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4話

「賊と変わりはしないといったところか。」


なっっ!!

なにを!!乱世が起こると予期し、そのために見聞を広めていた我らを賊ごときと同一視すると、、

ふざけないでください!!

この郭奉孝、この知を奮い、乱世に名乗りを挙げんとする英雄に仕え、その方を大陸の覇者として導かんとする、と思っている私に、、


絶対に許せません。


こうなれば、私が名乗り出


「風はその言葉に異議を申し立てるのですよー。」


え!?


その瞬間、弓の弦のように張り詰めていた空気がその物言いの穏やかさに緩んだ


が、


「あのものは我が言をよしせず、異議を述べるようだ。」


周囲は凍りついた。


つい今しがたまで星に向けていた柔らかい雰囲気や笑顔が一切なくなり、そこにはただ一人の怜悧な面持ちを見せる、武人がいた。


「名をお聞きしてもよいか?」


「姓を程、名を立、字を仲徳」


「そうか。まだ夢をみていないか、いや、見てはいるがそれを決めかねているとみるべきか、、」


「おにーさん、、?なにをぶつぶつ言ってるんですか?」


「程立、貴方の夢で見た、見るだろう日輪は郭奉孝の望む未来と変わらない!絶対の支配者、曹孟徳だ!おそらく、苦しい戦いがあるだろうが、その主が座る玉座の前に至るまでお前たちは死ぬことはないだろう。」


「なっ!?」


「えっ!?」


なぜ私の名を知っている?風の夢がなんだ?私が仕えたいと思っている方をなぜ?


なぜ?


なぜ、


なぜ、、、


「凛ちゃーん、ぼーっとしてるとろくなことはないのですよー」


はっ!?今は星と風の二人しかいないので、前にいる男の、本当に強い男に攻められれば、私は、私達は、、


「ぶふはっっ、」



「はっ??えっ、鼻血!?なんで!?」


あぁ、私達はこの男に蹂躙されてしまうのですね。

武人として打ち破った星を喰らい尽くし、武をもたない私と風を二人まとめて獣のごとく、、


「ふはっっ」


「えっ!?また噴いた!?いや、これ致死量じゃ、、なんでそこの二人は普通に見てるの!?友達が死ぬかもしれないんじゃ!?」


なにやら騒がしい気がしますが、これから蹂躙される私達には関係のないこと、、

あぁ、一体どんないたぶられ方をされてしまうのでしょうか。


「ふはっっ」


「また噴いた!?医者は、近くの邑に医者はいるのかぁ!」



むーどうにもこの人が読めませんねー

風もあまり人に理解してもらえるような人ではありませんが、この人は風とは読めない理由が違うのです。


風は緩やかに流れる風。


戈を向けてきても、その横をゆったりと戈を撫でながら通り、


盾を構えても、その盾の隙間から相手の懐に入り込み、


そして、


相手の心が葉のように頼りなげなものとなれば、穏やな風が葉の周りを舞い、葉を絡め取って地に落とす。


それが風のあり方です。

ですがこの人は、


言うなれば地。


その本質は育む者。

しかし、その大地を鑑みぬものが現れれば、その者の地は荒れ果て、作物は実らず、ただ死がまつだけ。


木が育つその根を支え、

火が燃ゆるその下で耐え、

金が育つ場を与え、

水が流れ、その身を削ろうとも許す。


あたかも王を見ているような気になるのですよー。


でも、この人の目にあるのはそれだけではなく、王を狙う簒奪者、いえ、復讐者ですかねー。

それ以外にも守護者、いえ、父をもっているように見えるのです。

もう訳が分かりませんねー。


しかも、星ちゃんに圧勝して、風と禀ちゃんの名前を当然のごとく言い放って、挙句に風の一昨日みた夢のことや、禀ちゃんの仕えたいと思っている主君のことまでいってみせる。


この人は本当に人なんでしょうかねー。


うーん、考えていると眠気が、、


「ぐぅ」








禀ちゃん、風ちゃん、流石です。

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