表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十円玉が、なまら痛かった件  作者: 大原英一
第一部 石原鉄也
12/81

司令と副司令

「助けてくれて、ありがとな」

 オレらを乗せた車はどこへむかうとも知れず走りつづけている。後部座席、オレはとなりに座っているメグに礼を言った。

「2分で駆けつけるって言ったでしょ?」

 ドヤ顔だ。なんだか、ひさしぶりに見た気がした。

「2秒じゃなかったか?」

「細かいことは、いーの」

 後部座席からは運転席が見えない仕組みになっている。誰が運転してるのだろう。さあ、なにから尋ねよう。


「どうしてオレの危機がわかったんだ?」

「副司令が教えてくれた」

「誰だそれ」

「剛流……副司令」

 ああ、電話で話したあの女性担当者か。もちろん会ったこともないし、名前を聞いたのも今朝だ。


「副ってサブ・リーダーみたいなものか。じゃあリーダーは、もしかして……」

「わかってるでしょシャラ、あなたよ」

 オレは頭を掻きむしった。

「リーダーとサブ・リーダーが会ったこともないって、おかしくね?」

「たしかに」メグはからからと笑う。「でも、しょうがないじゃん。まだまだ実現してない予言のほうが多いんだから」


 オレが背後から狙われている、と電話で教えてくれたのは剛流さんだった。

「つまり、さっきのドンパチも予言どおりってわけか」

「そういうこと。言っておくけど、アタシだってぜんぶ(しら)されてるわけじゃ、ないんだからね?」

 思わずため息が出た。

「あのさあ、おまえの組織……いやむしろオレの組織か、ってなんで情報を小出し小出しにするの。オレに万一のことがあったら、どうするの?」


 少し黙ったあとでメグが言った。

「ごめんなさい」

 えーっ! ……まさかの謝罪ですよ。ようするに我慢しろってことか。

「はい謝ったので、今日の一部始終を報告してちょうだい」

「あのさ、あきらかに剛流副司令サブ・リーダーよりオレ、扱いわるくない? リスペクトがないと言いますか……」


 メグに完全にスルーされたので、仕方なくオレは報告した。

 朝一番に新人の浦野さんを紹介されたこと。浦野さんが営業担当富田をしらなかったこと。かわりに、オレのしらない剛流さんが営業担当だと聞いたこと。

 派遣会社に電話したら、富田じゃなく剛流さんにつながったこと。そしてあの直後だった、オレが同僚の滝岡に襲われたのは。


「滝岡……こころの友よ!」

「それ、ぜったい思ってないでしょ」

 メグのツッコミに、オレは乾いた笑いで返した。妙に現実味がなかった。だって同僚のオデコに第三の目ですよ。

「……そっか、闇の女王クイーンがついに動きだしたんだ」

 なんか深いかんじでメグはつぶやいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ