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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第一部 石原鉄也
24/81

石板

 そのまま浦野さんは喫煙ブースのドアを開けてなかに入ってきた。そして言った。

「やっと、ふたりきりになれたわね石原さん?」

「いったい……どうするつもりだ」

 オレはたじろいだ。めっちゃ怖い。

「怖がらなくてもいいわ。でもちょっと急がなきゃ、メグちゃんがあぶないから」


 メグが? そう思ったが声にならない。オレが口をぱくぱくさせているうちに、浦野さんは手に持っていたファイルからなにかを取り出した。

 ノートサイズの黒板のようにみえた。じっさい、彼女はチョークっぽいものも取り出して、その黒板に文字を書いた。


 タキオカ → OUT


 そう読めた。いや、そうとしか読めない。どういうこと……


 一瞬、白い文字が浮かびあがったかと思うと、つぎの瞬間にはもう消えていた。

「手品ですか」

 オレは心にもないことを聞いたが、彼女は取り合わなかった。

「さ、監視ルームにもどるわよ」

 浦野さんに手を引っ張られるかたちで喫煙ブースを出た。なんだこれ。



 監視ルームにもどると滝岡のすがたが消えていた。いやいやいや、アウトってまさか……そんな。

 浦野さんはまるで当然のように、さっきまで滝岡がつかっていたコンソールのまえに座った。そしてかちゃかちゃっとキーボードをたたきログインした。

 いや、おかしいだろだから! 今日配属されたばかりの新人さんには、まだユーザIDなんてものは発行されてないはずだ。ハッキング?


 思わず目をうたがった。オレのコンソールにも浦野さんのとおなじ画面が表示されている。

 それは監視カメラで撮ったような、六つくらいにセパレートされた画像だった。

 その画像のひとつにメグのすがたが映っていた。


 メグはコンビニにいるっぽかった。もちろん買い物をしているわけじゃない。たぶん、あの廃墟コンビニだ。

 彼女が身をひそめている商品棚が派手にぶちまけられた。どうやら彼女には敵がいるらしい。

 メグも銃をかまえてはいるが、相手が複数なのか、どうにも分が悪そうだ。


「浦野さん、やばいよ彼女!」

 まあオレのほうも、メグに劣らず相当おかしい状況だが、とりあえずいまは浦野さんにすがるしかない。

「はいはい、それじゃ『爆弾石イラプション』、行っちゃいますか」

 彼女はマウスをうごかし、画面上のあるポイントをクリックした。


 別カメラの映像で、ふたりの男が吹き飛ぶのが見えた。男たちは幽体となって昇天した。やはり、オレがまえにいた世界ゲームとおなじだ。

「すげー、ボ○バーマンみたいだ」

 オレは素直に驚いた。この浦野さんだけは、ぜったい敵にしたくないと思った。


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