくなってきたのかもしれない。最初の予言だ。


「ワタクシの計算によりますと」

 ベニ・ショーガ氏はタブレットを見つつ言った。

「ちょうどこの真下が通路になっている模様です」

 彼はつかつかと進み、床を指さした。

「ヨーメンマンお願い、あなたの銃で吹き飛ばして」

 チーノに請われてオレは、やらざるを得なかった。


「離れていろ」

 かっこいい感じで言ったが内心ドキドキだった。だってひさしぶりなんだもの、発砲するの……。

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