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十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第一部 石原鉄也
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おまじない

 それからメグとああでもない、こうでもないと車で話し、軽くキレそうになったり逆にキレられそうになったりしながらも、ようやくオレはこの世界(ゲーム)のルールをほんのちょっぴり理解した。



 さてさて、それでも不明な点は山ほどあった。メグもいい加減うんざりみたいな顔をしたが、ひとつだけ、どうしても聞いておきたいことがあった。

 これだけは譲れない。


 それは、ほかの誰でもないメグ自身についてだった。彼女は一体どんな役回りなのか?

 

 オレと浦野さんに関しては、なんちゃらっていう十円銃を「登録済み」らしいが、メグはどうなんだ。

 彼女のは十円銃ではなく光線銃だった。オレは、はっきりと憶えている。

 そのあたりをオブラートに包んでやんわり尋ねると、やはり彼女は険しい表情をした。が、観念したのかやがて、ゆっくりと口をひらいた。


「光線銃だよ……オモチャの」

「オモチャってこと、ないだろう」

 またまたー、みたいなかんじでオレは言ったが、彼女はいたって真面目だった。

「だっておまえ、あれはジャケットとか着せちゃうスゲー銃じゃん。あの防弾ジャケットだって、念じるだけで伸縮自在の……」


 言いながらオレはハッとした。そんなSFみたいな話が現実にあるだろうか。あり得る、だってここはゲームのなかだからね!

「よく見てシャラ、自分の姿を」


 メグに言われて気がついた。オレのスーツ……あんなにボロボロだったのに、元に戻ってる。

「どういうことだ、これ」

「光線なんて、ただのお(まじな)い。この世界はなんでも望みどおりだよ」


「じゃあさ、オレいますぐ、このゲームから脱出したい。めっちゃそう望んでるんだけど」

「それができればね。まあふつうに考えると、そこがゴールで、そのためにルールがあるんじゃないかって気がするけど」

「ルールって、銃に関することだけだろ? ……だいたい銃でなにをするのさ。クイーン浦野を撃ちたおせばいいの?」


 メグは力なく首をふった。きっと彼女にもわからないのだろう。

 カオスだ。この世界ゲームはカオスすぎる。なにをしてもいい、なんだってできる(一部を除く)。だが、なにをするべきか、その大事なところがわからない。


「あっ、そうだ」

 話題を変えようとしたわけじゃないが、もうひとつだけ聞きたいことがあった。

「オレが登録したことになってる銃だけどさ、二丁拳銃ダブル・ガナーってヘンな名前だよな。オレ、一丁しか持ってないぜ?」


「二丁あるでしょ、自分で話しておいて忘れたの?」


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